ということで、前回は前置きだけで終わってしまったので、今回はロバート・シェーファーのペンタクル・メモ批判をご紹介しよう。

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 Robert Sheaffer

「Bad UFOs」というのが彼のサイトだが、記事は2012年2月18日付けで、タイトルは「ジャック・ヴァレ、J・アレン・ハイネック、そして"ペンタクル・メモランダム"」とある。例によって翻訳が適当なので誤訳があったらごめんなさいだが、以下、引用してみよう。(色付き文字の部分は「ペンタクル・メモ」本文からの引用)


『禁じられた科学 第1巻』として刊行されている、ジャック・ヴァレの1957年から69年にかけての日記を読み終えた。そこで語られているのは、幼少期を過ごしたフランス時代から始まる彼の人生であり、どんな教育を受け、どんな仕事をし、そして彼がUFO事件にいかにして興味を募らせてきたか、といった話である。本書は高い教養に裏打ちされたものであり、とても個人的なことを記してもいるが、時には詩的ですらある。とても良い本だ。

本書で新たに提起された問題のうちで最も重要なものは何かといえば、それはいわゆる「ペンタクル・メモ」の問題であろう。1967年6月、ハイネックが休暇でカナダに行っている間、ヴァレは空いたハイネックの家に行って(もちろん許可を得た上でのことだ)、ハイネックが手つかずのまま放置していたUFO関連文書を整理することになった。

そこでタイプで打たれた二頁のメモ文書を見つけた彼は、これを非常に重要なものだと信ずるに至った。1953年1月9日の日付があり、そこには赤いインクで「シークレット―セキュリティ文書」というスタンプが押されていた。執筆者の身元を秘匿するため、ヴァレはこれを「ペンタクル・メモ」と呼ぶことにしたのだが、その書き手である「ペンタクル」は、のちにH・C・クロスだと判明した――バテル記念研究所に所属し、空軍のブルー・ブックとの間で連絡係を務めていた人物である。そのメモが発見される経緯、メモについてのヴァレの主張、そしてメモの本文についてまとめた良記事を、ここで読むことができる


ふむ。まずは褒めてから入るというのは紳士である。当ブログで前回説明した話などもここで出てくる。ここから本題に入る。


1、ヴァレ、長期間秘密裏に行われていたUFO研究プログラムを見つける

そのメモはこう始まる。

この書簡は、ATICに対し、未確認の空中現象という問題を今後扱う際の方法論について事前に勧告するものである。この勧告は、我々がこの問題について数千件のレポートを分析してきた経験に基づくものである。

ATICとは、すなわち空軍の航空技術情報センターのことであった。ヴァレはこう記している。「この冒頭のパラグラフは、明らかに次のような事実を示している。つまり、1953年の [CIAによる] ロバートソン・パネルのハイレベル会合に先立ち、何者かが合衆国政府のために、実際に数千件のUFO事件を分析していた――ということである。」(ヴァレ。同書284頁)。この文書は、ブルー・ブックとは違う米政府のどこかの部局で、大がかりな秘密のUFO調査プログラムが存在していたことを示唆する、というわけだ。

ヴァレはそのあとすぐに「ペンタクルは実際にバテル [記念研究所] で働いていたことに間違いはない」(ヴァレ。同書294頁)ということを突き止め、この筋書きを裏打ちする。息が止まりそうだ――1953年1月、バッテルには「何千件」ものUFOレポートを米政府のため分析していた何者かがいた、ということなのか? しかもこれは秘密のプログラムであった、というのか?

いやいやヴァレさん、待ってくれ。バテル記念研究所は1952年3月、プロジェクト・ブルーブックのために「スペシャルレポートNo.14」作成にかかわる仕事を始めていた。これはブルーブックにファイルされていたUFOレポートの統計分析で、当時の最新式コンピュータとパンチカードとを用いた最初期のものだった。この報告書は1954年に完成し、刊行された。その「スペシャルレポートNo.14」はユーフォロジストにはよく知られたものだ。実際、スタントン・フリードマンなどは、これについてしゃべりだしたらとまらない。

当然ながら、1953年1月のバテルで、米政府のために「何千もの」UFOレポートを分析していた人物は存在した。彼らはブルーブックの「スペシャルレポートNo.14」のために仕事をし、翌年、その仕事を終えたのだ。

おめでとう、ジャック! あなたはブルーブックの「スペシャルレポートNo.14」を執筆するチームが存在したという紛れもない証拠を見つけたのだ! そのレポートの存在が疑われたことなど一度もない。そこのところはスタントン・フリードマンに聞けばよい。


これは論点の一つで、「ブルーブック以外に人知れずUFO研究をしていた組織があった」と聞けば「政府の陰謀!」という言葉が反射的に出てきてしまいがちだが、「データの統計分析を外注した」ということであれば、ま、そういうこともあるでしょうなあという感じである。

なお、念のために言っておくと、文中のATIC(Air Force's Air Technical Intelligence Center 空軍航空技術情報センター)というのは、UFO調査機関たるブルーブックが所属していた上部組織である。


2、ヴァレ、CIAのロバートソン・パネルを操る黒幕を明らかにする


ペンタクル・メモの中でも、以下のくだりは最も論議を呼ぶ部分のひとつであろう。

[CIAのロバートソン・] パネルの会合が既に日程に上がっている以上、ワシントンで1月14-16日に行われるその会合では、我々のATICに対する事前勧告に関連して「論じられても良いこと・良くないこと」につき、プロジェクト・ストークとATICの間での合意を得ておくべきだと考える。

