2011年03月

このたびの大災害にともなう原発メルトダウンについて、「想定外だった」という言説がある。だが、本当にこれは「想定外」だったのか?

福岡賢正氏による毎日新聞のコラムがそのことを書いている。大津波による電源停止、引き続いての炉心溶融と水素爆発、さらには使用済み燃料貯蔵プールからの放射能漏れ――まさに今回の事故をなぞるかのような描写だが、原発にはこのようなクライシスが起こりうることを説いていた研究者がいる、とコラムは説く。神戸大の地震学者、石橋克彦氏である。

だが、メディアや政治家はその言葉に耳をかさなかった。想定されていたものなのに、それを無視したまま、いまになって「想定外」というのは欺瞞ではないか、というのである。メディアに属す人間としての、この、ある種の自己批判は実にいさぎよいと思う(ちなみに石橋氏のサイトはここ)。

さらに、9世紀の貞観地震並みの地震が起これば福島原発はきわめて危険、と警鐘を鳴らしていた研究者もいる。産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長の岡村行信氏である。だが、彼の警告も結局は生かされることがなかったという(ソース【注】)。

自らの耳を塞いでおいて、いまになって「想定外」と言う。これは許されるべきことではないと思うのだが。


【注・追記】

なお、経産省の審議会で「貞観地震クラスの地震を考慮すべきだ」という主張があったにもかかわらず、東電がそれを無視した――というトーンで書かれたこの毎日新聞記事については、石橋克彦氏が「世界」5月号掲載の論考『まさに「原発震災」だ』で「適切でない」と批判を加えている。

それによれば、当該審議会でのO委員(ここではそう表記している)の発言は「耐震設計の基準とする地震動(揺れ)の策定にあたって(中略)貞観地震(による地震動)を考慮しないのはおかしい」という趣旨のものであり、津波自体の危険性を説いたものではなかったという。石橋氏は「貞観津波自体が重要だと思ったならば、津波の検討を急げとはっきり言うべきだった」とも言っている。

ちなみに石橋氏はこの論考で、記事中のO氏の「原発であれば、どんなリスクも考慮すべきだ」との発言にかんし、このO氏が柏崎刈羽原発に関しては建設地における大活断層の存在可能性を「頑強に否定して結果的に東電を擁護している」とも言っている。アンタ、今になって慎重派だったようなフリをするなよ、とでも言いたげであり、この辺にはビミョーな確執があったことをうかがわせる。


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えーと、震災絡みの衝動買いということで、いまなかなか手に入らなくなっているというLEDランタンをネットで注文。しかも2個。たまたま今は計画停電の範囲外に住んでいるけれども、夏には停電の網にかかってしまう公算も大きい。今のうちに準備しておこうという魂胆である。ただし、頼んだのは両方とも現在欠品中ということで(笑)。

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これは「高輝度LED12灯 ダイナモ発電 ランタン」と称するもので、ネットでたまたまみつけたのだが、送料込みで1980円というので、まぁなんか怪しげだがポチってしまった。手回し発電で使える、というのがウリ。4月下旬発送予定らしいので、期待せずにのんびり待とう。

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もう1個はこれ。Rayovac SE3DLN Sportsman Extreme 300-Lumen LED Lanternというやつ。アマゾンUSでポチった。こっちはカスタマーズレビューをみると、そこそこ評価が高い。もっともスイッチを切っていても小さいランプがつきっぱなしで、微妙に電池を食ってしまう、よって電池入れっぱなしはマズイというようなことが書いてある。ま、いいか。送料込みで35ドルぐらい。夏までには来るんじゃないかな。

ともあれ、震災で萎縮せずにカネを回すのも世のため人のため、というし、我が家の危機管理という意味でも有意義な消費行動。自分で自分を褒めてあげよう…………と一瞬思ったが、よく考えるとアマゾンUSで買ってもカネはまわらんかったかw
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というわけで、いま世界の人々のうち最も放射線についての知識があるのは日本人ではないだろうか。まぁそれも必要に迫られてのことなので、なんか切ないわなぁ。

