日本のUFO研究史上、絶対に忘れてはならない奇書がある。
郡純『異星人遭遇事件百科』(1991年、太田出版)という本である。



この本はもうさんざん色んなところで論評されているのだが、ひと言でいうと「日本各地で異星人による誘拐とかスゲエ事件が多発しているっ!」「MIBの写真が撮影されたっ!」とかいう驚天動地のUFOネタが満載でクソ面白いんだが、なんと実はそのほとんどすべてがウソっぱちだった!!ということで話題になった本である。

で、この本の著者で「異星人アナリスト」を名乗る郡純(こおり・じゅん)という人は何者かというのが気になるわけだが、いまググっても全然正体がわからない。念のためこの本のカバーに書いてある略歴は以下のような感じになっておる。


1953年12月20日横浜に貿易商の三男として生まれる。10歳のときUFOを目撃、異星人問題の虜になる。東北大学工学部中退後、イスラエルのヘブライ大学、アメリカのサーファン大学に留学。ユダヤ人との間に強力なコネクションを築いた。1986年帰国。横浜で家業をつぐかたわら88年にプロジェクトⅡA日本支部長に就任した。


ちなみに「プロジェクトⅡA」なんてものは聞いたこともないので、たぶんデタラメであろう。そうやって疑い出すとキリがなく、東北大学、ヘブライ大学というのは現に存在したような記憶があるのだが(笑)「サーファン大学」なんてものは実在するかどうか疑わしい。考えてみれば「横浜の貿易商の三男」「ユダヤ人と強力なコネクション」なんてのも、なんだか落合信彦ワールドのようで極度にアヤシイ。

ただ、ここが面白いところなんだが、確かに先の本は全編インチキばっかりとはいえ、よくよく読んでると、たまに本当のことも書いてある。まんざらUFOの事を知らないわけではなく、いや、けっこう研究をしていて、わかった上で敢えてそういう人を騙そう(と同時に楽しませようとしているのかもしれないけども)という本を書いていることがなんとなくわかる。

何なんだこの人は。

ということで、長年オレにとっては気にかかる人物であったわけだが、そういえばこの人、昔、テレビのUFO番組に出ていたよなぁと思い出した。で、今回YOUTUBEを探してみたら、彼が出演している「PRE★STAGE」という深夜番組がアップされているのをみつけた。ザッと流し見してみたんだが、なかなか面白い。別の回にも出演してたのかもしれないが、オレが「ナマ郡」を見たのはいずれにせよこの「PRE★STAGE」だったのだろう。そんな気がしてきた。

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ちなみにこの番組は1991年の放送ということのようで、もう四半世紀前になるのかオレもトシを取るわけだなあという感慨を禁じ得ないのだが、これを懐かしく鑑賞しつつ、以下数回にわたって「郡純とは何者だったのか問題」を考えていこうと思う。(つづく


 追記:このあとネットでちょっとググったりしてみたのであるが、このサイトを見ると、郡純氏はこの回以外にも何度か「PRE★STAGE」に出演していたようである。オレはどの回を観ていたんだったか、そのへんはもう全く忘却の彼方である