ハイネックによれば、ホワイトストークというのは、ブルーブック・プロジェクトも包含するものとしてかつて使われていた空軍のプロジェクト名だった。然るにヴァレは、プロジェクト・ストークは、近々開かれるロバートソン・パネルをつんぼ桟敷に置き、パネルが知ってもよい範囲を決めてしまうものだったと示唆している。

ヴァレは、そのメモは「パネルが論じて良いことと、悪いこと(つまりパネルから遠ざけておくべきこと)についてのカギの部分」について指図をしているように見える、とも書いている。「証拠を事前にセレクトすることで、科学者たちが到達するであろう結論は想定の範囲内に収まってしまうのだ」と。

が、ヴァレはそのセンテンスをより注意深く読むべきだった。それはUFOの目撃であるとか証拠について言っているわけではない。彼はそのセンテンスを、あたかも「ワシントンで1月14-16日に行われるその会合では、「論じられても良いこと・良くないこと」につき、プロジェクト・ストークとATICの間での合意を得ておくべきだと考える」とのみ書かれているように解釈している。

だが、そのセンテンスには続きがある。「我々のATICに対する事前勧告に関連して」というくだりである。換言すれば、「ロバートソン・パネルの議論に於いてどういう問題が聖域であるかを決めよう」というのではなく、「バッテルとATICの関わっている計画についてパネルに何を告げるべきかを決めよう」と言っているわけだ。

平易な英語でいえば、「我々がATICに提案していることについて、ロバートソン・パネルにはどれぐらい話すべきなんだろう?」という話である。英語がヴァレの母語でないことは知っているけれども、彼は英語を完璧にマスターしているだけに、彼がこのセンテンスを誤読していることには驚きを禁じ得ない。


これが次なる論点である。バテルはUFO問題について「こういう話はオープンにできるが、これはダメだ」などと差し出がましいことを主張しているわけではなく、「私たちが空軍にいろいろアドバイスしてることを査問会に一から十まで明かす必要はないでしょう」と言っている――シェーファーはそう指摘する。

ここで勢い余って、ヴァレに対し「あんた誤読してるよねー」などと英語力を云々するのはいささか勇み足のような気もするが、ま、西洋のディベートというのはこういうことも平気で言うものなのだろう(知らんけどw)。


3、ヴァレ、UFOについて大掛かりな欺瞞プロジェクトがこっそり行われている証拠をつかむ

UFO問題にかんして大衆を騙す狙いから、大掛かりで憂うべきプロジェクトが軍部の支援の下に行われている――ヴァレは、その証拠を以下のくだりから読み取っている。

我々は、一つないしは二つの地域を次のような「実験エリア」として設定することを推奨する。このエリアには、視認により空中を漏れなく監視する体制のほか、レーダーや写真撮影の設備はもちろん、該当地域の上空におけるすべての出来事について信頼すべきデータを収集するために有効ないしは必要なあらゆる機材が完備されるべきである。その観察が行われている間は、気象についての完璧な記録も取られねばならない。

そのカバー範囲においては空中のあらゆる物体が追跡され、その高度・速度・大きさ・形状・色・出現日時といった情報が記録されるよう完璧を期さねばならない。テストエリアにおいて気球を飛ばすことやその飛行経路、航空機の飛行、ロケットの発射といった情報は、その実験の所管者に通知されねばならない。エリア内の空中におけるありとあらゆる活動は、密かに統制下に置かれねばならない。[ここはちょっと意訳]

これについてヴァレはこう書いている。「ペンタクル・メモの要請は、ここまで論及してきたものにとどまらない。それは『エリア内の空中におけるありとあらゆる活動は、密かに統制下に置かれねばならない』とまで述べているのだ。これ以上、ハッキリした言葉はあるまい。これは、単に観察ステーションとカメラを整備しようといった話ではない。軍のコントロールの下、大掛かりに、かつ隠密裏にUFOの目撃ウエーブを起こす模擬実験を起こそうという話なのだ」

が、ペンタクル・メモが要請しているのは、次のようなことだと思われる。――人々がものすごい数のUFO報告を上げてきている地域を、まずは特定してみよう。その地域の上空に出入りしているすべてのものを認識できるよう、広範囲をカバーするモニターシステムを設置しよう。それから条件をコントロールした実験に取り掛かることにしよう。気球や、あるいは見慣れない飛行機だとかを見るよう人々に仕向けて、その地域から上がってくるUFO報告をモニターするとしよう。すると、「刺激」として与えた既知のものが、いかにして未知の物体として報告されてくるのかが分かり、それによって、受け取ったUFO報告というものについて我々はより深く理解できるようになるだろう。

これは、科学の視点からすれば素晴らしいアイデアという風にもみえるが、法的ないしは倫理的な観点からすれば規制されるべきものかもしれない。相当のお金がかかるようにも思われるし、秘密を保つのも用意ではなかろうから、結果として目的は達せられないかもしれない。

興味深いことだが、この種の実験がたまたま行われた(つまり意図せずして、ということである)事例がいくつかあり、その結果として、1970年代にハイネックの [活動に携わった] 主な調査員の一人だったアラン・ヘンドリーは、目撃報告というものにますます懐疑的になってしまった。著書『UFOハンドブック』に詳しいが、ヘンドリーは、正体のわかっている「刺激」(広告飛行機、気球など)に起因した目撃報告を調査したところ、その多くがあまりにひどい錯誤にまみれていたため、彼はそのような報告を額面通りに受け取ることを注意を促すにいたった。

