きょうもNHKニュースみてたら「大谷昭平ええぞワーイワーイ」という、いつもながらの大政翼賛会報道をやっていた。

実にくだらんのだが、改めてなんで日本のメディアはこんなアホ報道ばっかやってるのか考えてみた。結論からいうと国内メディアは痴呆症もかくやという思考停止状態に陥っているのである。

これが例えば日本のプロ野球の話だとしよう。そうすると、「巨人の岡本打った打ったワーイワーイ」という報道はなかなかやりづらい。何となれば日本国民の中には巨人ファンもいるけれども他の球団のファンもたんといる。露骨な応援報道をすると「なんでそんな依怙贔屓報道するんや!」という批判が寄せられるのは必定(もちろん日テレや読売新聞の場合はそういう批判を無視して巨人の応援報道をするのだがソレはまぁ「コイツらどうしようもねえな」という批判を甘んじて受ける覚悟でやっているので仕方ない)。

そこへいくと、日本人のほとんどは米メジャーリーグについて全く無知であり、ナショナルリーグ西地区の各チームの順位なんてものには全く関心がない。だから、ドジャースに在籍する大谷の活躍バンザイというのは逆にいえばドジャースと競っているジャイアンツやパドレスくたばれというのと同義なのだが、別にそういう報道姿勢をとっても腹を立てる日本人はほとんどいない。「日本人頑張れ!」みたいな幼稚な野球観しか持ち合わせていない多数派の日本人にとって「大谷ええぞ」報道は実に心地よい。「大谷が屁をこいた。素晴らしい」みたいな話がニュースになる現状はおかしいだろうという真っ当な批判の声はまったく広がっていかないのである。

そしてこれはまた時代の反映でもあるのだろう。つまり、SNSの発達等によって小うるさい大衆の罵詈雑言が拡大再生産されがちな近年のメディア環境を考えると、どこから弾丸が飛んでくるかわからず日々戦々恐々としているマスコミにとってどこからも文句が出そうにない大谷ガンバレネタは実にオイシイ。かくて思考停止したメディアはどうでもいい大谷ネタを狂ったように流し続ける。そして多くの国民もコレをおかしいとは思わない。国民もバカだしメディアもバカ。一連の狂乱報道の背後からはそんな愚かな国の今が透けてみえてくるのである。
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