そうそう、ちょっと脱線するけれども、日本人の英語ベタは「べつに英語わかんなくても日本に住んでりゃカンケーないよ」的状況と関係してる、って説がある。日本語を母国語とする人間が1億2千万人も集まってて、外国のベストセラーなんかもすぐ翻訳が出る。仕事でも英語必須ってわけじゃない。苦労して英語覚えなくたっていいじゃん――という話だ(モチロンこれからどうなるかは知らん)。

好きも嫌いもなく、メシ食ってくためにゃ英語覚えなきゃいけない小国の人たちに比べてみれば、これって実はすごく幸せなことだ(というようなことを鈴木孝夫という言語学者が言っていた)。必要に迫られていや応なく「お勉強」しなければならないというのは、なんであれ辛いことである。

閑話休題。今回の震災以降、ネットとかで放射線のことをいろいろ調べてみた。東北の方々には申し訳ないが、とりあえず東京周辺の俺たちはどんな状況にあるのかという話だ。で、おおむね以下のようなことであろうと理解した。ソースうろ覚えだし、物理は全くわからない文系なので(笑)必ずしも正確ではないとは思う。

とりあえず「年間被曝量100ミリシーベルト」が医学的には一つの目安。「これを超すとガンや白血病になる確率が、ひょっとしたら微妙に上がっていくかもね」といった感じらしい。とゆーか、ガンの可能性を高める因子としては喫煙とかいろいろあるみたいだし、ガンで死ぬ確率が50パーセントだったのが、100ミリシーベルトの被爆しました、ハイ確率0.5パーセント上がりました、なんて風に言い切れないのが科学の事情というものらしい。人体実験もできないしな。

まぁそれはそれとして、とりわけ俺のような中年男だと、仮に20年30年後にビミョーな影響が出ても大勢に影響ないということはわかった。じゃ累計100ミリまで許すか、という寛大な気持ちになる。

では平時に俺たちはどれぐらい被曝しているか。普通に暮らしていると、宇宙・大地・食物・空気から自然放射線を年間2.4ミリシーベルトほど被曝する。ただしこれは世界平均で、日本だと空気中の放射線量が若干少ないようで年間1.4ミリシーベルトぐらいらしい。ちなみにブラジルのガラパリというところは年間10ミリシーベルトに及ぶというが、別にガン多発地帯でも何でもないとのこと。

ちなみに国際放射線防護委員会(ICRP)という組織があって、ここの勧告だと「一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度」が1ミリシーベルト。さっきの「年間100ミリシーベルトまでなら大丈夫」という話とツジツマがあわないのはどーなんだと思うのだが、この1ミリシーベルトという数字の根拠は、調べた限りではよく理解できんかった。素人的には、なんか腰ダメで「まぁこの辺なら全然問題なくネ?」的に決めたような印象を受ける。ときあたかも、このICRPが「非常時だし1ミリシーベルトにこだわらなくていいんじゃね? 20ミリあたりでもいいんじゃね?」みたいなことを言い出しているとのこと(ソース)。

というわけで、年間100ミリシーベルトまではだいぶ余裕があるということがわかった。

いま東京の空気中の放射線は、通常値の数倍で、多めに見積もって毎時0.15マイクロシーベルト=0.00015ミリシーベルト。これがずっと続くと、えーと、電卓たたくと累計で年間1.31ミリシーベルト。

それから、最近話題の水道水の基準値は、放射性ヨウ素の場合300ベクレル/リットル。その1リットルの水を摂ったときの被爆量は6.6マイクロシーベルト。で、毎日1リットルで365日飲み続けたとすると累計2.4ミリシーベルト。…………年1ミリをベースに考えると「ダメじゃん」ってとこだが、100ミリベースで考えるとまだまだOKじゃん。

