何だか最近フレディー・マーキュリーの伝記映画みたいなのが公開されたらしく、ずいぶん評判も良いので観に行かねばならないのだが、そんなこともあってクイーンのベスト盤を再生などしながらネットサーフィンをしていたところ、たぶん自分の中の「昭和回顧脳」みたいなものが刺激されたらしく、そういえば子供の頃にヘンなLPレコードをもってたことを思い出した。

「燃える男のバラード 長嶋茂雄その栄光のドキュメント」
  というのである。

42176

ちょっとググってみたところ、1971年の制作のようで、しかし別に長嶋茂雄が歌をうたっているわけではなく、名試合の実況だとか長嶋のモノローグとか仲代達矢のナレーションとかで彼の野球人生を振り返るという、ま、一種のラジオドキュメンタリー的なシロモノなのであった。

長嶋の引退が1974年であるから制作はそのちょっと前で、おそらく野球選手人生も終盤に入った長嶋をたたえようという狙いで作られたものと推察されるわけだが、しかしよくよく考えるとオレは当時から阪神ファンであって、なぜ宿敵巨人の長嶋を讃えるLPを買ったのか不思議でならないのだった。

ただまあ、オレも子供心に敵として迎えたときの長嶋の怖さというものは知っていて、なんとなくそのヘンにリスペクトがあったから魔が差してこんなものを買ってしまったのかもしれない。

彼の怖さということでいえば、その頃、オレはよくラジオで阪神戦を聴いていたのだが、当時阪神にはアンダースローのエース格で上田二郎という人がいて(なんか定期的に名前の漢字を変えることで有名な人で、いまはたぶん「次朗」だと思う)その日の彼は、なんと宿敵巨人相手を9回までノーヒットで抑えていたのだった。

で、ついに9回2死。そこで打席に迎えたのが長嶋。敵の大将格でもあり、こりゃ何がなんでも抑えて屈辱を味あわせてやるゼとオレは願ったのだったが、なんとここで長嶋がセコく内野の間を抜くヒットを放つ……ま、実際に敵ながらアッパレ、ではあったのだ。

ちなみにその試合があったのは1973年7月1日。もう45年も前のことである。レコードのほうはまだ実家のどこかに眠ってるのか、あるいは捨てられてしまったか。その辺は定かではない。