ヘンドリーは、他のユーフォロジストに対しておそろしく失礼な態度をとった点で罪があるように見えたから(彼は説明不能なUFO報告もあると信じてはいるのだが)、彼らから避難を浴びるようになった。案の定、ひどい目にあったヘンドリーは、約30年前にユーフォロジーから足を洗ってしまい、以来、そのことを議論するのを拒否している。

これは『禁じられた科学』にしばしば出てくるテーマであるのだが、ヴァレは同書で、米国やフランスにおいて、政府や科学界にみられる硬直した官僚主義について再々論じている。彼は、変化を受け入れることに後ろ向きな官僚主義によって明らかに優れた提案が退けられ、無視すらされてしまった事例をこれでもかと上げている。

驚くべきは、よりによってそんなヴァレが、ここでは「申し入れ」と「プロジェクト」を混同してしまっているように見える点だ。彼がしかと認識しなければならないのは、ペンタクルが大がかりで新しいUFO探求プロジェクトを提案したからという理由だけで、空軍の硬直した官僚によってそうした申し入れが実際に実行に移された可能性は、誰がみてもごくわずかだった、ということだ。

このくだりは、いかなる意味においても、UFO [目撃] の刺激となるものを差し出すような「コントロールされた実験」が実行に移された、ということを意味してはいない。


もう一つの論点は、「当局は人為的にUFO騒動を起こす実験を試みたかどうか」である。
ここでシェーファーが持ち出す論法は、「あんただって米当局が官僚的でちゃんとした仕事しないことはぼやいてたでしょ、なんでこんな提案に限って実行に移したなんて言えるのよ」というもので、なかなかディベート術としては勉強になる(笑)。

ということで、ここからあとは「あんた科学者なのに薔薇十字団に関心もってどうすんのよ」的なことが延々書かれており、直接「ペンタクル・メモ」には関係ないことを言っているので、今回は触れない。興味のある方は直接あたっていただきたい。(おわり)




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たまにはUFOネタを書いてみよう。

ジャック・ヴァレには自らの歩みを記した日記を本にした『禁じられた科学 Forbidden Science』というシリーズがあって、これまでに3巻が出ているんだが、その第1巻が1992年に出たとき、ちょっとした議論を呼んだエピソードがある(と聞いている。リアルタイムでフォローしてたわけではないけどw)。

それは何かというと、いわゆる「ペンタクル・メモ」のエピソードである。

ヴァレは、「米政府はUFO問題への取り組みをすべて公開しているわけではなく、これまで陰でいろいろやってきた」という、いわゆる陰謀論を唱えていることでも有名だ。

もっとも「米政府は墜落した円盤を秘匿している」とか「宇宙人とコンタクトしている」といった話は否定しており、つまり彼は「米政府はUFOを隠れ蓑に秘密兵器を開発している」といったレベルの陰謀を考えているようである。

閑話休題。問題の「ペンタクル・メモ」であるが、これはヴァレが自らの陰謀論を支える証拠として持ち出してきた文書であって、先の『禁じられた科学』でこの話をはじめて明かした。それがけっこう話題になったらしく、いろいろと物議を醸してきたらしい。

以下、この文書について簡単に説明しよう。

話は1967年にさかのぼる。ヴァレはこの年、UFO研究の盟友ともいえるアレン・ハイネックに散らかったUFO資料の整理を頼まれたらしく、旅行中のハイネックの家に入り込む。ちなみにハイネックは米空軍のブロジェクト・ブルーブックなどという調査機関の顧問をやっていたから、その手の資料がもろもろあったということなのだろう。

そこで見つけたのが「ペンタクル・メモ」であって、要するに手紙である。日付は1953年1月9日。全2ページで、送り主はバテル記念研究所のH・C・クロス、宛先はライトパターソン空軍基地のマイルズ・E・コルという軍人である。ブルーブックの責任者であるエドワード・ルッペルト大尉にも回覧するよう書いてあって、要するに米空軍のUFO問題担当部局と、業務委託の関係にあった外部の研究機関との間の打ち合わせ文書ということになろう。

で、ちょうどこの月の中旬、CIAがスポンサーとなって、「UFOは国防上の脅威なのか」「UFO研究に科学的価値はあるか」といった問題を科学者たちから聴取する査問会がワシントンで行われることになっていた。いわゆるロバートソン・パネル(ロバートソン査問会)である。

結果的には「別に脅威だとは言えんし、科学研究してもイイことあるかわからん」といった話になって、「UFO研究に意味ナシ」という烙印を押した会合としてUFOファンの間では悪名が高いのだが、それはともかく、ペンタクル・メモには「ロバートソン・パネルに持ち出していい話・持ち出したら悪い話について打ち合わせしましょうや」みたいに読める部分があった。

そのほかにも「バテルでは秘密裏にUFO研究が行われていた」とか、あるいは「人為的にUFOの目撃ウエーブを起こしてみよう」みたいな記述があった。というか、ヴァレはそういう風にこの文書を読んだ。で、「ああ、やっぱ陰謀やってんじゃん」とヴァレは言いだしたのだった(ちなみに、ペンタクルというのは、この時点でヴァレが身元を明かすのはマズイんじゃねーか、ということで、差出人の仮名として付けた名前である。故に、一般にはこれが「ペンタクル・メモ」と称されるに至ったという次第)。

