たまにはUFOネタを書いてみよう。

ジャック・ヴァレには自らの歩みを記した日記を本にした『禁じられた科学 Forbidden Science』というシリーズがあって、これまでに3巻が出ているんだが、その第1巻が1992年に出たとき、ちょっとした議論を呼んだエピソードがある(と聞いている。リアルタイムでフォローしてたわけではないけどw)。

それは何かというと、いわゆる「ペンタクル・メモ」のエピソードである。

ヴァレは、「米政府はUFO問題への取り組みをすべて公開しているわけではなく、これまで陰でいろいろやってきた」という、いわゆる陰謀論を唱えていることでも有名だ。

もっとも「米政府は墜落した円盤を秘匿している」とか「宇宙人とコンタクトしている」といった話は否定しており、つまり彼は「米政府はUFOを隠れ蓑に秘密兵器を開発している」といったレベルの陰謀を考えているようである。

閑話休題。問題の「ペンタクル・メモ」であるが、これはヴァレが自らの陰謀論を支える証拠として持ち出してきた文書であって、先の『禁じられた科学』でこの話をはじめて明かした。それがけっこう話題になったらしく、いろいろと物議を醸してきたらしい。

以下、この文書について簡単に説明しよう。

話は1967年にさかのぼる。ヴァレはこの年、UFO研究の盟友ともいえるアレン・ハイネックに散らかったUFO資料の整理を頼まれたらしく、旅行中のハイネックの家に入り込む。ちなみにハイネックは米空軍のブロジェクト・ブルーブックなどという調査機関の顧問をやっていたから、その手の資料がもろもろあったということなのだろう。

そこで見つけたのが「ペンタクル・メモ」であって、要するに手紙である。日付は1953年1月9日。全2ページで、送り主はバテル記念研究所のH・C・クロス、宛先はライトパターソン空軍基地のマイルズ・E・コルという軍人である。ブルーブックの責任者であるエドワード・ルッペルト大尉にも回覧するよう書いてあって、要するに米空軍のUFO問題担当部局と、業務委託の関係にあった外部の研究機関との間の打ち合わせ文書ということになろう。

で、ちょうどこの月の中旬、CIAがスポンサーとなって、「UFOは国防上の脅威なのか」「UFO研究に科学的価値はあるか」といった問題を科学者たちから聴取する査問会がワシントンで行われることになっていた。いわゆるロバートソン・パネル(ロバートソン査問会)である。

結果的には「別に脅威だとは言えんし、科学研究してもイイことあるかわからん」といった話になって、「UFO研究に意味ナシ」という烙印を押した会合としてUFOファンの間では悪名が高いのだが、それはともかく、ペンタクル・メモには「ロバートソン・パネルに持ち出していい話・持ち出したら悪い話について打ち合わせしましょうや」みたいに読める部分があった。

そのほかにも「バテルでは秘密裏にUFO研究が行われていた」とか、あるいは「人為的にUFOの目撃ウエーブを起こしてみよう」みたいな記述があった。というか、ヴァレはそういう風にこの文書を読んだ。で、「ああ、やっぱ陰謀やってんじゃん」とヴァレは言いだしたのだった(ちなみに、ペンタクルというのは、この時点でヴァレが身元を明かすのはマズイんじゃねーか、ということで、差出人の仮名として付けた名前である。故に、一般にはこれが「ペンタクル・メモ」と称されるに至ったという次第)。

オレはヴァレのフォークロア的なUFO論には興味があるが、陰謀論には正直あんまり関心がない。ただ、ヴァレ研究家の礒部剛喜さんが、昨年だったか、このペンタクル・メモを高く評価するネットコラムを書いておられた。ま、そういう考え方もアリだとは思うが、ペンタクル・メモにはけっこう批判もあるということを知っておくのも、ヴァレを学ぶ上では意味があるんではないかと思う。

確かジェローム・クラークの『The UFO Encyclopedia』にもネガティブなことが書いてあったが、今回は、このメモについてやはり批判的なことをいっている懐疑論系のUFO研究者、ロバート・シェーファーの論考を紹介してみよう。これは彼のサイトに載っているのだが、そのことはNHKの「幻解!超常ファイル」にも出た(!)UFO研究家の小山田浩史さんに以前教えてもらった。

…と前置きのつもりで書いていたら、ずいぶんと長くなってしまい、本題に入れなかった。項を改めてその内容をご紹介しよう。(つづく)