まさにここに書いた通りで、オレの平田篤胤イメージを根本的に変えてくれた本。篤胤のことなどほとんど知らんオレだが、勝手なことを言わせていただけるなら、この本でみるかぎりでは現代のUFO研究家とかフォーティアンと、まぁそんなに違わねーんじゃねーか、みたいな。

仙境異聞・勝五郎再生記聞 (岩波文庫)

仙境異聞・勝五郎再生記聞 (岩波文庫)

  • 作者: 平田 篤胤
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/01/14
  • メディア: 文庫

 国学者・平田篤胤といえば江戸末期の国学者。復古神道の大立者で、「偉大なる神国日本」のイデオローグですね。単なる頑固ジジイ、みたいなイメージあったんですが、この本で見方変わりました。

 彼がある日、妙な子供の噂を聞くわけです。この小僧、「天狗」に導かれて「仙界」に赴き、修行を重ねてきた、という。そこでは仏教イコール邪教。敬神の念篤き「山人」(仙人みたいなもんですか)が日々修行を積む世界がある--。

 本書はその子供、寅吉への、いわばインタビューの記録。根掘り葉掘り仙界の話を聞く篤胤たちの、その嬉しそうな事ったらない。冷静に考えると、篤胤さん、妄想癖のある子供のホラ話に(よろこんで?)引っ掛けられているような気もするけど、でもいいんですよ、何かほほえましくて、ホノボノして。こうやって共同幻想っつーものが生まれるんだなあとつくづく思います。(2000/2/7記)