オレはヴァレのフォークロア的なUFO論には興味があるが、陰謀論には正直あんまり関心がない。ただ、ヴァレ研究家の礒部剛喜さんが、昨年だったか、このペンタクル・メモを高く評価するネットコラムを書いておられた。ま、そういう考え方もアリだとは思うが、ペンタクル・メモにはけっこう批判もあるということを知っておくのも、ヴァレを学ぶ上では意味があるんではないかと思う。

確かジェローム・クラークの『The UFO Encyclopedia』にもネガティブなことが書いてあったが、今回は、このメモについてやはり批判的なことをいっている懐疑論系のUFO研究者、ロバート・シェーファーの論考を紹介してみよう。これは彼のサイトに載っているのだが、そのことはNHKの「幻解!超常ファイル」にも出た(!)UFO研究家の小山田浩史さんに以前教えてもらった。

…と前置きのつもりで書いていたら、ずいぶんと長くなってしまい、本題に入れなかった。項を改めてその内容をご紹介しよう。(つづく)








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こないだイボ痔の手術を受けてきて闘病日記のページを立ち上げたのであるが、実はその後、回復が思わしくない。

とゆーか、手術から2ヶ月の時点で、いつのまにか切れ痔になっていて、しかもかなり悪化しているという謎の宣告を主治医から下されてしまった。

いまだかつてそんな症例があったとは一度も聞いたことがない(まあ素人なんで聞いたことがないのは当然だが)。

なんか鬱々とした日々を送っているわけだが、そのへんのイライラを発散する意味もこめ、前回もリンクを張ったけれども引き続き「内痔核を斬るッ!――または内痔核(いわゆるイボ痔)の闘病日記」という日記を書いておる。大団円に至ればいいのだが、今ンとこお先真っ暗である。

いちおうずっと書いていく予定なのでヨロピク。


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ジャック・ヴァレの著書『Revelations』(1991年)が、『人はなぜエイリアン神話を求めるのか――脳内メカニズムの悲劇!? ショッキングサイエンス 』(1996年、徳間書店)と題して翻訳されていることはUFOファンには広く知られているところである。

ひと言でいうと、これは「米政府はひそかにエイリアンの円盤を回収している」などと吹聴している連中をメッタ斬りにしている本である。ラザーだとかクーパーだとかいう、この手の怪しげな主張をしてきた面々、さらには彼らを敢えてミスリードしてきたのであろう米当局の暗躍ぶりを、ヴァレはここで容赦なく叩いている。

「Revelation」というのは「暴露」とか「啓示」という意味であるから、これはおそらく「内幕を暴く」ぐらいの意味でこういうタイトルをつけたのだろう。版元はそうした問題意識のカケラも感じさせない邦題をでっち上げたワケで、これはある意味、凄いと思う。

ま、それはそれとして、この邦訳書にはもう一つ、大きな欠陥がある。というのはコレ、肝心かなめの「結論 Conclusion」と「補遺 Appendix」の部分を省いた抄訳であって、ただでさえほとんど翻訳の出ていないヴァレの本なのにこの仕打ちは何だとオレなどはいつも文句を言っているところである。

ま、死んだ子の年を数えるようなことをしていても詮方ないので、今回は、その省略された「補遺」の部分でヴァレがどんな事を言っているかを紹介してみたい(「結語」については、機会があればまたいつか書いてみようと思っている)。

具体的にいうと、ここで補遺として掲載されているのは、実際には「未確認飛行物体の地球外起源説を論駁する5つの論点」と題した彼の論考である。1989年に発表したもののようであるが、要するに「オレはUFOが外宇宙から来ているという説は認めない!」と言っている。以下、たいへん粗っぽくて恐縮ではあるが、若干勝手な補足なども交えつつ、ヴァレになりかわってこの論考における彼の言い分をたどっていこう。

■論点1 宇宙人が調査目的で来ているとしたら、こんなに頻繁に目撃されてるのはおかしい

過去40年にわたって報告されてきた接近遭遇(注:ここでは着陸事例とイコールという意味合いで言っているようだ)の数は3000~1万件の間だと思われる。とりあえずは少なめの「5000件」という数字を採用してみたいが、目撃事例のうち公になるのは10件に1件程度である。よって、実際の件数としては、とりあえず10倍の「5万件」という数字が出てくる。

だが、これではまだ足りない。というのは、自分たちの情報網は欧米に偏しているので、全世界を視野に入れるならば、その倍、つまり「10万件」あたりが妥当なハズである。

しかし、これでもまだ終わりではない。自分たちの行った統計調査によれば、UFOは相対的に人口のまばらな地域に偏って出現する。となると、見逃されていた暗数がけっこうあるハズで、総数はさらに10倍してよい。結果的に、全世界における接近遭遇の件数は「100万件」に及ぶのだと言ってみたい。

ところが、実はまだまだ先があった! これまた統計調査の教えるところだが、UFOの目撃は未明にピークが来る。夜間に野外に出ている人の数は圧倒的に少ないので、その辺を勘案してみると、実際にあり得た目撃事例は、さらに14倍になる(注:この計算のプロセスはよくわからん)。その結果、接近遭遇事例は、計算上はなんと「1400万件」にもなるのだ!

