政府のエネルギー・環境会議の「コスト等検証委員会」は十三日の会合で、原子力など各電源の発電コストについて試算結果をまとめた。(東京新聞ウェブ版

 のだそうだ。で、

原発は事故コストなどが新たに加わって一キロワット時当たり最低八・九円となり、これまで政府が原発推進の根拠としてきた試算から約七割増えた。(同上)

原発コストが増えたのは、事故コスト〇・五円、立地交付金などの政策経費一・一円が上乗せされたため。事故コストは損害総額を五・八兆円と見込んで計算しているため、今後、損害額が一兆円増すごとにコストも〇・一円増える。(同上)

 とのこと。一覧データはこんな風になっている。

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 もっとも

エネルギー価格の上昇などを受け、液化天然ガス(LNG)火力などのコストも上昇するため、なお原発は相対的に割安となる計算だ。(読売新聞ウェブ版)

というわけで、例によって「でもまだまだ原発のほうが安いわナ」と主張している人たちもいるわけだけどね。

しかし、まだまだ納得できんなぁ。原発の発電コストは「事故処理絡みで膨らむ可能性がある」という前提での試算らしいんだが、たとえばオレの住んでる東京東部地区では事故による空間放射線量増加分がおそらく0.1μSv/hぐらいあるけれども、東電さんはこれまで何もしてくれてませんね。結局これは放置ですか? なかったことにする、と?

そりゃそれぐらいの数値ならたいした影響ないっつーことでいやぁそりゃそうかもしれんが、こうやって汚染しといて原状回復ナシっていうのはアリなんですか? 経済学でいう社会的費用(公害みたいに社会に損害与えときながら原因企業が頬ッ被りして、結果的に無辜の第三者が負担させられてる費用、ってぐらいの意味ですな)はどうなってんの? ホントは全国津々浦々、この余計な放射線をぜんぶ取っ払って現状回復する費用も入れないとおかしいのではないですか?

何十兆円かかるかわからんから現実的でない、よってそういうことはなかったことにする、ですか? 国民の皆さんも総じて原発推進には異を唱えてこなかったから、それぐらい大目にみてよ、ですかな? もちろんそういう政治的判断はアリだとは思うけれども、こういう「試算」で斟酌すべきものでもないだろうし。どういうことなのだろう。

あと、これも永遠の謎なんだが、原発から出る放射性廃棄物の保守管理費用というのはどういうことになってるのかナ? 「会計上別の項目だから算入しない」みたいな話だったら呆れてしまいますが、そうじゃないとしたら、仮にこれから1万年、環境汚染させないように封じ込めてく手当というのはどっかで予算化されてるんでしょうか? それとも経済学的にはそういう遠い未来を見据えた費用は考えなくていいというリクツがあるんでしょうか?

そういうことを考えていくとですね、まだ全然納得ができません。野田首相でも誰でもいいから、ちゃんとわかるように説明していただきたいものだ。そうでないと、オレにとってはこんなのは数字の遊びだ。