私家版としてつくったジャック・ヴァレ『マゴニアへのパスポート』が完売した(というか購入申し込みが予定件数に達した、というのが正確なところだが)。

印刷会社を替えたりして若干体裁は変わったりしてるが、これまでにあわせて約100冊を世に送り出したことになる。

いまさらUFO現象ではなかろうという世の風潮もあるし、50年近く前の本を「ニュー・ウェーブの原点だ!」などと持ち上げても仕方あるまいという気はするけれども、ま、「証文の出し遅れ」であってもいちおう証文を出しておくことは無意味ではあるまい。「一粒の麦、地に落ちて死なずば」と聖書も言っておる。

*なお、いま気がついたのだが、手垢がついてたりカバーが若干折れてたりして使用感はあるけれども、手元保存用に2冊残しているので、「どうしても欲しい」という方にはこのヘタった本1冊を販売する手もないではない。応相談。

今朝の天声人語はまた何とも痛々しい内容であった。

遺伝学における「優性」「劣性」という言葉が、このたび「顕性」「潜性」に言い換えられることになった――という話がフリである。

それから「翻訳の難しさ」という方向にもっていくのはやや苦しいが、まあそれはそれとして、「ソサエティー」という言葉についての話になる。この言葉については、かつては「人間交際」「仲間連中」といった翻訳語が提唱されたこともあったが、最終的にはピッタリはまる「社会」という翻譯語が定着するにいたった、というような事を言っている。

で、最後はこんなふうに締める。


最近はどうも翻訳の努力が足りないようだ。コミットメントやガバナンスなど、そのまま持ち込まれる例が目につく。意味をあいまいにし、ごまかすために使われるのでなければいいが。


うーん、結局「むかしの人はちゃんと外国語を咀嚼して翻訳語を作ったんだが、いまの人間はそういう努力を惜しんでカナ書きにして誤魔化しておる。嘆かわしい」という主張であるわけだが、だがしかし、こういう議論が成り立つ前提には「あらゆる言語・言葉は翻訳可能である」という考え方があるワケで、オレはそれは違うと思う。

端的にいって「ソサエティ」と「社会」は似て非なるものだと思う。日本における「社会」というのは相互監視・足の引っ張り合いといったシステムをビルトインしたもので、西洋由来の「society」とは相当違うのではないか。

「コミットメントやガバナンス」といった言葉だって、日本語にした途端、別種のものに変じてしまうのは必定。なんというか、結局、「西洋由来の民主主義・合理主義といったものは普遍的なものであって、それをこの日本に導入するのはいともたやすいことでアル」みたいな、つまり朝日新聞伝統の近代啓蒙主義のいやらしさが漂ってくる、悪しき天声人語の実例であった。



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この間、畏友magonia00さんに教えてもらったのだが、UFO事件の中でも渋い味わいのあることで知られる「ゲリー・アーウィン事件」をテーマとした本が、斯界の雄・アノマリスト・ブックスから出たようだ。

これはジャック・ヴァレの『マゴニアへのパスポート』でも取り上げられているのだが、小生の知る限りでは本邦ではあんまりメジャーな扱いをされてこなかった事件である。以下、ヴァレに拠って概略を紹介してみよう。


1959年2月28日、休暇を終えた上等兵のゲリー・アーウィンは、車でテキサス州エルパソにあるフォートブリスの兵舎に向かっていた。その途中――ハッキリとは書いてないが、夜間であったらしい――彼はユタ州のシダー・シティを超えた辺りで、輝く物体が空を横切って飛んでいくのを目撃する。山の尾根に消えた物体に、飛行機事故ではないかと考えた彼は、車の中に「飛行機の墜落があったかもしれないので調べに行きます」とメモを置いて現場を目指した。

その90分後、そのメモ書きを見た保安官たちが組織した捜索隊により、彼は記憶を失って倒れているところを発見された。入院した彼はその後、いったんは軍務に復帰したのだったが、キャンプ内で、そして3月15日にはエルパソの街中で気を失う体験を繰り返している。この3月15日に運び込まれた病院では、夜中に目を覚まして「生存者はいたのか?」と周囲に尋ねたという(つまり、意識が混濁して2月の体験を思い出していたということらしい)。

