■オズ・ファクター

 ジェニー・ランドルズは著書『UFOリアリティ』(1983年)において、「現実世界から切り離され、異なる環境のフレームワークに運び去られてしまう感覚」について言及している。彼女は、この感覚がUFOの目撃者によって時折報告されることを踏まえて、こう述べている。「それは我々がUFOを理解する上でもとても重要なものの一つである。それはおそらく、目撃者は一時的に我々の世界から別の世界に――その世界の現実はこちらとは微妙に異なっている――運び去られていることを示唆している・・・『オズの魔法使い』の国にちなんで、私はそれを『オズ・ファクター』と呼んでいる」。サイキック現象を論じた『シックス・センス』(1987年)では、彼女はこのオズ・ファクターを心理学者や超心理学者が「変性意識状態」と呼ぶものと同一視している。

以下はUFOにかかわるストーリーの中でオズ・ファクターが報告された一事例である。それは1978721日、まだ暑さの残る夏の夜、午後1015分頃にイギリス・マンチェスターのデイヴィフルムで起こったもので、ランドルズが「W夫妻」と呼んでいるカップルが薄明の空に黒っぽい円盤が浮かんでいるのを目撃した。この円盤はオーラに包まれており、そこからは3040本の美しい紫色の光線が車輪のスポークのように様々な角度に発射されていた。その長さは真ん中にある円盤の直径の12倍ほどまで伸びていた。ランドルズの記すところでは、一分半ほどすると「光線は順番に内側にたたみ込まれていき、物体はゆっくりと消えていった。その大きさは向かいの家の屋根と比較しても相当に巨大なものであった」。W夫妻が当惑しつつ語ったことによれば、その目撃の間、いつもは賑やかな通りは不思議なほど静かで、クルマや歩行者は全くみえなかった。W婦人はのちに、二人でその物体を見ている間、自分は「特別な存在」になっていて、かつ「孤独」な感じだったと語った。

 もう一つの類似した事件は、ドーセット州プールのジーン・フィンドレーによって報告された。1980126日の朝91分、バスを待っていた彼女は「上を見なければ」という衝動を感じたが、それは「まるで頭の中で誰かの声が命令してきたような感じでした」。彼女は近くの木の上にホバリングしているドーム付きの円盤型UFOを見た。彼女は「魔法にかけられた」ような感じで、「平和、静けさ、温かさ」といった感情がわき上がる中、彼女はその物体が光線を放ち、一回転し、それから超高速で飛び去るのを見た。時計を見ると「時は飛ぶように過ぎていた」――ちょっとの間の出来事のように感じたが、実際には4分が経過していた。この目撃は繁華な都市のラッシュアワーにあったものにもかかわらず、彼女によれば、その間あたりは「静まりかえって」おり、周囲から人影は絶えていた(ランドルズ、1983年)。

 オズ・ファクターが関わっているかもしれない目撃事例は、1989415日のカリフォルニア州ノヴァトからも報告されている。この日の午後530分、自宅の前庭にいた父親と息子は、仰角75度のあたりで「軸のようなものでつながった二つの球体」――つまりはダンベルのような形をした物体がゆっくりと下降していくのを見た。二つの球体は金色で、その周りには白い光輪があった。

 5週間後に目撃者にインタビューした心理学者でUFO研究者のリチャード・F・ヘインズによると、「ダンベルの見かけの角度の大きさは、父親が腕を伸ばした先の親指の幅よりはやや小さく、だいたい1.5度であった」。さらにこれは双眼鏡越しだけでなく裸眼でも見えたのだが、その物体の近くでは四つの小さな金色の円盤が動き回っていた。ヘインズはこう記している。「父親は、物体を観察しているあいだ、通常はこの時間だと多くいるはずの子供や犬がいなかったのは奇妙だと語った」。さらに目撃者は「不思議なんだが、アレを見た人間は他には全然いなかった」とも述べた(ヘインズ、1989年)。ちなみにこの事件は新聞では報じられなかった。

以下に示す物理的効果を伴った刮目すべきオズ・ファクターのエピソードは―― これを専門用語でいえば第二種接近遭遇となるわけだが――195912月の或る日の朝、545分頃にカリフォルニア州プロベルタの南方半マイル地点で発生したとされている。ラリー・ジェンセンはその日、米ハイウェイ99号線を仕事にいくため走っていたのだが、ラジオが「パチパチ」という音を立て始め、ライトは暗くなった。そこで道路脇に車を止め、ヘッドライトを点検するために車から降りたところ、彼はヘッドライトが使い古しの電池で動く懐中電灯のように弱々しく光っているのを見て愕然とした。

 すると彼の視界の端に、巨大で明るい青緑色の三日月型の物体が、高さ60フィートのあたり、位置的には彼の後方四分の一マイルの場所でホバリングしているのが見えた。その物体は幅80から90フィート、厚さは15から20フィートほどあるように見えた。すると突然、不可解なことに、彼は自分の服がずぶ濡れになっていることに気付き、押しつぶされるような不安な感覚を覚えた。そればかりか、調査員に語ったところによれば、彼は「磁石に引き寄せられるように、宇宙へ吸い上げられる感じがした」。

 彼は車のドアに飛びつき、常に持ち歩いていたライフルを掴もうとしたが、代わりにサイドミラーにぶつかって後ろ側によろめいた。二度目の試みでやっと車内に入った彼は、バックミラーを覗いたが、物体は見えなかった。しかし、右側の窓から外を見ると、UFOが数マイル先で北東方向に向かい、シエラ丘陵を浅い角度で登っていくのが見えた。10秒も経たないうちにその姿は消えた。

 ジェンセンの車のライトは再び点灯した。ホッとした彼は再び出発したが、200ヤード進んだところで再び車を止めた。焦げたゴムの匂いがしたからである。ボンネットを開けると、バッテリーのキャップが吹き飛んでいた。バッテリー自体も「膨らんで変形し、びしょ濡れ」になっており、発電機は動かず、電機子とフィールドワイヤーが溶けて一体化していた。が、調査報告によれば、この体験にはさらに奇妙な要素があった。

     加えて彼の記憶に強く残ったのは、この出来事の直前からプロベルタの北半マイルに至るまで、ハイウェイ上で一台の車にも遭遇しなかったということである。これは彼の人生で空前絶後の経験であった。U.S.99Wはサンフランシスコからポートランドおよびシアトルへの主要幹線道路である。交通量は非常に多い(サーニー、タイス、スタバー、1968年)。


ランドルズの見解は以下の通りである。「オズ・ファクターの存在が、UFOとの遭遇の核心には目撃者の意識というものがあることを指し示しているのは明らかだ…客観的現実を上書きする主観的データは、内側から(つまりは我々の深層から)発しているものかもしれないし、外部から(例えば他の知性から)来ているものかもしれない。あるいはその双方から、ということもあるのかもしれないが」

 ――  ジェローム・クラーク編「UFOエンサイクロペディア第3版」より



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  ジェニー・ランドルズ(UFOlogy Tarotより)