
アマゾンで頼んだクラーク&コールマン『The Unidentified&Creatures of the Outer Edge』の合本が届いたので前文のところ眺めてたら、彼らも若い頃ユングにかぶれてたみたいなことが書いてあって、あぁそういやオレにもそんな時期があったっけかなあと懐かしくなった(尤もオレの場合はもっぱら河合隼雄さん経由の理解ではあったけどネ)。
で、この本もいつになったら読めるかわからんのだが、とりあえず米amazonのレビューをみると『The Unidentified』では「UFOというのはユング流の元型イメージのあらわれではないか」みたいな議論が展開されているらしく、しかしクラークは「いやでもそれじゃ着陸痕とか説明できんよなぁ」ということでやがて自説を引っ込めてしまったらしい。
なるほど、そういう経緯があるんでクラークは、ヴァレに対するインタビューで「着陸痕みたいな物理的な証拠がある以上、UFOには物理的実体があるんじゃネ?」」というツッコミを再三いれているわけだなるほどなるほど、と脳内でひとつミッシングリンクがつながった次第。ちなみにこんなインタビューである(一部抜粋)。
クラーク (UFOの)「物理的な側面」の本質というものについてのあなたの見解をハッキリさせて頂きたいのですよ。さきほど、固体であって3次元の形態をとる「空飛ぶ円盤」のようなものが存在しているのだろうか、とお尋ねした時に、私はこんなことを考えていたのです――誰かが、底の部が円形で平らになっているUFOを見た、と言い出したとします。さらに彼は言います。「その物体は降下してきて、土の上に着陸し、それから飛び去った。その後には平らで 丸い着陸痕が残されていた」。これは明らかに大なり小なり目撃者が見たような構造をした、固体としての物体が存在した――少なくともその目撃が行われた時点においては、ということになりますが――ということを示唆しているのではないですか?
ヴァレ いや、必ずしもそうではないでしょう。その現象は現実感覚の歪曲を生み出したり、現実にとってかわる作りものの感覚を代替物として作り出す力をもっている、そんなことを示す証拠があります。もっと奇怪な遭遇事例をみていけばお分かりかと思うのですが――例えばこれは南アメリカであった事件で、ある男性は「自分はUFOにアブダクションをされた」と信じ込んでいる。ところがそのとき一緒にいた人は、「うしろの方にいきなりバスが現れた。で、彼はそのバスに乗りこんだ。そんな 風に思っていた」などと言うわけです。想像するに、一方には「人の目にみえる現象」があり、他方には「物理的な痕跡を作り出す現象」があるわけです。つまり私が言っているのは、ここには或る種の奇妙な「だまし」があるのかもしれない、ということなのです。
クラーク 言い方を変えるならば、物理的な痕跡というのは、人間の五感がとらえた [本当は存在していない] ものを、「はい、確かにそれは存在するのですよ」といいくるめて人を騙すため、そこに配置されたものである――そういうことなのですか?
ヴァレ そうです。それはおそらく、第二次大戦中のイギリスがドイツに一杯食わせるため仕組んだ戦略的な謀略作戦になぞらえることができるでしょう。彼らは砂漠の中に張りぼての戦車部隊を配置し、いろいろ手を加えて重装備した巨大な師団が進軍しているようにみせかけた。彼らはその幻像の効果を長引かせるべく砂嵐さえも利用し、それゆえドイツ軍は本当にこの嘘を信じ込まされてしまったわけです。
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