念頭の抱負代わりに中野重治の詩を掲げておこうか。
「わたしは嘆かずにはいられない」という作品だ。
わたしは嘆かずにはいられない
しかしわたしは嘆かずにはいられない
人がわたしを指してヒネクレモノといおうとも
そしてそうではないと弁解したくならずにはいられない
人が貴公子でありせめてもの慰めであるとするもの
それが長袖にばけたサーベルである事実をわたしは人びとに隠せない
わたしはただ訊ねる 彼の商売は何なのかと
また鎌足以来一千年 彼の一家は何をして飯を食つてきたのかと
ここに国があり 司法があり
それが拷問をもつて人民に臨んでいるならば
わたしは思惟の必然と学問上の仮定とに立つていう
もしも人民が司法を逮捕して
彼の耳もとで拷問のゴの字を鳴らすならば
彼は涎をたらしてあることないこと申しLげるにちがわぬと
みずから愛するものは愛をいつわるものを憎む
うそつきを憎むのは正直であるものではないか
しかし犬のしつぽのような人びとがあつてわたしをヒネクレという
わたしは嘆いていう あれらはしつぽであると
そしてわたしはいう ごみ箱のかげから往来へ出てこいと
しかし彼らはいう おれは独立に振るのだと
そしてそれらすべてがわたしを嘆かせる
わたしは嘆きたくはない わたしは告発のために生まれたのでもない
しかし行く手がすべて嘆きの種であるかぎり
わたしは嘆かずにはいられない 告発せずにもいられない
よしやヒネクレモノとなるまでも
しかしわたしはいう わたしは決してヒネクレではないと
「わたしは嘆かずにはいられない」という作品だ。
わたしは嘆かずにはいられない
しかしわたしは嘆かずにはいられない
人がわたしを指してヒネクレモノといおうとも
そしてそうではないと弁解したくならずにはいられない
人が貴公子でありせめてもの慰めであるとするもの
それが長袖にばけたサーベルである事実をわたしは人びとに隠せない
わたしはただ訊ねる 彼の商売は何なのかと
また鎌足以来一千年 彼の一家は何をして飯を食つてきたのかと
ここに国があり 司法があり
それが拷問をもつて人民に臨んでいるならば
わたしは思惟の必然と学問上の仮定とに立つていう
もしも人民が司法を逮捕して
彼の耳もとで拷問のゴの字を鳴らすならば
彼は涎をたらしてあることないこと申しLげるにちがわぬと
みずから愛するものは愛をいつわるものを憎む
うそつきを憎むのは正直であるものではないか
しかし犬のしつぽのような人びとがあつてわたしをヒネクレという
わたしは嘆いていう あれらはしつぽであると
そしてわたしはいう ごみ箱のかげから往来へ出てこいと
しかし彼らはいう おれは独立に振るのだと
そしてそれらすべてがわたしを嘆かせる
わたしは嘆きたくはない わたしは告発のために生まれたのでもない
しかし行く手がすべて嘆きの種であるかぎり
わたしは嘆かずにはいられない 告発せずにもいられない
よしやヒネクレモノとなるまでも
しかしわたしはいう わたしは決してヒネクレではないと
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