さて、ここで冷静に考えてみたい。地球の表面というのはそもそも宇宙から丸見えである。加えて、近年であればラジオやテレビの電波が飛び交っているので、それで地球のこと・人類のことは居ながらにして相当なことがわかる。物理的にサンプルを取る必要があったとしても、周囲に知られずにこっそりできる部分は相当ある。となると、何故「1400万回」も着陸する必要があろんだろうか? つまり、これは明らかな矛盾である。

■論点2 エイリアンの姿かたちが人間に似ているのはおかしい


いわゆるエイリアンはどんな姿をしているかというと、多くの場合、それは足も腕も2本で、目・鼻・口のある頭部が一つ。別の惑星で独自の進化を遂げてきたのだとすれば、その体のつくりは人間とだいぶ違っていて当然なのに、何故にこうも人間に似てるのか。重力や大気の成分だって違うハズなのに、しばしばふつうに歩いたり呼吸していたりするのも変である。

「遺伝子工学を駆使して地球探査用にそういう生命体を作ったのだ」という反論もあるかもしれないが、だったらもうちょっと人間に似せンかい!というツッコミが可能である。

もうひとつ気になることがある。連中は時に人間と似た感情表現を示したりすることがある。つまり文化のパターンまで似ているとなると、これはあからさまにおかしいではないか。矛盾である。

(注:ちなみにこの「文化のパターン」ということでオレが連想するのは、日本における「甲府事件」である。ここで目撃されたエイリアンは、少年のうしろから肩をトントンと叩いて振り向かせたのだという。実に地球人的なしぐさである)

■論点3 アブダクションされた人間が施される「医学検査」って、何だかおかしい

地球にやってきたエイリアンは「医学検査」のために人間をアブダクションする、という考え方がある。だが、いきなり人間を掠うやり方は何とも乱暴だし、その「検査」自体、人類の医学と比較しても相当に荒っぽい。生物学的な知見を得るには、もっとスマートなやり方があるでしょう。

■論点4 そもそもUFO現象は現代においてのみ起きているわけではない

UFOというのは、ジュール・ベルヌの時代には飛行船、第2次大戦直後はゴーストロケット、現代にあっては宇宙船――といった具合に時代に応じて姿を変えてきた。人を掠う「リトル・ピープル」の昔話だってそこらじゅうに転がっているわけで、時代による変化みたいなものこそあれ、こうして倦まずたゆまず繰り返されるお話を「地球外起源の生命体による地球探査」で括るのはムリがあるンじゃないか。

■論点5 結局、UFOを外宇宙からの訪問者と考えるのはムリで、別のアイデアが必要である

というわけで地球外訪問仮説はスジが悪いことはわかったけれども、UFOには物理的な痕跡を残すような側面もあるので、それを単なる心理現象に還元する「心理社会学的仮説」で説明してしまうのも具合が悪い。そこで考えられるものとしては次のようなものがある。

・アース・ライト仮説(注:ヴァレはここでは詳述していないが、ある種の電磁効果によって、物理的な痕跡を残しつつ、かつ人間の脳に働きかけて或る種の心像を生み出すような自然現象を想定しているらしい)

・コントロール・システム仮説
(注:ヴァレの考え出した悪名高き理論で、自然現象なのか或る種の知性体が意図して行っているものかはわからんが、人間を特定の方向に導こうという力の存在を想定する仮説)

・ワームホール・トラベル仮説
注:「四次元のワームホール」を通り、時空を超えた世界からやってくる存在としてUFOを定義する仮説。例によって何がなんだかよくわからないが、これはよく考えると「異星人」の介入の可能性も否定していないので、広い意味では「地球外訪問仮説」に救いの手を差し伸べた考え方でもある)

かくてヴァレは、ワームホール仮説で救済されることもあるンでET仮説は絶対ナシとは言わんけれども、ここでオレが指摘したような弱点をクリアするようなかたちで議論してもらわんと話は進まないからネということを言って、この論考を締めくくっている。



さて、地球外訪問仮説を退けたところで、「じゃあホントのところは何よ?」といった時にヴァレが繰り出してくる仮説は、正直いうと、なかなかしんどいものがある。あるけれども、エイリアンなんてものを想定してどこまでも突き進むのはちょっとムリ筋だよなーというところまでは、けっこう説得力があるんではないか。

そもそも「UFOと宇宙人は関係ない」のであり、従って「政府はエイリアンと円盤を捕まえている」説はデタラメである。そういう流れでヴァレは『Revelations』を締めくくっているワケで、版元さんがその締めくくりパートを削って翻訳を出してしまったことは、著者の真意を伝える上で実に惜しまれる行為であった。悪いことは言わんから、未訳の部分も付け加えてぜひ再刊をしてほしいものである(と到底ありえない無理難題を言って終わる)。


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どうでもいいことであるが、先般、痔の手術をして入院してきた。この種の「痔の闘病ブログ」みたいなのはググってみると山ほどもあり、「屋上屋を架す」感もあるけれども、これまで入院なんてものはしたことがなかったこともあり、個人的にはけっこう新鮮な体験だったのでウェブページを作ってみた。

イボ痔でお悩みのご同輩の参考になればいいなあ、ということでリンクを貼っておこう。
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えーと、伝説のUFO愛好家団体「Spファイル友の会」によるUFO同人誌「UFO手帖」の第二号がいよいよ世に出るところとなった。この11月23日、文学フリマ東京にて頒布されたところであるが、「ペンパル募集」こと秋月朗芳編集長によれば近々通販も予定しているということなので、好事家の皆様におかれましては今しばらくお待ちください。

