
米映画「スキンウォーカー・プロジェクト」(原題はSkinwalker Ranch)のDVDをレンタル落ちで売ってたので買った。以下感想文。
オレがなんでこのDVDを買ったのかというと、これが一種のUFO映画であると聞いたからだ。
とりあえず、その背景をWikipediaに従って説明しよう。
アメリカはユタ州の田舎に「スキンウォーカー・ランチ」という、その筋ではとても有名な牧場がある。なんでここが有名になったのかというと、1990年代の後半に「この牧場の一帯では奇妙な現象が多発している」という話が広まったからだという。
要するにUFOが出たり、いわゆるキャトルミューティレーションがあったり、目を赤く光らせたナゾの巨大動物(しかも撃っても死なない!)が出現したり、ともかくいろんな不思議なことが起こる、というのである。
ちなみにこの「スキンウォーカー」というのは動物とかに変身できる魔人のことで、もともとナバホ族の伝説に出てくる存在であるらしい。その辺にちなんだ名前もなんか「とても効いてる」感じがする。スキンウォーカー牧場にまつわるアレコレは、「Hunt for the Skinwalker」(2005年刊)という本に書いてあるようなので、興味のある方は読まれるが宜しかろう。
アメリカはユタ州の田舎に「スキンウォーカー・ランチ」という、その筋ではとても有名な牧場がある。なんでここが有名になったのかというと、1990年代の後半に「この牧場の一帯では奇妙な現象が多発している」という話が広まったからだという。
要するにUFOが出たり、いわゆるキャトルミューティレーションがあったり、目を赤く光らせたナゾの巨大動物(しかも撃っても死なない!)が出現したり、ともかくいろんな不思議なことが起こる、というのである。
ちなみにこの「スキンウォーカー」というのは動物とかに変身できる魔人のことで、もともとナバホ族の伝説に出てくる存在であるらしい。その辺にちなんだ名前もなんか「とても効いてる」感じがする。スキンウォーカー牧場にまつわるアレコレは、「Hunt for the Skinwalker」(2005年刊)という本に書いてあるようなので、興味のある方は読まれるが宜しかろう。
さてこのスキンウォーカー牧場、1996年になって、アメリカの大金持ちであるロバート・ビゲローが設立した「National Institute for Discovery Science」――「全米発見科学研究所」とでもいうのだろうか――という組織によって買い取られる。このビゲローはUFOとか超常現象とかが大好きな愉快なじいさんで、この研究所もその手の研究をするという道楽のために作ったものらしい(もっともこの研究所、2004年には解散してしまったようだ。なかなか道楽というのも大変である)。要するに、このオバケ屋敷ならぬオバケ牧場を我が物にして、存分に調査してやろうという事であったらしい。
その後、2016年になると、ピゲローは実業家のブランドン・フューガル(Brandon Fugal)なる人物にこの牧場を売っぱらってしまうのだが、それまでの間、実際にいろいろと科学的な観測機材など持ち込んで調査をしていたという話である。
その内容というのは公開されてないためいろいろと憶測を呼び、研究調査に参画したという触れ込みの人物が「いろいろ出ましたゼ」的な怪しげな話をふりまいたりもしているらしく、そんなこんなでスキンウォーカー牧場、いまや米国オカルト界における、ちょっとしたアイコンになっているようなのだった。
実際、UFOをテーマにしたアメリカのドラマシリーズ「プロジェクト・ブルーブック」シーズン2ではこの話がネタに使われているらしい(残念ながら未見だが)。あるいはCSのヒストリーチャンネルでもこの話をネタにしたシリーズが作られたらしく、その辺を絡めてUFO研究家の並木伸一郎氏が「ムー」のサイトでコラムを書いておられたりする。
その内容というのは公開されてないためいろいろと憶測を呼び、研究調査に参画したという触れ込みの人物が「いろいろ出ましたゼ」的な怪しげな話をふりまいたりもしているらしく、そんなこんなでスキンウォーカー牧場、いまや米国オカルト界における、ちょっとしたアイコンになっているようなのだった。