再び陸軍病院に入った彼は、4月になって退院した翌日、何故かは自分でもわからなかったものの、強い衝動にかられて「現場」のシーダー・シティに向かった。半ば無意識的に登っていった丘で、彼は事件の際に失った上着を発見する。ボタンの穴には、紙切れがきつく巻き付けられた鉛筆が差し込んであったという。だが彼は、何故かそれを取って焼いてしまった。彼が正気に戻ったのはその後だった。

ちなみにAPRO(全米空中現象調査委員会)のジェームズ・ロレンゼンは、その時点でフォートブリスに戻った彼に取材をしている。彼はその後も入退院を繰り返した。夏になると彼は軍務を放棄し、行方不明になってしまった。


何だかあんまり詳しいことが書いてないので隔靴掻痒だし、突然失踪してしまうという結末が唐突で奇妙な感じがするのだが、とりあえずこの事件、先のジェームズ・ロレンゼンがAPROの「フライング・ソーサー」誌28号(1962年11月)に「アーウィン上等兵はどこにいるのか?」と題して記事を書いているらしい。

今回の本は、おそらくそんな古い事件ではあるけれども、面白い話だし、ここは一つ改めて調べてみましよかという仕事なのであろう。ちなみにこの本で序文を書いているというヴァレは、『マゴニア』ではどうやらこれをヒル夫妻事件に先立つアブダクション事件だったのではないかと見ているフシがある。今回の本は、果たしてそのあたりをどのように論じているのか。

そのへんはUFO洋書マニアのmagonia00さんに報告していただければ一番良いのだが(笑)、ともかく1950年1960年代のUFO事件は、なんかこう、イマジネーションの広がるものがあってしみじみと感じいってしまう。いつの日か読んでみたい――と思わんでもない一冊。













このところUFO本系統で読むに足る本というのは私見ではほとんど出ておらず、そんななかで孤軍奮闘しているのが、在野の超常現象研究グループ、ASIOSの本ということになろう。

その最新の一冊が『UFO事件クロニクル』であって、ケネス・アーノルド事件70周年を記念する本でもある。もはや70周年とかいっても世の中的には全く盛り上がることない中で、実に頭の下がる企画である。

ひと言でいうと、この70年間の主なUFO(関連)事件/事象を簡便に紹介し、かつコンタクティーとか研究者とかいった関連人物の紹介コーナーも加えたことで、UFOにかかわるだいたいの流れがわかるという本である。

むろん、ASIOSという団体の「盲信せず極力客観的なデータを以って語らしむる」という方針がバックにはあるから、一部の職業研究者にみられるハッタリなどとは無縁であり、その意味では半可通のUFOファンには物足りないところもあろうが、そこそこモノのわかった愛好家にとっては実に有用な本であるといえよう(介良事件だとかザモラ事件だとかいった有名な事例についても、オレなどが知らなかった最近の研究の成果が盛り込まれていてタメになった)。

で、今回どういうワケか、一般愛好家に過ぎないオレにも「ジャック・ヴァレとベルトラン・メウーの紹介記事を書いてくれ」というお話が舞い込み、ごくごく短いものではあったが、執筆をさせて頂いた。機会があればゼヒお読みを頂きたい。





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最近「郡純とは何者だったのか」と題するエントリーを何本か書いたところであるが、ちょうどそのタイミングで、まさにその「郡純」を名乗る人がネット上に出現した。

郡純公式サイト」というのが拠点であるようだが、フェイスブックやツイッターにもアカウントを作っておられる。YOUTUBEにもこんなのが上がっておる。



声を聴く限りでは昔とだいぶ感じが違う。だが、新旧の画像でとりわけ個人差が大きいと言われる「耳の形状」を比較してみるとかなり似ている。1953年12月生まれと著書に書いてあるので、それが正しければ63歳で、だいぶ老けておられても当然である。同一人物の可能性は高いのかもしれない。