さて、今回の「UFO手帖」であるが、表紙からして実にアトラクティブであるし、中身はといえば総計170頁に及ぶ大作であって実に読み応えがある。

特集は 「カタチ」から入るUFO で、編集長自らその大部分をまとめておるのだが、なかなかに深い。

ある時期まで、UFOというのは円盤であり円いものというのが常識であった。ユング流にいえば円というのは精神の全一性を象徴するものであって、つまり円盤というのはどこかありうべき「夢=理想」と骨絡みだったンだが、やがてはそんなお花畑の虚妄性も次第に明らかになってくる。そういうところにノシてきたのは、リベットで鉄材をつないだような無骨な三角形UFOであって、それって何か時代思潮みたいなものを映してんじゃねーか・・・というのは、今回の編集長の論考を読んでオレが勝手に思ったことであるのだが、ともかくそういう喚起力をもつ企画である。

そのほか、各同人がそれぞれお得意の切り口で健筆をふるっておられるので、円盤方面にご興味のある方には必ずや益あるものと思う。一つだけ言っておくと、今回初参加された古参研究家、有江富夫さんが書いておる1947-75年の国内UFO文献の目録は地味ながら資料的価値の高い労作だと思う。

ちなみにオレも今回、特集の中の原稿として「冷蔵庫型UFO」、連載企画「この円盤がすごい!」で「リヴァリーノ事件」、以上の2本を書かせていただいておる。

冷蔵庫型UFOというのは、ジャック・ヴァレが「コンフロンテーションズ」の中でブラジル取材に基いて報告している一連の事件で、狩猟中の住民を追い回しては殺人光線を浴びせたと伝えられている凶悪UFOのハナシである。リヴァリーノ事件も1962年にブラジルで起きたとされるもので、息子が見守る中、球体の発する煙のようなものの中でオヤジが消失してしまったという事件である(前夜に不審者が家の中に出現し、「殺してやる」とか捨て台詞を残して去っていったという奇妙な伏線もあって、そそられる事件である)。

ということで、今回はステマならぬ露骨な宣伝になってしまったが、購入希望の方はSpファイル友の会のサイトだとかツイッターのアカを定期的にのぞかれるのが良いと思います。






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朝日新聞の名物記者が2014年から不定期連載していた「アロハで田植えしてみました」がいよいよ本当に完結してしまった。

この連載、最初は新聞記事にはあるまじきアナーキーな香りが漂っててスゲー面白かった。オレが前に書いたエントリーから再録すれば、この企画というのは↓

「会社に忠誠心なんてねーからオレ。仮に辞めなきゃならんハメになっても、田んぼ一枚ありゃ筆一本、ライターとして好きなこと書いて、どうにかこうにか食っていけるんじゃネ? つーことでオレ、田んぼ作ってみるわ」というノリで、長崎の田舎で朝日新聞の一流記者が田んぼ作りに挑戦するという初期設定

とゆーことで始まったのだった。

だが、それがなんか回を追うにつれて甘くなってしまった。

確か前回のシリーズは田んぼ作りの師匠が急逝してしまって「涙のお別れ」みたいな話になっておったし、最後は「田舎の小学生たちとの心温まる交流」である。新聞的なエエ話になってしまったのが気に入らん。

以前のエントリーではこんな注文を出しておいた↓


今後はぜひ初心に立ち戻り、地域の人々との心あたたまる交流路線は捨て、もうちょっとこう、なんというか、世の中に毒を撒き散らすような悪どい方向に歩んでいってもらいたいと切に願うのである。


そう、そのように切に願ったンだが、ちょっと残念であつた。

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UFOは…飛んでいる!

ジャン-ジャック・ヴラスコ
宝島社
2008-02-21




このあいだ古本で買ったジャン-ジャック・ヴラスコ&ニコラ・モンティジアニ『UFOは…飛んでいる!』(2008年、宝島社)をとりあえずザッと読んだので、今回はその感想文。

著者のジャン-ジャック・ヴラスコというのはフランスの公的UFO調査機関のトップだった人物である(もう一人著者として名前の挙がってるニコラ・モンティジアニというのはどういう素性の人物かわからんが、おそらくライターか何かで、ヴラスコの話を聞いてこの本を実際に書いた人間ではないかと思われる。この本ではまえがきを署名入りで書いているほか、末尾にヴラスコへのインタビュアーとして登場してもいる)。

そもそも「フランスには公的UFO調査機関がある」という話は、UFOファンであればしばしば耳にするところである。だが、ご承知のように日本のUFO研究っつーのはだいたい米国方面ばっかり見てるから、そのあたりの事情が日本に紹介される機会というのはあんまりない。そういう意味で、この本はなかなかに貴重なものであると思う。

閑話休題。本書によれば、そもそもフランスには「国立宇宙研究センター」(CNES:クネス)なる機関がある。言ってみれば、米国におけるNASA、日本におけるJAXAみたいなもんと考えれば良かろう。

で、このクネスの中に1977年に開設されたのがGEPAN(ジェパン:宇宙空間における未確認の現象に対する研究を行うグループ)である。ここではUFOと言わずにフランス語のPANなるコトバを用いているので、GE"PAN"という言い方になるようであるが、ともかく「UFOとはなんぞや」を調査する部局である。