実際、UFOをテーマにしたアメリカのドラマシリーズ「プロジェクト・ブルーブック」シーズン2ではこの話がネタに使われているらしい(残念ながら未見だが)。あるいはCSのヒストリーチャンネルでもこの話をネタにしたシリーズが作られたらしく、その辺を絡めてUFO研究家の並木伸一郎氏が「ムー」のサイトでコラムを書いておられたりする。
と、まぁ長い長い前振りになってしまったが、たまたま最近になって、この実在の牧場にインスパイアされての映画というのも実はあったのだ、ということを知った。じゃあ念のため観ておくかと思ったのである。
Amazonレビューなんかではけっこう高得点つけてる人がいるんでアレなんだが、結論を先に言ってしまうと、まぁオレ的にはそんな面白い映画ではない。なので、今回はこの作品にいろいろと文句をつけてみようと思うわけだが(笑)とりあえず以下、ネタバレありで簡単にあらすじを説明する。知りたくないという人はここでお帰りください。
Amazonレビューなんかではけっこう高得点つけてる人がいるんでアレなんだが、結論を先に言ってしまうと、まぁオレ的にはそんな面白い映画ではない。なので、今回はこの作品にいろいろと文句をつけてみようと思うわけだが(笑)とりあえず以下、ネタバレありで簡単にあらすじを説明する。知りたくないという人はここでお帰りください。
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映画は、基本的に手持ちカメラの映像によるドキュメンタリーを模したかたちで進んでいく。舞台はユタ州の「スキンウォーカー牧場」。2010年のある日、その家族の8歳の息子が家の前で遊んでいたところ、空に光がきらめいたと思ったその瞬間、父親の目の前でパッと姿を消す。翌年の夏、少年失踪のナゾを解くべく「Modern Defense Enterprises」(略称MDE)なる組織の研究チームが牧場にやってくる。牧場の内外に監視カメラを配置し、どんなことが起きるのか、長期間泊まり込んで確認しようというのである。
怪異は、さっそくチームのメンバーを襲う。
キーンという怪音が家中に響き渡る。
屋根の上を誰かが歩き回る音がする。
外に出てみると何故か無数のコウモリが屋根の上で死んでいる。
牧場内で血を抜き取られた家畜が発見される。
家の中では、失踪した息子の幻影が毎日夜の決まった時間になると現れ、走り抜けていくようになる。
ネイティブインディアンの祈祷師みたいなのを呼んでみたら、祈祷をはじめる間もなく「おれには手が負えない」とかいって逃げ出していく。
巨大なオオカミのような動物が牧場を襲い、トラックすら破壊する。
やがて、牧場の納屋の中を捜索することになったチームは、そこで「MDE」という文字の入った機材を発見する。どうやらMDEは1960年代にも同じ牧場の調査に来ていたらしい。併せて、そこで前回の調査チームが撮ったらしいビデオテープも見つかる。これを再生してみると、当時の牧場では小さな娘ひとりを残して家族全員どっかいっちまった風で、調査メンバーらしき連中は感染症の拡大を疑ってるのか防護服きた状態で娘を保護するンだが、なんだかメンバーがいきなり発狂したり、娘がエクソシストのリンダ・ブレアよろしく取り憑かれたみたいな表情になっちまったりで、なんだか凄いカオス状態だったことが判明する。
キーンという怪音が家中に響き渡る。
屋根の上を誰かが歩き回る音がする。
外に出てみると何故か無数のコウモリが屋根の上で死んでいる。
牧場内で血を抜き取られた家畜が発見される。
家の中では、失踪した息子の幻影が毎日夜の決まった時間になると現れ、走り抜けていくようになる。
ネイティブインディアンの祈祷師みたいなのを呼んでみたら、祈祷をはじめる間もなく「おれには手が負えない」とかいって逃げ出していく。
巨大なオオカミのような動物が牧場を襲い、トラックすら破壊する。
