2018年09月

というわけで、最近チマタのオカルトファンの間でちょっとした話題になっているのが松閣オルタ著『オカルト・クロニクル』である。

当ブログでも先にその読書感想文(?)的なものを掲載したばかりであるから改めて紹介することはしないが、幸い一時はAmazonからも本が消えたという噂もあるぐらい売れているようなので、今回は「祝!ベストセラー」企画(笑)として、今回の本には載っていないがオリジナルのサイトには掲載されているオカクロさんの記事「画家だって第三種接近遭遇する――レジャー星人ハウピ村事件 」に関して、オレがちょっと当たってみた新情報?を開陳することにしたい。

以下、この事件については、とりあえずは皆さんオカクロさんの記事を読んでいるという前提で論じていくこととしたい。

注:ちなみに現場の「ハウピ村」であるが、表記はChałupyであるらしく、しかしもちろんポーランド語は知らんので読み方はよくわからん。FORVOという各国語の発音を調べるサイトにいってみたら「ハウーペ」という風に聞こえたが、まあとりあえずオカクロさんの採用した「ハウピ」で通すことにしたい。


さて、詰まるところこの事件というのは、1981年8月8日夕、ポーランド北部のバルト海に面したハウピ村という保養地で、画家がエイリアンらしき2人組とその乗り物を目撃したという話であるが、そのキモは「このとき描かれた宇宙人の絵は<画家>が描いたハズなのに異様にヘタクソだった」という点にある(↓これが目撃者が残したとされるイラスト)

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この辺はオカクロさんも指摘しているが、いわゆるエイリアンに遭遇したという目撃者はそののち必ずといっていいほどイラストを描いてみるものなのだが、どういうわけか、マトモに──というかリアルにちゃんと描かれたイラストというのは事実上皆無である。


一説に「エイリアンは目撃者の画力を奪う特異な能力を持っている」(笑)と言われるほどで、だからこそ「じゃ、ちゃんとした画家とか絵心のある人が遭遇したらマトモなイラスト描いてくれるかな?」という期待が膨らむワケだが、しかし今回のチャレンジャーも画家だったハズなのに、またぞろヘタクソなイラストを描いてしまい、一敗地に塗れてしまった(orz) という話なのである

(実は過去にもヨハニス某という自称画家?がやっぱり遭遇体験をしてるんだが、そのときもイラストは「ヘタ」だった。詳しくはググられたし)


さて。


こないだふと思い出したのだが、先般購入して積ン読状態になっている『UFOs over POLAND』という本が手元にある。Piotr CielebiasというポーランドのUFO研究家が「どんなUFO事件だって、英語で書かなきゃ世界的にみたら存在しなかったのと同じことになっちゃうんだよなー。そだ、じゃあオレ英語で本書いてみるワ」といって、ポーランドのUFO事件史を記した本である。

素晴らしい心意気である。あるけれども、スミマセン、例のエミルシン事件のとこをちょっと読んだだけで放置してましたゴメンナサイ。ま、それはともかく、「あッ、じゃ、この奇妙な事件のことも載ってんじゃネ?」ということで、今回パラパラめくってみた。そしたら、あった(48-50Pあたり)。で、わかったことを記しておく。

■ オカクロさんによれば、目撃者を「画家」だとする記述は、どうやらご覧になった資料の中では唯一中村省三著『宇宙人の死体写真集』だけが載せているようなのだが(ちなみにオレはこの本を持ってない。ま、安いからそのうちAmazonで頼むか)、このピョートルさんの本には目撃者は当時38歳の「Ryszard K, an artist from Warsaw」であった、という記述がある。ワルシャワから来たアーチスト。ふむ、ま、画家かどうかはともかくアーチストではあるらしい

■ ただこの本には、オレなんかもどっかで見た記憶のある上記の「ヘタッピーなイラスト」は載ってなくて、代わりにというか、この図版が載っていた(↓)