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だがしかし、このたびのサイトであるとかYOUTUBEとかを見ても、何をしようとしているのかは皆目わからない。

そもそもほとんどがでっち上げであることがわかってしまった1991年刊の『最新 異星人遭遇事件百科』についての釈明とか言い訳とかは一切無い。

にもかかわらず、いまここにきて、宇宙人についての「正しい知識と見方」を普及したいとかいって再び表舞台に出てきたというのは何なのか。韮沢さん的に「ツッコミを入れてもらってナンボのUFOおたく」的芸風で稼ごうとでもいうのか。Kindleで何だか小説みたいなのを売っておられるようだが、その辺が狙いなのであろうか。だがしかし、オレとしては、すべては26年前の総括をしてからの話であると思う。

さまざまな謎をはらんだ郡純問題。今後の展開に注目していきたい(笑)。





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私家版『マゴニアへのパスポート』の通販を開始してからほぼ一週間。30冊ちょっと用意していたのだが、これまでに半分ほど売れた。素人の作った本でもあり、客観的にみればけっこう高いのにありがたいものである。完売も夢ではない。

とまれ、北は北海道から南は大分まで、お求めをいただいた全国のUFOファンの方々には改めて御礼を申し上げます。念のため、申込みフォームへのリンクを再掲。


【追記】おかげさまで売り切れました。購入いただいた方々には改めて御礼申し上げます(2017年9月20日)

というわけで、一部の熱い要望(笑)を受けて増刷した私家版『マゴニアへのパスポート』ですが、夏コミ「Spファイル友の会」での頒布に続きまして、今回通販を開始することにしました。

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1冊2200円(送料込。前払い)。A5判・398ページ。こちらに申し込みページを置いておきますので、メールフォームにご記入の上、申し込み下さい。

なお、申し込みページにも書いておりますが、今回のバージョンは本の内側のとじ込み部分(いわゆる「ノド」の部分)が狭くなってしまったため、若干開きづらい&読みづらいかもしれません。その辺はご理解のうえ、申し込んでいただければ幸いです。

売り切れの際はご容赦ください。


【注】ツイッターをやっておられる方でしたら「申し込み」は住所(送付先)・氏名・連絡先など記入したダイレクトメッセージを飛ばしていただいても結構です。当方は「 @macht0412  」で運営中です。


【追記】おかげさまで売り切れました。お買い上げ頂いた方には改めて御礼申し上げます(2017年9月20日)



このあいだ増刷した私家版『マゴニアへのパスポート』であるが、夏コミ3日目の本日13日、「Spファイル友の会」さんトコで若干部を頒布して頂いた(ちなみにこの友の会では今秋に「UFO手帖」第2号という同人誌を刊行予定だと聞いておる。UFOファンの皆さんにおかれましては乞うご期待)。

で、今回持ちこんだ分は結果的にいえば全部ハケたようである。余るかなーと思っていたのだが、案外であった。お買上げ頂いた方にはこの場を借りて御礼申し上げます。

通販のほうであるが、今んところは今月20日前後に告知の予定である。@2000円ちょっと予定。

ツイッター(@macht0412)のほうでもつぶやこうと思っているので、いましばらくお待ちください。

きのうユング『空飛ぶ円盤』についてちょっと触れたところであるが、改めてパラパラめくってみるとなかなか面白い。

むろん、ご承知のようにユングというのは曼荼羅がどうだ錬金術がどうだというペダンティックな話が次々に出てくるので、そのへんは適当に読み飛ばしながら、ということになってしまうけれど。

ちなみに前回チラッと触れた「空飛ぶ円盤というものは物理現象と心的現象のはざまにある<共時的現象=シンクロニシティ>ではないのか」という主張であるが、実際にはこんな風に書いてある(松代洋一訳)。


