兵庫県尼崎市の連続変死事件で、「角田美代子被告」としてメディア各社が使ってきた顔写真が実は別の人のもので、「あれは私の写真。間違ってる」といって名乗り出た人が現れたらしい。なんか和服姿の女性の写真に見覚えがあるので、それのことだろう。

まぁ各社も角田の顔見知りの人に当てて、「これで間違いないか?」と確認をしている筈なので不思議なのだが、おそらくこの女の顔写真は稀少で、たまたまこの写真を入手した会社が重大なる勘違いをしてしまって「これデス」と堂々と使い始めたもんだから、後続の他社も「あぁこの写真を探し出せばいいんや」みたいに刷り込まれてしまい、その辺のチェックが甘くなったんではないか。

それはともかく。

以上のハナシとは直接関係ないのだが、この取りちがえにかんしてひとつ連想したことがあって、つまりここで言いたいのは「これは凶悪犯の写真でアル」といったキャプション付きの写真をずっと見せられていると、その顔がホントに悪人ヅラであろうがあるまいが、だんだんと「あぁこいつ悪そうだなー」と心底思うようになってしまう、という人間の不思議な心理である。

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指名手配犯のポスターがその典型で、こないだ死亡していたことが判明した「おい小池」の小池俊一容疑者とか、あるいはこれもまた捕まったオウムの連中でもいいんだが、何の先入観もナシにみると、けっこう良さそうなヒトにみえなくもないんだが、しかしやっぱりああいうポスターをずっと見ていると、「けっこう腹黒いんじゃネ」→「悪相が出てるよネ」→「やっぱワルの顔だ」という風になっていくのだった。

そういえば南伸坊の本で、なんというか書名は忘れたが、日本人の顔写真の下に「朴東冠」みたいな韓国風の名前をつけて、そういうのを何人分もずらっと並べて見せているページがあって、で、そういうのを見ていると実際には日本人の顔なのに、「あぁ韓国人ってこういう顔してるよねー」という気持ちに何となくなってしまうのであった。

じっさいオレたちも「角田美代子被告」として見せられてきた写真にたいして、だんだんと「あぁ流石にふてぶてしいツラだよねー」という気持ちになってきてはいなかったか。考えてみると、こういう偏見によるトラップというのはいたるところにあるのではないか。怖いハナシではある。