というワケで、原発から放射線物質ダダ漏れ状態が続いているようで何となく気持ち悪い状況ではあるけれども、とりあえず、大のオトナは大丈夫。慌てる必要はないのである。

やっぱ、あれかな、ICRPじゃないけれども、政府も「年間1ミリシーベルトって数字は、ホント天地がひっくり返っても全然問題ないレベルってことでとりあえず出してた数字だけども、マジいうと100ミリシーベルトまでなら大丈夫なんだよね。これから100ミリ基本に考えようね」的な啓蒙すべきじゃないのか。原発推進とはいわぬまでも、「電気をふんだんに使える生活のためには原発使うしかないよね、CO2も出さないし」とかいって今までのエネルギー政策を大筋で容認してきた我々なんだから、そのぐらいのリスクはとって当たり前、というか。「いや、俺は終始反原発だった、いわんこっちゃない、どう落とし前つけてくれるんだ」という人には平謝りするしかないのだが。ゴメンなさい。

P.S.
何か原発問題で興奮してるのか、ついつい長い長いチラ裏になってしまったわけだが、ついでにもう一言。「1日20本のタバコを1年間吸い続けた人の発ガンの確率は、70~280ミリシーベルトの放射線被ばくをうけた人と同じ、という報告もあります」という話もある(ソースは放射線科学センター)。なんだ、年間100ミリシーベルト相当の毒、もう何十年も浴びてたじゃん俺、1月から禁煙してるけど遅すぎじゃん、って話である(笑)。
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今日も午後になって、東京・金町浄水場で放射性ヨウ素が1キロあたり210ベクレル検出された(昨日の時点の数字らしいが)という、ちょっと滅入るニュースがあった。水道水どうよ、って話だ。

赤子だとそのまま飲ませ続けるとよろしくないレベルだそうだ。まぁ大人は300ベクレルまで暫定的にOKということで、そもそもヨウ素による甲状腺ガンの危険なんてものは俺みたいな年寄りには関係がないらしいからどうでもいいのだが、家には18歳と7歳の子がいる。特に7歳のほうのことがあるから、ちとナーバスにならざるを得ない。

このところ、基本的には日本政府を信じようと決めている。なので風呂とかはもう目をつぶってそのままでいこうと思ったが、許せ、飲料水ぐらいは安全なものを数日分用意してえな、と思った。で、会社帰りにコンビニなど寄り道して数リットル買い込んじまった。ごめん。ちょっとセルフィッシュだった。


それはそれとして、なんだ、年をとると涙もろくなっていけねーや。ここんとこ、「プレイ・フォー・ジャパン」とか「オペレーション・トモダチ」とかいう言葉を聞くと、ついつい涙腺が緩んじまう。

お人好しで、不器用で、口べたな日本人。愚直でマジメなところだけが取り柄の日本人。友達なんているのかな、そんな風にいわれてきた日本人。でも、いざというときになって、みんな「何とかしてやろうよ」って言ってくれた。もちろん待避していく人たちもいるんだけどね、それは俺たちにも十分わかる行動だから。あんまりセルフィッシュにならずに、なんとかこのさきやっていきたいな。

・・・明日はいい一日になりますように。
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その後、福島第一原発の重篤な事故も発生し、予断を許さない状況が続く。さきほど三号機の管制室に外部電源が入ったとの報があったが、まだまだ紆余曲折はあるのではないか。

いまんとこ、東京の放射線量はやや高止まりで、0.15マイクロシーベルト毎時といったところ。もっとも、ネットで調べると、ローマでは恒常的に0.25ほど出ているらしい。東京はまだそれほど慌てる必要はない。

ただなぁ、なんか今つくづく思うのは、もう俺たちは3.11以前には戻れないんだな、ということ。なんやかやいっても原発はなんとかコントロールできるし、そのエネルギーによってたつ現代文明もなんとか維持していける。そんな思い込みの危うさが一気に明らかになっちまった。

