いわゆるUFOを取り上げた番組は日本でもしばしば放送されているけれども、オレのようなスレたUFOファンからすると何だか物足りない思いをすることが多い。だいたいどっかから拾ってきたUFO映像を流し、ひな壇タレントが「ありゃ不思議!」みたいなことを言ってオシマイというパターンが多い。中には詐欺師が出てきて「UFO呼び」の呪術をしてみせる低脳番組もあるようだ(まぁそういうのはハナから見ないけれども)。

どうせやるならそういうんじゃなくて、「いま・この時代においてUFO問題というのはどういう風に考えるべきなのか」みたいな骨太な問題提起をしてもらいたいのだが、まぁしょせん場つなぎのヒマネタ・面白ネタとしてUFOが消費されているわが国のメディア状況では所詮ムリな注文なのだろう。

と、そんなことを思っていたところで、このあいだオレの期待にこたえてくれるようなちょっと骨太なUFO番組が放送された。8月2日にNHKが「地球ドラマチック」枠で放送していた「UFOの正体 〜科学者たちが迫る最前線〜」である。ただこれは(当然というべきかもしらんが)別にNHKが作ったワケではなくてもともとアメリカの番組である。

制作はWGBH Educational Foundation / Terri Randall Production。原題は「What Are UFOs?」で今年1月に公共放送サービスPBSが放送したものらしい(日本版に編集が入ってるかもしらんがソコはよくわからない)。

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で、これはまさにUFO問題についての啓蒙番組であった。基本的には世界を騒がせたUFO問題がこれまでどういう経緯をたどってきたかを探るもので、45分弱という尺の中で1947年のケネス・アーノルド事件から今にいたるまでの動きが要領よくまとめられているワケだが、ここで長い尺を使ってスポットを当てているのは近年のアメリカUFO事情である。

ここのところを簡単に説明しておくと、現在アメリカではUFO――というか手垢のついたこのコトバはやめてUAPというコトバを使おうという流れになっているのだが――への関心が再び盛り上がってきているのだが、一つのきっかけとなったのは2017年末にニューヨーク・タイムズが飛ばしたスクープだった。それまで米当局は「現在UFOの調査はしておりません」と言っていたのであるが、実は2007年以降、彼らはこっそりと予算をつけて調査を行っていたことがココですっぱ抜かれてしまった。と同時に、このスクープにあわせてNYタイムズは米軍が撮影したというUFO映像をも公開した(のちにこれらの映像は米当局もホンモノだと認めることになる。「チクタク」とか「ジンバル」とか「ゴーファスト」とか愛称で呼ばれることになる一連の赤外線撮影映像である)。

要するに米軍はUFO映像とかも撮っているし、調査も始めている。二枚舌使うんじゃねえゾ、いったいどうなってるんだという話で、議会筋も騒ぎ出す。そこからいろいろ曲折もあるのだが、全部すっとばしていうと米政府は2022年に「全領域異常解決局 AARO」とゆー組織を作ってUAP現象の調査・分析に乗り出している。というか乗り出さざるを得なくなった。

番組はその辺の流れを追いつつ、「UAPって何なのよ」という疑問にこたえるべく前述のチクタク事件にかかわったアレックス・ディートリック、ジンバル事件のライアン・グレイブスといった元海軍パイロットに証言させたり、あるいは合理的な説明ができないか試みている懐疑論者ミック・ウェストを登場させて例のチクタク&ジンバル映像にかんして様々な仮説を紹介したりもしている(初代AARO局長のショーン・カークパトリックを起用してプエルトリコのアグアディアで2013年に撮影されたUAP映像のナゾ解きをさせているのも面白い)。で、最終的には「でもまだよくわからない。だからちゃんとデータを集めてこのナゾに挑んでいきましょう」みたいな地点に落ち着いているのも、まぁ妥当であろう。

要するにUAP問題を面白ネタとして消費するようなノリではない。知的である。もちろん日本人にとっては「いま・ココ」で生起しつつある現象とはいえないから切実感が持てないのも確かなのだろうが、国内でもこれぐらい啓蒙的な番組を作れないか。最初に「日本のメディアにはムリな注文」とか思わずホントのことを書いてしまったが、よくよく考えるとNHKには毎月バカ高い受信料を払っている。ムリを承知で言うのだがなんかうまいこと上層部をだまして「NHK特集」でやっていただきたい。

【追記】
なお、最近たまたま「UFOs: Investigating the Unknown」というTVシリーズがあるのを発見して1stシーズン5話を見終わった。上述のNYタイムズの歴史的スクープを飛ばしたジャーナリスト、レスリー・キーンを狂言回しに据え、やはりUFO問題の歴史的経緯を振り返りつつ近年の動きをまとめた番組だったが、こちらも「捕獲された宇宙人」みたいなバカ話はしない比較的抑制の効いた内容でなかなか良かったので、そのうち感想など書いてみたい(というか実際はこの「UFOs」の感想文を書こうと思い立ったところで「あ、そういやこないだNHKでやってた番組も良かったなー」と思ってまずは備忘録代わりのエントリーを書いたという次第)。