今回は、ジャック・ヴァレの提唱したUFOの分類システムをご紹介したい。
この辺の分類概念としては、アレン・ハイネックの接近遭遇というのがよく知られていて、とりわけスピルバーグの映画「未知との遭遇」の原題が、文字通り「第3種接近遭遇 CLOSE ENCOUNTER OF THE THIRD KIND」であることはあまりにも有名である。さて、ヴァレはこの「接近遭遇」という概念をも取り込みながら、全体で4つのカテゴリーからなる分類システムを考案し、その著書『コンフロンテーションズ』で披瀝している。具体的に言えば、その4つのカテゴリーというのは以下の通りである。
・アノマリー
・飛び去っていくもの
・複雑な動きをするもの
・接近遭遇
つまり、「どのようなものとしてソレは出現したか」という問題意識からこの各カテゴリーは作られているわけだが、さらにヴァレは、この各カテゴリーの事例は「目撃者がどんな影響を被ったか」という視点から、さらに次のような5つに分類できる、としている。
1、目撃事例
2、物理的効果のあった事例
3、生命体との接触のあった事例
4、リアリティの変容を伴う事例
5、永続的な傷害を被った事例
以上を表にまとめてみると、次のような構成となる。
|
1目撃 |
2物理的効果 |
3生命体 |
4リアリティの変容 |
5永続的な傷害 |
アノマリー AN |
不定形の形状を示す発光体とか説明不能な爆発といった、あとに継続的な物理的影響を残すことのない異常現象 |
ポルターガイスト現象やアポーツ(物体の引き寄せ現象)、あるいは一面の草が平坦に潰される現象のように、あとに持続的な影響の残る異常現象 |
エンティティ=生命体の出現を伴う異常現象。ここでいうエンティティには幽霊やイエティ、さらにはエルフや霊のほか、広い意味で未確認動物学の対象となる生物も含まれる |
目撃者たちが、現に存在するエンティティたちと面と向かって何らかのやりとりをしたという異常現象の報告。臨死体験や宗教的な奇蹟体験や幻視、体外離脱体験も含まれる |
異常な死や負傷を被る現象――たとえば人体発火現象、説明不能なキズが生じた事例(病気の完全な治癒を含む) |
飛び去っていくもの FB |
UFOが空を「真っ直ぐ通り過ぎていく」単純な目撃例 |
飛び去っていく物体が、物理的な証拠を残していったもの |
飛び去っていく物体とともに、そこに搭乗している存在が観察された事例 |
物体が飛び去っていった際、目撃者の保っていた自らのリアリティ感覚が、その物体ないしは搭乗者の側のリアリティに乗っ取られるケース |
物体が飛び去っていく際、目撃者が永続的な障害を負う事例(キャッシュ&ランドラム事件など) |
複雑な動きをするものMA |
非直線的な航跡(降下したり複雑な動きをしたり宙返りしたり、といったものである)を示す物体が出現する事例 |
現れた物体がやはり非直線的な航跡を示すのだが、その際に物理的効果を他に及ぼす事例 |
非直線的な動きを示す物体と、そこに搭乗している生命体とが目撃された事例 |
複雑な運動をする物体の出現とともに、目撃者の側に「リアリティの変容」とでもいうべき感覚が生じたケース |
複雑な運動をする物体によって、結果的に目撃者が継続的な障害を負ったり死亡してしまったりしたケース |
接近遭遇 CE |
地上、ないしは目撃者の至近距離で物体が目撃された事例 |
物理的効果ないしは痕跡をあとに遺した事例 |
「エンティティ」もしくは「搭乗員」が確認された事例 |
搭乗者の目撃のみならず、彼らとのやりとりが行われた事例 |
(ヴァレの論及はないが接近遭遇の際に傷害を負った事例であろう) |
この分類法の特徴といえば、なんといってもアノマリー現象――つまり、イエティや未確認動物の出現、臨死体験、人体発火現象といったものをUFO現象と地続きのものとしてとらえているところにある。まさにこの辺が「ボルト&ナット」的なETH=地球外生命体仮説と一線を画すヴァレの真骨頂である。素晴らしい!
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