そうそう言い忘れた。朝日新聞の記事は是々非々で評価したいという話の続きだが、次のような記事はとても良い記事だとオレは思った。昨日の朝刊だったかな。忘れぬように書いておこう。

被曝予防に花粉マスク有効 セシウム通さず 東大実験

そのうちネットからは消えるだろうから、オレ的に大事なところを引用しておく。

同大(引用者注:東大)の桧垣正吾助教は、福島第一原発事故直後の3月15日午後3時から翌日午前9時までの18時間、東大本郷キャンパスで、市販されている不織布の立体型マスクを着用した。

この結果、花粉用マスクで、セシウムのほぼ全てを吸い込まずにすむことが確認された。マスクに付着した放射性物質の量から換算すると、仮にマスクをせずに体内に吸い込んでいれば、内部被曝は9.3マイクロシーベルトに相当していた。

「内部被曝対策には花粉用マスクが有効」という記事だが、まぁ首都圏であれば今後呼吸にともなう内部被曝なんてそうそう心配する必要はないだろうから、むしろオレ的に注目したいのは「3月15~16日にかけての18時間、東京・本郷にいた人間は呼吸により9.3SμSvの内部被曝をしたものと思われる」という情報だ。

あの3月中・下旬の放射性物質ダダ漏れの時期に、「じゃあじっさいどれぐらいオレたちは被曝していたのか」というのは実のところよくわからん。とりわけ内部被曝となると見当がつかんのであるが、その意味でこの記事は内部被曝量についておおまかなイメージを与えてくれるからだ。

この間、この研究者が屋外に何時間いて、屋内に何時間いたか、といったあたりは書いてないのでわからんが、まぁ時間帯からいってほとんど屋内にいたのだろう。で、18時間で9.3マイクロシーベルトだというから24時間だと12.4マイクロシーベルト。あのころ、ふつうに東京・本郷あたりにいて基本屋内にいるような生活をしていた人間は、一日にそれぐらい内部被曝したんだろうな、というアタリがつくわけである。

まぁ仮にそのような状況がひと月ずっと続いたとしたら、月間で12.4×30=372マイクロシーベルト。実際には関東に大量の放射性物質が落っこちたのは3月21日らしいので、その時点でこの数値はさらに上がってたのだろうし、そこんとこわかんないのは隔靴掻痒の感があるんだが、事故直後のひと月、ふた月あたりで東京あたりに住んでいる人間が呼吸によりどれだけ余計に内部被曝したかというと、そうだなぁ、まぁせいぜい1ミリシーベルトとかそのあたりで、2ミリ3ミリみたいなことはまずなかったんじゃねーか、とオレ的には思う。

それはそれで意外に高いような気もするのだが、とりあえず内部・外部あわせて余計に浴びる被曝量が数ミリシーベルト程度なら、まぁ受忍できるところなのかもしれんナというオレの個人的信条に照らせば、うむ、想定の範囲内か。

というわけで、素人のオレたちではあっても、具体的なイメージを与えてくれるこういうデータがあればバカなりにいろいろと考えて生きていけるのである。妙に説教臭い記事は要らんから、ちゃんと考えるためのデータを与えてくれ。これが結論である。