UFOは実際に物質的な現象であり、未知の性状をもった存在なのである。おそらく宇宙からやってきて、かなり以前から人類に姿をさらしながら、それ以上これといった関係を地球や人類とはもっていない。しかし、最近に至って、人間が空を見上げるようなとき、一方では宇宙旅行の空想から、他方では、いわば、いたく脅かされている地上の生活のために、無意識内容がこの不可解な空中の現象に投影され、当の現象の一向にあずかり知らないような意味を帯びることになった。第二次世界大戦以後、とくに頻繁に現れているようだが、それは共時的現象、つまり、意味上の一致であると考えられる。


うーん、いいですねー。

あと、この本のなかでは「絵画におけるUFO」という章があって、画家のイマジネーションの中にもUFO的なものは忍び込んでいるのだ的なことが書いてある。これはこれでまたワケのわからん話がいろいろ出てくるのだが、それはともかく、ここではそんな作品の一つとして、E・ヤコビー「火の種播き」という作品に分析が加えられておる。これが何故かとても印象に残る作品なのである。

ちなみに『空飛ぶ円盤』にはモノクロ写真しか載っていないのであるが、検索をかけたところカラー・バージョンの画像を発見したので、ここではそれを貼っておく。カラーでみると、なおインパクトがあるなあ。

El sembrador de fuego
 THE FIRE SEEDER, ERHARD JACOBY, 1954


【注】ちなみに画像の載っていたサイトというのはスペイン語だったので例によってグーグル翻訳のお世話になったら、何だか人権団体の主張みたいなことが書いてあった。この絵は単なるカットとして使われただけのようであった



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ブログというのは随時更新し続けなければ誰も見にこないという話があるので、先月末であったか、一週間ほどガンバって続けて書いてみたら若干訪問者が増えた。

増えたけれどもサボってしばらく放置したら、また元にもどって閑散としはじめた。なるほどそういうことなのだなあと改めて思った。

ま、そんなことはどうでも良いのだった。今回はカール・グスタフ・ユングの著書「空飛ぶ円盤」について。

空飛ぶ円盤 (ちくま学芸文庫)
C.G. ユング
筑摩書房
1993-05



よく知られているように、ユングはUFO問題にとても関心をもっておった。そこで最晩年に書いたのがこの本なのだが、極めて単純にいってしまうと「空飛ぶ円盤が物理的な実体としてある可能性は否定できないわけだが、ある種の心的現象として理解することもできるよネ。オレはそういった心的現象としての円盤を論じてみるワ」という本なのであった。

もちろんユングはお得意の「シンクロニシティ」――因果関係で結ばれているわけではないけれども「意味はある」偶然、という禅問答的な概念である――も持ち出していて、つまりUFO現象においては外的事象と人間の精神がどっかでリンクしている可能性も示唆している。なかなか深いものがある。

だが今回は、ユングのUFO論を論じようというワケではないのだった。この本の注釈などをみると、ユングはけっこういろんなUFO本を読んでいることがわかる。なので、今回はそういう本を列記して「ユングも好きだなあ」というのを実感してもらおうと思ったのだった。

しかし、ここに出てくるキーホーの本なんかは有名なので翻訳されてンだろうなあと思ったら、出てないみたい。「未知なるUFO」という本しか訳されてないようだ(ググってみると原題は「Aliens From Space」とのこと)。意外である。


■Edward J. Ruppelt「The Report On Unidentified Flying Objects」(1956)

未確認飛行物体に関する報告
エドワード J. ルッペルト
開成出版
2002-03-30

 
■Dobnald Keyhoe「Flyng Saucers from Outerspace」(1953)

■Dobnald Keyhoe「The Flyng Saucer Conspiracy」(1957)

■Aime Michel「The Truth about Flyng Saucers」(1957)

■Harold T. Wilkins「Flying Saucers on the Attack」(1954)

■Edgar Sievers「Flying Saucer über Südafrika」(1955)

■Gerald Heard「Is Another World Watching? The Riddle of the Flying Saucers」(1950)

■Orfeo M. Angelucci 「The Secret of the Saucers」(1955)
 


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