東京東部在住の一都民として、小学生の子供の年間放射線被曝量をどんな感じでコントロールすればいいのか、ちょっと脳内シミュレーションしてみることにした。何度もいうが、タバコ歴30年近い俺はすでに発ガン問題では「コールド負け寸前」。試合が終盤に入ってから1点2点とられても大勢には影響がないのであって、以下はあくまでも子供のことを想定にした話である。

なお、こういう文章はいちおう他人様に読んで頂くような体裁をとっているが、ホントは個人的な覚え書き的文章であって、ただ何となく誰か他者に語りかけるようなスタイルをとるほうが、独り言を記すよりも見晴らしがよくなるような気がするから、みたいな理由でこういうかたちをとっているだけである。たまたま読んだ方も、そういうわけで温かい目でスルーしていただきたい(笑)。

「人工放射線による余計な被曝」をとりあえず年間累計1ミリシーベルト以内に収めればいいのではないか。これが出発点である。だがしかし、そうはうまくはいかンだろう。次善の策として「5ミリシーベルト以内に抑え込む」ことがセカンド・ベストになる。5ミリで線引きする根拠は、ハッキリ言って、ない(笑)。強いて言えば、内閣官房参与を辞めた小佐古敏荘氏が「子供の被曝量はせいぜい年間5ミリ・シーベルトにとどめるべき」とか言ってたのがアタマの片隅に残っていたりするから、という言い方はできる。で、算数は苦手なので、以下の計算は適当にみつけたサイトの試算に依存することにする。

なお、3月15日&21日の(おそらくヨウ素たっぷりの?)放射能飛来による被曝もけっこうあったんだろうがその辺は実態がよくわからんので、とりあえず無かったことにする(いいのかそれで?)。それからいちおうの前提として、今後また関東圏に大量の放射能が飛んでくるようなことはないし、3.11以前の関東には人工の核種なんてまったくなかった、ということで話を進めていく。


1、外部被曝

とりあえず「空中放射線量が平時からどのぐらい増えたのか」というと、いま俺の住んでるあたりの実測値はハッキリしないが、先の共産党都議団の調査をふまえてちょっと多めに0.2マイクロシーベルト/hとしてみると、東京の平常時は0.04マイクロシーベルト/hあたりとして、その差0.16マイクロシーベルト/h。1日のうち屋外で8時間・屋内で16時間(屋外の4割ヒバクと仮定)過ごすとして、人工放射線による外部被曝量の年間累計は0.16*8*365+0.16*0.4*16*365=467.2+373.76=840.96(マイクロシーベルト)。丸めると0.84ミリシーベルト。【ここまで累計0.84ミリ】


2.内部被曝

2-1.
問題は体内被曝をどれだけ抑えることができるか。まず水である。日常生活で使う水をミネラルウォーターに切り替えるわけにもいくまい。ここは水道水でいくしかないだろう。それで立ちゆかない、っていうんだったら、どっか引っ越すしかないワな。で、炊飯とか調理で使う水、お茶とか飲用で体に入る水は、いったい一人あたり一日何リットルなのか。わからんのでググってみる。たまたま見かけた「1日に必要な最低水分摂取量」というページをみると、子供は体重1キロあたり50~100ccとある。体内の代謝で500ccカバーできるというから、体重25キロだと多めに見積もって25*100-500=2000cc。毎日口からは水分2リットルを入れないといかん、ということだな。

で、水道水からの被曝量を計算してみる。いいサイトがあった。「ベクレル(Bq)、シーベルト(Sv)計算・換算」。都の「金町浄水場での放射能測定結果」のサイトをみると、ここんとこ放射能は検出されてないと言ってるが、検出限界値はどの核種もおおむね7ベクレル/kgぐらいとしているので、その限界ギリギリまで実は汚染されてると仮定してみるか。ヨウ素はないことにして、セシウム134とセシウム137、それぞれ7ベクレル/kgで毎日2リットル・1年間摂取したとすると、上のサイトによると被曝量はそれぞれ0.09709ミリと0.06643ミリ。合算して丸めると1年で0.16ミリシーベルト。上の0.84ミリと足すと、ちょうど1ミリだ。【ここまで累計1.00ミリ】

2-2.
続いて「ふつうの食い物」。これは、たとえば「本州産の食い物は食わん!」とか決意すれば理論上はゼロにできるのではないか。ただ実際はそうもいくまい。品目別の計算などとても自分ではできないので、ググってみたら「柏夜話」というところでセシウムについて暫定基準ギリギリの食材を平均的な分量だけ食べたという条件下での試算が出ていた。で、少年(定義不明だが)だと年間2.7ミリシーベルト。「店に出てる食材なら何でもOK」というスタンスで、いちばん「引き」が悪かった場合である。可能性としては年間0~2.7ミリの間におさまることになる。【ここまで累計1.00~3.70ミリ】

2-3.
難しいのは、空気中に浮いているような人工放射性物質を吸い込むケース。「わかっていそうな人」をネットで探すと、「起業ポルノ」という奇妙な名前のブログで考察してる人がいた。なかなか説得力がありそうなので信用してみよう。結論的には「空間放射線量の値と同等の内部被曝を考えればいい」といってる。すると外部被曝と同じ0.84ミリを足せばいいのかな。いや、しかし、この測定データでは濾紙が大気中の放射性物質をどれだけ捕捉しているかはハッキリせず、たとえばヨウ素についていうとその想定される捕捉率は10~98%とかなり幅広いのだ、なんてこともおっしゃる。「実際に存在する物質は実測値の10倍ということもありうるので、この内部被曝量は安全マージンをとって外部被曝の10倍ぐらいみといたほうがいいかもね」ということになるらしい。それだとマックス8.4ミリにもなるなー。よってこの被曝量もちょっと幅がある。0.84~8.4ミリ。【ここまで累計1.84~12.1ミリ】



というわけで、人のふんどしを借りつつ、子供の年間被曝量をざっくり調べようという文系素人レベルの試みであったが、けっきょく空気中から吸い込んだ物質由来の内部被曝がどれぐらいになるのかハッキリしないので、あまりスッキリはしなかった。上の「起業ポルノ」のご主人は、例の「年間100ミリシーベルト」を意識しておられるようでもあり、この辺の数字でも比較的落ち着いておられるようだったけれど。

ま、なんとなく分かってきたのは「左うちわで年間5ミリ」というワケにはいかず、ちょっと油断してると年間10ミリぐらいにはいっちゃうかもね、ってこと。食い物の産地に気をつけつつ、それから空中線量の低下に期待して(低くなれば同時に空気中から吸い込む粒子による内部被曝量も平行して低下していくはずなのだ)事態を見守っていく、ってとこかな。というか本当にこういう積算でいいのか俺的には自信がないんだが(笑)。

うーん、ここはひとつ、専門家の方に簡便で説得力のある「内部被曝の算出法」を考案していただきたいものだなあ。何となく腰ダメで「ふつうに暮らしていて余計に浴びる放射線は、外部被曝する人工放射線の数倍みといたほうがいいかもね」ぐらいのことしかいえないんじゃね、スッキリしない気分、なお続きますから。