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念の為キャプションを訳しておくね。「1981年のヘル(訳注:地名)における議論多きUFO遭遇事件の模様を目撃者自身が描いた絵画 ©K・リシャルト/カジミエール・ブコウスキー・アーカイブ」=なお人名は読み方テキトー=


如何でしょう。イマイチ鮮明でないんだが、これって上のイラストとえらく筆致が違うように見える。うまいのかどうかはよくわからんが、少なくとも「そんなにヘタでもない」ような気がする。エイリアンの造形なんて、東映動画のヒーローものあたりに出てきそうでなかなか良いのではないか。

がしかし、そう考えると、先にご紹介した「ヘタクソイラスト」って何だったの?ということになる。あれも目撃者が描いたのか? 誰か適当に作ったヤツじゃないのか? で、一番重要なのは、Ryszardさんが描いたのはコッチの絵で、さっきのヘタイラストじゃないということになったバアイ、「エイリアン画力破壊説」への反証が一つ挙がってきたことになる。のではないか?

■ この『UFOs over POLAND』の記述、事件のあらましについてはオカクロさんのと若干違うところもないではないが、まあおおむね合致している。ただ、加えて注目すべきことが一つ書いてあった。目撃者は「カメラを携行していたが、エイリアンを撮るのは忘れていた」(笑)ンだそうだ。そう、これもUFOにかんしてよく聞く話である。カメラを持っていた。なのに撮らない。というか「撮れない」のではないか。この辺にはUFO事件の本質に深く関わるものがあるとオレは睨んでいる。


というわけで、かえってナゾは深まったような感もある。

今回参考にした『UFOs over POLAND』という本であるが、この事件に関しては「Bzowski K.」という現地の研究家の調査をもとに記述しているようなので、本当はそっちの資料にじか当たりしたいところである。ただし、この人もたぶんポーランド語でばっかり書いてたンだと思う。ポーランド語ができて、かつUFOがお好きな方はぜひ何とかしていただきたい。

──あと、最後にひと言。このBzowskiさんは故人のようだが、UFOの調査資料はやっぱり没後に奥さんが処分して(笑)散逸してしまったらしい (ヽ´ω`)


【追記】

なお、「一日に数人訪れてくれれば御の字」というこの辺境ブログではありますが、高名な「オカルト・クロニクル」絡みのネタということもあってか、このページには比較的来訪者が多い。

なのでちょっと宣伝をしておこうと思うのだが、今回ネタ元にした「UFOs over Poland」を紹介する文章を、このほど刊行されたUFO同人誌「UFO手帖 4.0」に書いております。オレの原稿はともかく、とてもバリエーション豊かな面白い本だと思いますので興味のある方はコチラをご覧ください。(2019/11/26記)
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「奇妙な論理」「奇妙な論理 Ⅱ」というのは、いずれもオカルトに興味をもつ人の間ではよく知られている本だ。

アメリカの科学ライター、マーチン・ガードナーが1952年に出した「In The Name of Science」(のちに「Fads and Fallacies in the Name of Science」と改題されたようだが)の翻訳本で、市場泰男の訳で現代教養文庫から出ていた。ひと言でいってしまうと、自然科学サイドからするオカルト・デバンキング本である。



*と、ここまで書いたところで検索してみたら、現代教養文庫の社会思想社が潰れたせいか、そのごハヤカワ文庫のほうからも出版されていたようである。早川版も絶版ないしは品切れのようであるが、まあ古本で容易に買える。




ま、この方面では古典的な著作であるし、とても面白いから未読の方は読んでおかれるとよろしかろう。

閑話休題。

この邦訳版の2冊の本は、実は最初に「日本の読者もきっと興味があるだろうな」という章だけをセレクトして出版し、その後、「いやいやよく考えると他の章も面白いんじゃねーか」ということで続編が出たという経過をたどったようである。これでオリジナル本の25章のうち、22章まではカバーできた。だが、最近、この「奇妙な論理 Ⅱ」を再読していて気づいたのであるが、最終的に割愛された3章のひとつは、いまだ邦訳こそ出ていないものの奇現象研究家として世界的にその名も高い、あの幻の著述家、チャールズ・フォートを取り上げたものであるらしい。

