朝日新聞にはパブリック・エディター制度というものがある。社の内外の人間に「朝日の報道姿勢を検証してもらいましょう」といって提言をしてもらう制度だと思われ――オレの記憶では確か例の「慰安婦誤報事件」を反省して作ったものであったハズだが――それはともかく、朝日の社員としてそのパブリック・エディターをやっておる山之上玲子という人が最近書いた「政権評価の声、感じ取れたか」という原稿がTwitterなどでそこそこ話題になっているらしい。

オレ流に乱暴に要約すると「朝日新聞はずっと安倍政治を批判してきたが、安倍政権への支持率はけっこう高くて、こないだの世論調査では実績を評価するという人が71%もいた。朝日はこれまでそういう人たちが考えていることを軽視したり無視してきたのかもしれない。私たち、これはちょっと反省したほうがいいかもね」という主張である。

だが、これに対するオレの感想は「バカバカしい!」の一語に尽きる。

いつも言っているように、朝日新聞は常に庶民の味方を気取っているのだが、最近の庶民はほとんどが「政治なんてもの、ま、こんなもんじゃネ?」とかいって安倍独裁政権を支持してきた。笛吹けど踊らず。こりゃどういうことなんだ? おれ達どっかヘンだったかな? 朝日新聞がそう自問したくなるのはワカル。

ワカルけれども、オレからすりゃそりゃ多くの国民がバカだからそうなっているだけの話であって、いまさら猫なで声を出して「皆さんが安倍支持した理由とか、私たちもちゃんと耳を傾けるべきでした」などと言ってもムダである何となればバカにつける薬というものは無いから。

「庶民は正義である」というタテマエがある以上、なかなか言いづらいことではあるのだろうが、山之上玲子記者もこんな下手に出る必要はさらさらなく、例えばエーリヒ・フロムでも引用して自ら自由を捨てて権力に盲従する大衆心理の愚でも説きつつ、「お前ら国民のオメデタイのにはほとほと呆れたゼ」か何かいって国民大衆にケンカを売るべきだったのである。