万単位の死者も出ている。復興はしなけりゃならないし、出来る、とはおもう。だがある種、俺たちの傲慢がはっきりしてしまった今、じゃあこれからどうやって生きていけばいいのか。俺たちは文明論的な重い問いをつきつけられているんだ。もう無邪気ではいられない…
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本日午後3時前の東北太平洋沖地震、東京のマンション自宅で体験。当地・江戸川区は震度5強だったらしいが、マンション高層部だったせいか、いまだかつて体験したことのない揺れ。

台所の棚の中では食器がガチャンガチャンぶつかりあってるし(じっさい何枚か皿が割れた)、本棚もグラングランと揺れはじめた。その前にいたので、思わず跪いて体重をかけて支えたりした。何か体感的には右に左に建物が20~30センチも揺れているかんじ。妻はなんか絶叫して、小学生の息子をダイニングのテーブルの下にひきずりこむ。

本はバラバラ飛び出し、ダイニングのテーブルの上に置いてあったコーヒー入りのカップが吹っ飛んで、じゅうたんの上に落ちた。テレビラックの下の段のレコーダーは半分飛び出し、テレビ自体も斜めにずれて今にも転落しそう。そんな地震が2分間ほどか。建物壊れちまうんじゃないか、もうやめてくれ、もうやめてくれ。必死で願った。

初期微動からしばらく時間があったので、アタマの片隅では震源地が遠いことだけはわかっていた。いわゆる直下型の東京大地震じゃない。しかし、それにしては強い、強すぎる。じっさい、凄い地震であったわけだ。長い2分間だった。犠牲者の冥福をお祈りしたい。

教訓。東京大地震はこんなものじゃすまんだろう。家具の固定とか、おざなりにしていたが、なんとかしないといけない。


そのあと、余震の続くなか、都心の会社まで歩きとバスで行った。夜勤だったので。マンション前の道路、水道管が破裂したようでひどく冠水していた。公園には怖くなって避難してきた人々の姿。おそらくこんな地震は想像したこともなかったであろうインド人たちが(この街には多くのインド人が住んでいるのである)、不安げな表情で寄り添いあうように固まっている。

都心に向かっていくと、歩道を凄い数の人が歩いていた。行く人、帰る人。日本人は勤勉であると思った。

(3月27日追記)なお、ここで記した道路の冠水は、じっさいには液状化現象によるものであった。念のため訂正しておく
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捕まりましたな。逮捕までするのは如何なものかという議論もありますが、まぁ残念ながら「リビア問題よりカンニング問題」というのが大多数の人たちの興味関心というわけで、ここまでおおごとになってしまいました。

しかし、逆にいうとそれだけ今回の問題が騒がれた背景には、「一流大学の入試が汚されるとは!言語道断なんたることか!」みたいな、一流大学にたいするある種の聖域信仰みたいなものがあるんじゃないか。

大学入試って、かんがえてみると通過儀礼みたいなところもあるしね。分離・過渡・統合みたいな段取りもあるし。イニシエーションのプロセスはきびしいけれど、いったん中に入ってみると、意外や意外、「なんてゆるいんだ!」ってとこもあるし。

結論。これだけ学歴は万能じゃないっていわれる時代になっても、大学信仰はまだまだ根強い。
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2月あたまから禁煙(というか断煙)しているから、やっと1か月。なんとか続けている。
とりあえず変わったこと。

――ガムをのべつまくなしに噛むようになった。

――歯槽膿漏の奥歯にモノがはさまりにくくなった。

――ベルトの穴がひとつずれた。



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一連の巧妙?なカンニング事件であるが、偽計業務妨害で「犯人」をしょっぴくのは難しいという議論が出てきているようだ。しかし、かつて無理筋といわれながらWinnyの開発者を著作権法違反幇助容疑でしょっぴいた(笑)京都府警も乗り出したことだ、権力をあまりみくびってはいけない。国民大衆もイケイケだしな。
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