訳者の市場氏は、このほか同様に記述を割愛したアルフレッド・ウィリアム・ローソン、ロジャー・バブソン(ちなみにこの二人が何者であるかはとんと知らぬ)とともにフォートの名を挙げ、「特異な奇人科学者個人を扱ったもので、内容が普遍性に欠け、教えられるところも少ないと感じたものですから、紙数が限られていることも考えて省略した次第です」と書いている。

ううむ、まぁ科学畑の人からすりゃあ、「フォート? なんだそんなヤツ、単なる変人だろが」と一蹴したくなるのはわかるが、この「奇妙な論理 Ⅱ」は1992年に出ているから、その時点でチャールズ・フォートについて(否定的ではあっても)それなりの紹介が日本語でなされていたら、彼への注目度はだいぶん違っていたのではないか、そして、近くようやく日の目を見るのではないかとウワサされているフォートの主著「呪われしものの書」の翻訳出版ももっと早く実現することになったのではないか、などと死んだ子の年を数えるようなこともしたくなってくる。

「市場さんちょっとそれはまずいッスよ、ローソンだバブソンだなんて連中は省いて結構ですが、やはりフォートは入れないと」と四半世紀前に戻って忠告してあげたいところだが、ただまぁ上に書いたように「呪われしものの書」がいよいよ刊行されるのであれば、結果オーライで良しとするか。

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Charles Hoy Fort(1874 - 1932)


【追記】
ネットを徘徊していたら原著「Fads and Fallacies in the Name of Science」のテキストを発見した。そのうちフォートを取り上げた章を読んでおこうと思う。余裕があれば、概略を当ブログで紹介してみたいし。

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ここんとこ、大相撲(笑)・アメフト・バスケ・体操、あるいはもっとあったかもしれないが、スポーツの世界でいろんな不祥事が花盛りである。

オレはこういうのは大変結構なことだと思う。なんとなれば、「スポーツは健全である」みたいな「誤解」が、こういう不祥事続発によって解かれていくと思うから。

スポーツは心身に悪い。

これはオレの年来のテーゼであるが、それが事実によって立証されつつあるといってもよい。参考までに、この問題について当ブログに以前書いたエントリー「だからスポーツマン=健全というのはウソだから」へのリンクを貼っておこう。



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オカルト・クロニクル」といえば、もう何年前であったか、オレがウェブ上で偶然に遭遇したサイトであった。

一読、魅了された。オカルトという括りがいいのかどうかは知らんが、未解決事件や怪現象、奇人伝といったものなども含めてミステリアスなお話を世界各地から渉猟し、書籍・ウェブなどフルに活用して調べ上げた報告が山盛りである。

で、加えて特筆すべきはその主宰者・松閣オルタ氏の文体である。

そこにあるのは「ミステリーって大好きなんだよなー。けど、ま、オレもそんなマジで信じてるわけじゃないから」的な、いわば斜に構えた姿勢であって、謎に惹かれる自分を認めつつ同時に「そうそう簡単に信じてたまるか」的なツッコミを入れる。諧謔に満ちたノリツッコミ文体といえばよかろうか。そこに生じるのは自らをも客観視するところに生まれるユーモアというヤツである。

考えてみると「信じたい。が、信じられない」的なこの二律背反的感覚というのは、おそらくは子供時代に1970年代のオカルトブームの洗礼を受け、だが長じるにつれて「そうはいってもそんなのHOAXだよなあ」という「常識」に屈してきたオレなどの世代からすると、相当に普遍的なものがあるような気がする。だからこその魅力、ということになるのだろう。松閣氏はしばしば読者に対して「諸兄」などと呼びかけているのだが、多くの人々が「あぁオレもその<諸兄>の一人だわ」と思ったであろうことは疑いない。

そんなクオリティの高いサイトであるだけに、オレなども以前、これは本にするべきだなどとツイッターに書いていたのだが、今回それが本当に本になってしまった。


ほとんどはサイトの記事の再録ではあるのだが、寄る年波で老眼が進み、かつ眼精疲労に悩まされているオレなどからすると紙ベースの本はやっぱり読みやすいし、そもそも細かい内容は忘れてしまっている(笑)。書籍化は実に慶賀すべきことである。