これが1988年に改名されてSEPRA(セプラ:宇宙空間における気象現象を調査する部局)、2005年にはもう一回名前を変えてGEIPAN(ジェイパン:大気圏内における未確認の現象に関する研究および情報収集を行う専門部署)となる。やってることは別に変わってないということのようだ。以上をまとめてみると次のようになる。

1977 GEPAN(ジェパン)発足
1988 SEPRA(セプラ)に改名
2005 GEIPAN(ジェイパン)に改名

この部局の代表者は最初は天文学者のクロード・ポエル(UFO関係の話ではたびたび出てくる人だ)であった。これが、発足翌年の78年にはエンジニアのアラン・エステルに変わる。で、83年に三代目として登場したのが、このヴラスコであった(ちなみに彼は、GEPANの発足時から光学エンジニアとしてその活動に参画していたようである)。

で、2005年に組織がGEIPANへと再編され、代表にエンジニアのジャック・パトネが就くまで、彼はその職責を全うする。つまりヴラスコは、GEPANジェパン時代からSEPRAセプラの最後までの計22年間にわたってフランスのUFO研究の最先端にいた人物で、そういう人物がUFOをどう見ておるのかというのが本書のキモになるわけだ。

ここでは詳細をすっ飛ばして言ってしまうけれども、彼の主張というのは、「(目撃者の)証言が正確で首尾一貫しているけれども、現在の科学では説明できないもの」(彼はこれをカテゴリー「パンD」と呼んでおる)というのは一定のパーセントで確かに存在するわけだが、おそらくそれらは外宇宙から飛来したものであって、そして、その動機はおそらく人類の生み出した核兵器への関心と結びついている――というもののようだ。

「ああET仮説なのかこの人は」と感心しながら読んだのだが、それはそれとして、細部にもいろいろ面白く読んだところがある。

■その方法論
彼は、GEPANの調査方法について「四面体モデル」であると言っている。つまり探求すべきポイントとしては①証言②証人③物理的データ④文化・社会的背景――の4つがあるという。

ま、証言内容を吟味し、証人が信頼に足る人物かどうかを確認し、物理的証拠を探す、というのは当然のことだが、「文化・社会的背景」というのは確かに忘れられがちなポイントである(たとえばヒル夫妻は当時は珍しかった黒人夫&白人妻のカップルとして日常的に凄いプレッシャーを抱えていた、みたいな側面だろう)。これはとても良いことを言っていると思う。

■レーダー重視
あと、GEPAN、SEPRAではことのほか航空機のからんだレーダー&目視事例を高く評価してきたことがわかる。やはり航空関係者の証言だとか物証としてのレーダー記録だとかは相当な程度まで信頼性を担保するから、そのへんのスタンスにはさすが「国家機関なんで(`・ω・´)キリッ」という雰囲気がないではない(ちなみに、そういう文脈で寺内謙寿機長の日航機アラスカ事件なんかも中に出てくる)。

■フランスの事例
上に書いたように、レーダー事例はワシントン上空乱舞事件はじめ積極的に紹介しておるのだが、必ずしもそのへんにこだわらず取り上げた事例もある。中にはソコロ事件なんかもあるが、注目したいのは地元フランスの事例である。フランス政府がUFOと認定した3ツの事例(笑)を紹介する章があって、これはなかなか面白い。具体的にいうとそのうち2ツは着陸事例で、1982年10月21日のナンシー事件、1981年1月8日のトラン・ザン・プロヴァンス事件。もうひとつは1994年1月28日のエールフランス機事件である(最後のはレーダー事例でもある)。

■フランスからみた米国
この本はけっこうUFO研究史みたいなところにも触れてて、つまりは必然的にアメリカの調査機関とかの歴史的展開についても書いている。で、ひとつ面白いなと思ったのは、米連邦議会調査局の科学技術アナリスト、マーシャ・スミスなる人物が同局の依頼を受けて作成したという調査文書「UFOの謎」(1976年3月)に高い評価を与えていることだ。


UFOを決して認めようとしない人だけでなく、UFO肯定派の人々も、スミスの文書を無視してきた。私には、このことが不思議でならなかった。UFOの歴史を偏りなく網羅したこの文書は、第一級の資料である。これを読めば、素人の読者もUFOについて客観的な見方を育てることができるだろう。(142ページ)


ここまでベタ褒めしており、実際に1981年にはGEPANとしてこの文書を仏訳したとか書いてある。恥ずかしながら、オレなんかもこの文書のことは知らんかったが、ネットにはそれらしきものが上がっている。「フランスからの視点」的なものが何か意味をもってたりするのかな、と思う。いつかこれも読んでみたいものだ。

あと、カール・グスタフ・ユングがNICAP(全米空中現象調査委員会)に入っていたというような話もあって、本の最後にはNICAPの首領、ドナルド・キーホーにユングが送った手紙なんてものまで出てくる。大西洋を超えたUFO史みたいなものがあったんかなぁなどといろいろ想像に誘ってくれるところも、この本の面白いところであろう。(おわり)


【追記】
なお、日本のUFOファンの間には、「このGEIPANというのは何と読めばいいのか問題」というのがあって、つまりフランス語に堪能なUFOファンというのはあんまり居ないというのがその背景にあるのだが、これについては「ジェイパン」説と「ゲイパン」説がある。

