そもそも詩とか歌といったものには全然理解のない無粋なオレであるワケだが、強いていうと「見放された人々」系の作品は何故か好きである。石川啄木とか山之口貘といったあたりだね。

啄木といえばこのへんか。
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一度でも我に頭を下げさせし
   人みな死ねと いのりてしこと






山之口貘でいえば、ま、これかなぁ
この兄さんは
成功しようかどうしようか結婚でもしたいと思うのですcontent_1297152868
そんなことは書けないのです
東京にいて兄さんは犬のようにものほしげな顔しています
そんなことも書かないのです
兄さんは、住所不定なのです
とはますます書けないのです
(「妹へおくる手紙」より=部分=)


で、数日前の日経新聞の文化欄で、虫武一俊という歌人の存在を知ったのだが、これがまさにそっち方面の人であった。記事にはこういう歌が載っていた。

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三十歳職歴なしと告げたとき 面接官のはるかな吐息
(『羽虫群』より)





ええなあ。いたたまれなさ、切なさが胸に突き刺さってくるぞ。才能がキラッキラ輝いておるぞ。36歳のひと。

で、ついでというとナンだが、関連でいろいろググっておったら、この歌集、オレは平成の戯作者と勝手に命名しているのだが、詩の方面にも造詣のふかい一流ブロガー・馬場秀和さんがブログでいちはやく紹介されておった。さすがである。