やがて、牧場の納屋の中を捜索することになったチームは、そこで「MDE」という文字の入った機材を発見する。どうやらMDEは1960年代にも同じ牧場の調査に来ていたらしい。併せて、そこで前回の調査チームが撮ったらしいビデオテープも見つかる。これを再生してみると、当時の牧場では小さな娘ひとりを残して家族全員どっかいっちまった風で、調査メンバーらしき連中は感染症の拡大を疑ってるのか防護服きた状態で娘を保護するンだが、なんだかメンバーがいきなり発狂したり、娘がエクソシストのリンダ・ブレアよろしく取り憑かれたみたいな表情になっちまったりで、なんだか凄いカオス状態だったことが判明する。
あれやこれやあり、チームのメンバーは「オレらも危ないんじゃネ?」ということで命の危険を感じはじめるが、クルマが壊れていて脱出もままならない。翌朝に救援隊が来るという状況下、みなで一夜を過ごすことになるが、最後、何やらエイリアンのような姿の怪物が家の中にまで乱入してくる。おかしくなって自殺するメンバーも出てくる。ハッキリとは描かれないが、おそらくは全員が死亡したのであろうことを示唆して映画は終わる…。
とまぁ、ここまでの話でおわかりだと思うがコレ、なんだか怪奇要素をムチャクチャ詰め込んでみましたというテイの映画である。いや、実際にUFO現象の周辺ではキャトルミューティレーションはつきものだし、怪しい人物の徘徊(MIBなどというヤツ)やら怪現象(奇妙な電話がかかってきたりポルターガイストが起きたりというアレだ)、怪しい動物の出現(チュパカブラなどというのもある)等々、いわゆる超常現象的なものがしばしば起きるとされている。で、まさにそういう奇っ怪なフィールドをめぐる「実話」があるというので、制作者の皆さんも「それじゃあ」というワケで思いっきりネタを濃縮した作品を作ってみたくなったのであろう。
ただ、見終わってみると、なんだか散漫なのである。いったいここで描かれた一連の現象を我々はどう理解すればいいのか。最後にエイリアンみたいなのが出てくるので、コイツが実は「首魁」としていろいろ仕組んだということなのだろうか? いや、だが何のために? 映画では子供が掠われたテイになっているのだが、彼はどこに誰が連れていったのか? この子供が亡霊みたいにして家の中を走っていたりするのはどういう意味なのか? 事ほどさように、現象を束ねてみせる「意味」とか「意図」みたいなものが一切示唆されないので、観ている者は困ってしまうのである。
加えていえば、劇中に出てくる「Modern Defense Enterprises」なる研究組織は、おそらくはピゲローの「National Institute for Discovery Science」をもじったものなのだろうが、この組織が1960年代にも調査に入っていたという設定がうまく後段につながっていない。仮に前回調査が大惨事に終わったのであれば、その教訓を得て二回目はもうちょっとマトモなやり方を考えるのではないか? しかしその割には連中無防備すぎるのではないか? なんだか理解に苦しむ。
もちろん先に言ったように、確かにUFOと超常現象というのは何故か強いつながりをもっていて、それが一緒くたになってワッと出てくる世界というのはアリといえばアリなのである。だが、ただ「ハイ並べてみました」というだけでは作品にならない。
そこんところを自分なりのロジックにおさめようとして、UFO研究家なんかはこれまでイロイロと屁理屈をこねてきたのである。例えばジョン・キールは「超地球人説」ということを言ったのだし、ジャック・ヴァレは「コントロール・システム」というものを提唱したのである。映画作った人たちも、及ばずながらソコはちゃんと屁理屈を考えないとダメである。
そこんところを自分なりのロジックにおさめようとして、UFO研究家なんかはこれまでイロイロと屁理屈をこねてきたのである。例えばジョン・キールは「超地球人説」ということを言ったのだし、ジャック・ヴァレは「コントロール・システム」というものを提唱したのである。映画作った人たちも、及ばずながらソコはちゃんと屁理屈を考えないとダメである。
もっとも、「事実とされていることをベースにした作品」という事になると、あんまり好き勝手にやるのも憚られるというところはあるだろう。その手の怪現象を映画化するというのはかくも難しい。志半ばで散ったこの作品、改めてそんなことを我々に伝えてくれているようでもある。
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