本書はいちおうフランス語に堪能な人が訳したと思われるのだが、ここでは「ジェイパン」としておる。ところが、やはりフランス語に堪能で現地に住んでいるとおぼしき人の書いたこのブログでは「ゲイパン」としている。

アメリカのイーグル・リバー事件における目撃者 Joe Simonton が「シモントン」なのか「サイモントン」かに次ぐ大問題といえる。

が、よく考えたら天下のNHKがたしか「幻解!超常ファイル」で、この部局の人の取材をしていた記憶がある。それを視聴すれば「天下のNHKがどういっているか」で、この問題はいちおうの決着をみることにいま気づいた。誰か見てきて。











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そもそも詩とか歌といったものには全然理解のない無粋なオレであるワケだが、強いていうと「見放された人々」系の作品は何故か好きである。石川啄木とか山之口貘といったあたりだね。

啄木といえばこのへんか。
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一度でも我に頭を下げさせし
   人みな死ねと いのりてしこと






山之口貘でいえば、ま、これかなぁ
この兄さんは
成功しようかどうしようか結婚でもしたいと思うのですcontent_1297152868
そんなことは書けないのです
東京にいて兄さんは犬のようにものほしげな顔しています
そんなことも書かないのです
兄さんは、住所不定なのです
とはますます書けないのです
(「妹へおくる手紙」より=部分=)


で、数日前の日経新聞の文化欄で、虫武一俊という歌人の存在を知ったのだが、これがまさにそっち方面の人であった。記事にはこういう歌が載っていた。

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三十歳職歴なしと告げたとき 面接官のはるかな吐息
(『羽虫群』より)





ええなあ。いたたまれなさ、切なさが胸に突き刺さってくるぞ。才能がキラッキラ輝いておるぞ。36歳のひと。

で、ついでというとナンだが、関連でいろいろググっておったら、この歌集、オレは平成の戯作者と勝手に命名しているのだが、詩の方面にも造詣のふかい一流ブロガー・馬場秀和さんがブログでいちはやく紹介されておった。さすがである。




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先に出版された『UFO事件クロニクル』という本にほんのちょっぴり原稿を書かせて頂いた。その縁で、この本については時折いろいろググって評判など確かめておるのだが、その内容にかんして某UFO現象学者(という表現を使う人は限られているのですぐ誰かわかってしまうのだがw)がご自身のネットコラムで異論を唱えておられた。

問題となっておるのは、UFO研究の大先達といわれるアレン・ハイネックについての記述である。

曰く、この本には「若き日のハイネックは自然科学を好む一方でオカルトに魅了され」とあるけれども、彼はオカルト書やSFはほとんど読んだことがなかった、これはそっち系の好きなジャック・ヴァレの経歴と混同しておるのではないか――といったご指摘である。

で、アレ?と思った。以前ジェフリー・クリパルの『Authors of the Impossible』という本を読んだ時(いや実は拾い読みなのだスマン)、ジャック・ヴァレがハイネックと話していて、互いにオカルト好きであることが判明して意気投合――みたいな記述があったように記憶していたからだ。で、改めてそのページを開くと、ネタ元はジャック・ヴァレが自分の日記を本にした『Forbidden Science』であることがわかった。

日頃ヴァレ好きとか言っておきながら、こっちもいつも拾い読みしかしておらず、メンゴメンゴというところであるが、ともあれ手元にあるので該当ページを開いてみる。すると、227~228ページの「1966年11月13日、シカゴ」という項にこの話が出ている。

以下、お粗末な拙訳で申し訳ないけれども、そこに書いてある二人のやりとりを掲載してみよう。


ヴァレ あなたは天文学者になろうと心を決める前には、超常現象を研究していたのですね?

ハイネック 秘教に関する本を読むのに、ものすげー時間使っちゃったよね。もちろん仲間たちにはそんなことは言わなかった。気が狂ったと思われただろうからね。でも学生時代のボクは、薔薇十字団やヘルメス哲学について書いてある、ありとあらゆる本を読んでたってワケ。

ヴァレ 告白しておいたほうが良さそうだから言いますが、僕もそういう研究を数年間やっていました。最近まで薔薇十字団の組織に参加までしていたんですよ。

ハイネック どこの?

ヴァレ AMORC(Ancient Mystical Order Rosae Crucis)ですよ。サンホセに本部のある。

ハイネック 君も知っての通り、薔薇十字団を名乗る人々には幾つかの系統というものがあるよネ。秘教についての書き手もいろいろいるケド、若い時のボクにとってとりわけ印象に残ったのはマックス・ハインデル(注:20世紀初めの米国で薔薇十字団の一派を興したヒト)だった。ま、それもマンリー・ホール(注:前述ハインデルの弟子。出版事業でも当てる)の本に行き着くまでの間だったけどネ。最後にはいよいよルドルフ・シュタイナー(注:20世紀初期に活躍した神秘思想家。人智学を提唱)までいった。ボクの考えでは、こうした人々の中で一番「深い」のはシュタイナーだよ。


うむ。「薔薇十字団はオカルトではない」とか、あるいは「ヴァレはウソをついて自分の日記で話を捏造した」とかいうとまた別の話であるが、とりあえず結論はハッキリしとるんではないか。ハイネックは「オカルト大好き」だった。



Authors of the Impossible: The Paranormal and the Sacred
Jeffrey J. Kripal
University of Chicago Press
2010-05-30


Forbidden Science: Journals 1957-1969
Jacques Vallee
North Atlantic Books
1993-01-12



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