では、まずは「イントロダクション」を見ていこう。
前口上でも述べたように、ヴァレの問題意識の中では、UFOというのは、単に「宇宙船」という言葉でイメージされるような物質的側面を有するのみならず、人間の精神のありようにダイレクトな影響を及ぼす現象でもある、ということになっている。たとえば、彼はこんな風に語っている。
そうした文脈で、彼はUFOにともなう「サイキック効果」だとか「スピリチュアル現象」に注目する。どういうことかといえば、UFOは
あるいは、「空飛ぶ円盤との遭遇の結果、「自らの存在」や「未来」に関して何とも突拍子のない信念や思想を広く語り出すにいたった」人々がいる、という。なるほど「宇宙哲学」みたいなものが大好きな所謂コンタクティーならずとも、UFO体験によって「高邁な真理」のようなものを体得したり不思議な能力を身につけたという人たちはけっこういるので、こうしたヴァレの主張は頷ける。
実際、この「イントロダクション」でも、そんな体験をした或る人物の体験談が紹介されている。アブダクションされたそのエンジニアは、何やらコンピュータのようなものが据えてある場所に連れていかれ、そこにとりつけられた「記録テープ」から脳に直接なにかを「注ぎ込まれる」。以後、睡眠時間は2、3時間で済むようになり、いったん覚えたことは忘れなくなった。病気にも一切かからなくなったし、幽体離脱やテレパシーの能力も身についた。おまけに彼は、「UFOを飛ばして外宇宙からやってきた存在は人間の言っている様な意味での宗教はもっていないが、永遠の愛の中に生きている」といった、何やら抹香臭い話までし始める。
そういえば、かの「超能力者」ユリ・ゲラーも(今はどうかしらんが)自らの能力は高次の宇宙存在から授けられた、という意味のことを言っていた。もちろんヴァレは、「UFOは地球外からやってきた」などという話は歯牙にもかけないのであるが、ともかくこのエンジニアだとかゲラーの体験はUFO問題の本質とどっかつながってるのではないか、と考える。話を先取りして言うと、こうしてヴァレは本書の3章・8章でゲラーを論じることになるのだった。
重ねていうと、ともかくUFOには通常の科学では今のところよくわからない現象――つまりスピリチュアルであるとかサイキックだとかに関係する要素がある。さらにいえば、そうした経路を介して、UFO現象は人間の精神面をコントロールしようとしているのではないか。本書の核心である「コントロール・システム」論は、このような流れの中で登場してくるわけである。(続く)
前口上でも述べたように、ヴァレの問題意識の中では、UFOというのは、単に「宇宙船」という言葉でイメージされるような物質的側面を有するのみならず、人間の精神のありようにダイレクトな影響を及ぼす現象でもある、ということになっている。たとえば、彼はこんな風に語っている。
UFOと呼ばれているものが我々の日常のリアリティの中に姿をみせるとき、それは我々が測定できるような質量や慣性量をもち、或る空間を占有している物理的実体としての側面と、少なくとも体験者の一部が確かに知覚した「別のモードのリアリティに向けて開かれた窓」という側面とを有しているのだと私は考えている。
そうした文脈で、彼はUFOにともなう「サイキック効果」だとか「スピリチュアル現象」に注目する。どういうことかといえば、UFOは
その場に突如出現したり、あるいはスピリチュアリストの文献で言うところの「非物質化」という表現を想起させるようにして「消失」したりする。
あるいは、「空飛ぶ円盤との遭遇の結果、「自らの存在」や「未来」に関して何とも突拍子のない信念や思想を広く語り出すにいたった」人々がいる、という。なるほど「宇宙哲学」みたいなものが大好きな所謂コンタクティーならずとも、UFO体験によって「高邁な真理」のようなものを体得したり不思議な能力を身につけたという人たちはけっこういるので、こうしたヴァレの主張は頷ける。
実際、この「イントロダクション」でも、そんな体験をした或る人物の体験談が紹介されている。アブダクションされたそのエンジニアは、何やらコンピュータのようなものが据えてある場所に連れていかれ、そこにとりつけられた「記録テープ」から脳に直接なにかを「注ぎ込まれる」。以後、睡眠時間は2、3時間で済むようになり、いったん覚えたことは忘れなくなった。病気にも一切かからなくなったし、幽体離脱やテレパシーの能力も身についた。おまけに彼は、「UFOを飛ばして外宇宙からやってきた存在は人間の言っている様な意味での宗教はもっていないが、永遠の愛の中に生きている」といった、何やら抹香臭い話までし始める。
そういえば、かの「超能力者」ユリ・ゲラーも(今はどうかしらんが)自らの能力は高次の宇宙存在から授けられた、という意味のことを言っていた。もちろんヴァレは、「UFOは地球外からやってきた」などという話は歯牙にもかけないのであるが、ともかくこのエンジニアだとかゲラーの体験はUFO問題の本質とどっかつながってるのではないか、と考える。話を先取りして言うと、こうしてヴァレは本書の3章・8章でゲラーを論じることになるのだった。
重ねていうと、ともかくUFOには通常の科学では今のところよくわからない現象――つまりスピリチュアルであるとかサイキックだとかに関係する要素がある。さらにいえば、そうした経路を介して、UFO現象は人間の精神面をコントロールしようとしているのではないか。本書の核心である「コントロール・システム」論は、このような流れの中で登場してくるわけである。(続く)
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