■第八章 その謎を作図する


「既知のモノに擬態してみせるUFO」というこれまでの話の延長線上ということなのだろう、この章でのキールは「流星に似てるんだが流星ではない物体」について書いている。


最初に紹介しているのは1966年4月25日にカナダ方面から米国北東部に向かって飛来してきた「流星」の話である。これが目撃されたのは午後8時15分頃のことだったが、その経路には複数の目撃者がいたようで、キールはそんな人々の奇妙な証言を複数紹介している。


たとえばペンシルベニア州トワンダ近くのハイウェイでは、走行中のクルマのエンジンがとまり、ヘッドライトが消えた(これはいうまでもなくUFOにつきものの電磁効果というヤツである)。

また同州アプランド近くでは上空から何かが落下。それを発見した少年によれば、物体の高さと幅はそれぞれ1フィート、長さは2フィートで、ゴムが焼けるような臭いをさせて燃えていた。ちなみに、翌日現場に行った人たちはそこに小さな石炭のようなものを見つけたという(なおこの少年は目撃後に一時的に目が見えなくなり、両目が腫れてしまった。何らかの輻射を浴びたもののようだが、こういう話もUFOにはつきものである)。


このペンシルベニアの「流星」にまつわるミステリーはまだ続く。

キールが語るところによれば、ソヴィエトのタシケントではペンシルベニアでの事件とほぼ同じ時刻に――つまり現地時間の4月26日早朝となる――突然閃光がひらめく現象が起き、さらにはまもなくその一帯で大地震が発生した。Wikipediaにも
「タシュケント地震」という項目あるので、そういう地震があったこと自体は確かなようだ。米国とタシケントの出来事になんか関係があったとしてどういう関係なのかよく分からないので困ってしまうのだが、こういう話で読者を煙に巻くあたりがいかにもキールである。

ついでにいうと、
キールはここでしばし寄り道するようなかたちで、「流星」ないしは空飛ぶ円盤の出現と時を同じくして地震が起きた事例を幾つか紹介している。この点についてはそれほど深掘りしていない。ちょっと残念であった。


とまれ、ここで彼が報告している物体は、「尾を引きながら空を飛んでいく光体」ではあってもやたらノロノロ飛んでいったりするので、やはり流星ではない。ここまで読んできた読者としては「なんでそんな紛らわしいんだ! あ、やっぱりこれも流星を装ってみせるヤツらの手口なのかもしれないね」と何となく考えたくなってしまうのだった。


さて、本章の後半になると、キールはやや切り口を変える。1966年7-8月、ネブラスカ州とその近隣州ではこうした流星様の物体が目撃されるフラップが発生したのだが、ここで彼は、一連の証言に基づいて物体が飛行したルートを再現することを試みている。


例えば、1966年6月13日午後10時過ぎに目撃された物体は「緑色」ないしは「周りに赤いバンドのついた青緑色」という点で証言が一致していたが、これはネブラスカ州→ミズーリ州・アイオワ州→イリノイ州といった順番で、円弧を描きつつ移動していたことが判明した。このようにして彼は、複数の事件について地図上に飛行ルートをプロットしていった。その結果、どうやらこうした物体はカナダをも含む「大きな円」に沿うようにして出没しているのではないか――という結論に達する。


もっともオレはアメリカの各州の位置関係なんてものは全然わからない。そこで、いちおう彼の主張に沿って白地図にそのコースをプロットしてみたので、ここにはその画像を貼っておこう。ここに記したコースはその円の一部になるのだと思うが、彼がイメージしていたのはたぶんこんなものだと思う。

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さらにキールは、「この大きな円にリンクする形でUFOの多く出没する区域=窓というものが多数存在しており、そこは地磁気異常がある場所であることが多い」「フラップはこの大きな円に沿って移動することが多いので、次なる発生場所はある程度予測できるのだ」みたいな怪しいことまで言っている。


そればかりではない。本章の最後になると、チャールズ・フォートの「ファフロツキーズ」概念を援用して、「そもそもこういう流星みたいにして落ちてくるものは外宇宙から来るンでなくて、何ものかが中空に<物質化>させたものなんじゃねーの?」といったことまで口走る。暴走は止まらない。いいぞキール。(つづく