で、感想文などと称してはいるが、なんかここまで書くのに疲れてしまったのでもう内容には触れないけれども(笑)「この世界の現実はほんとうに現実なのか。そこには何かまだウラがあるんじゃねーか。だがそうそう簡単には納得しねえからな証拠だしやがれこのヤロウ!」などと心中に思うところのある人はぜひ読んで頂きたい。そこには「現実ならざるもの」へと至る極めて細い糸がいまだ奇跡的に残されている、ようにも見えるから。

なお、「あ、わりぃ、オレはサイトで済ませるわ」という人もいるかもしらんが、著者の今後の調査活動の継続を願うのであれば「お布施」的に書籍を買うがよろしかろう。取り上げている項目についてはアマゾンのサイトなんかでも見られるけど、以下、参考のために目次だけ掲載しておこう。



もくじ
はじめに
――信奉者はタフなロマンを! 信奉者の敵は懐疑論ではなく安易な否定論だ!

ディアトロフ峠事件
――ロシア史上最も不可解な謎の事件

熊取町七名連続怪死事件
――日本版『ツイン・ピークス』の謎

青年は「虹」に何を見たのか
――地震予知に捧げた椋平廣吉の人生

セイラム魔女裁判
――はたして、村に魔女は本当にいたのか……

坪野鉱泉肝試し失踪事件
――ふたりの少女はどこへ消えたのか……

「迷宮」
――平成の怪事件・井の頭バラバラ殺人事件

「人間の足首」が次々と漂着する“怪"
――セイリッシュ海の未解決ミステリー事件

「謎多き未解決事件」
――京都長岡ワラビ採り殺人事件

ミイラ漂流船
――良栄丸の怪奇

科学が襲ってくる――
フィラデルフィア実験の狂気

岐阜県富加町「幽霊団地」
――住民を襲った「ポルターガイスト」の正体

八丈島火葬場七体人骨事件
――未解決に終わった“密室のミステリー"

獣人ヒバゴン
――昭和の闇に消えた幻の怪物

ファティマに降りた聖母
――7万人の見た奇蹟

赤城神社「主婦失踪」事件
――「神隠し」のごとく、ひとりの女性が、消えた


で、オシマイに書き残したことを若干。

■ これはアマゾンレビューなんかにも書いてた人がいたが、特に事件モノについての記述というのは得てして「ゲスい」感じに陥りがちなのだが、著者はその辺なかなか抑制が効いていて、ふざけた感じの文体とは裏腹に実は倫理感の高い方だとオレはにらんでいる。そういう意味でもオススメ

■ 著者はイラストの才もお持ちのようで、ウェブ版をみると美麗なイラストを多数掲載しておられる。書籍版のほうではさすがにそういうビジュアルは(一部小さく載ってるんだが)ほとんどプッシュされておらず、まずは書籍を買ったという方もサイトをお訪ねになると良い。本に載っていないネタもいっぱいあるし

■ オレからすると、今回の書籍にはあんまりUFOネタが出てこなかったのが残念であった。が、「UFO冬の時代」なので編集者目線からするとその辺は仕方ないのかもしれない。続刊があればヨロシク、といったところであろうか

■ 編集者といえば、オレが買った初版では冒頭のまえがきでいきなり文法的にヘンな言い回しを発見したのだが、編集者とか校閲とかはゲラの最初の数ページぐらいはちゃんと気合入れて読むものではないのか(途中でダレるのは理解するw)。「本が売れねーんだYO! 労働強化されてンだYO! 徹夜続きなんだYO! それどころじゃねーんだYO!」ということなのか

■ これはどうでもいいことだが、参考資料の項目にオレのこのサイトがチラッと載っていて、こんな人外魔境サイトにまでいちおう仁義を切って頂いたというところからして著者は人格者であるに違いない

(おわり)

























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