ベルギー 壁を乗り越える
ヴィルヴォールド(Vilvoorde)はブリュッセルの北方数マイルのところにある製造業の中心地である。ここでは、エンティティが文字通り壁を歩いて乗り越えていくというすこぶる奇妙な事件も起こっている。
それは1973年12月の寒い夜のこと。午前2時、ある既婚男性(28)が屋外にあるトイレへ行こうとして目をさました。妻を起こさないよう気をつけつつ暖かい夜具からノロノロと這い出した彼は、トイレに行くときのための懐中電灯を手に取ったが、そこで異常なことが起きているのに気づいた。それも二つ。
まず、戸外で金属が地面をひっかくような音がした。さらに、辺りは真っ暗なはずなのに、キッチンの窓からは蛍光塗料が発するような奇妙な緑色の光が差し込んでいた。
好奇心にかられた彼はさほど怖がることもなくカーテンを開けてみたのだが、そこで思いがけないものを目にした。そこにいたのは小さな生きものだったのだ。身長はおそらく一メートルほど。着ているワンピースのスーツは奇妙な緑色の光を発していた。頭には透明なヘルメットを被り、そこから出たチューブが背中のバックパックのような装置につながっていた。実のところ、これは約50年前にボルトンの裏小路でかくれんぼをしていた若者と出くわした存在と似通っていた(訳注:1926年、英国ランカシャー州ボルトンで当時少年だったヘンリー・トーマスがヘルメット姿の怪人3人と出会った事件をさす。同書に記述アリ)。

最初そのエンティティのことはハッキリ見えなかったのだが、腹のあたりに赤く光る箱状のものがあるのはわかった。およそこうしたエイリアンとの遭遇譚にあって、しばしばこのような些細な事柄が語られることがあるのは読書諸兄も既にお気づきのところであろう。しかし、このエンティティに関して特筆すべきは [これとは別に] エンティティが体の前面に保持していたモノであった。エンティティはそれを金属探知機のように地表を掃くようにして動かしていたのだった。ただそれは金属探知機よりは大きく、実際のところ、その大きさや見かけは家庭用掃除機や手持ち式の芝刈り機のようだった。庭には目撃者が置きっぱなしにしていたレンガや石が散らばっていたが、エンティティはそうしたものの上を掃くようにして機器を動かしていたのだった。
いぜん恐怖心を感じることはなかったが、あとあと考えれば奇妙なことに彼は妻を呼ぶこともせず、庭に懐中電灯を向けた。するとそれが注意をひいたのか、エンティティはくるっと向きを変えて真正面から彼と向き合った。このときわかったのだが、マスクの向こうの顔にはとても大きい目と二つの非常に尖った耳があるのが見て取れた。
その存在は懐中電灯の光にこたえるかのように二本の指を立て、Vサインをしてみせた。それが上下逆でなかったことは幸いだった。さもなければ地球外生命体とのコミュニケーションは最悪のスタートを切っていたかもしれなかった!
それからエンティティは背を向けて、突拍子もない行動に出た。まずは片方のブーツの底を庭の奥の壁に押し当て、それからもう一方のブーツも壁に当てたかと思うと、一瞬の猶予もなく文字通り壁面を上のほうに歩き始めた。体は壁に対して直角に突き刺さった感じで、それはまるで磁石でくっついているかのようだった。エンティティは壁のてっぺんまでいくと、円弧を滑らかに描くようにして体を回転させ、壁の向こう側に姿を消した。身につけた装置はその間ずっと体の前面に保持したままだった。
■訳注:何を言ってるかわからん人はネットで拾ってきた図解イラストを貼っておくのでご覧くださいw
流石に驚いたものの、恐怖は全く感じていなかった目撃者はさらに観察を続けた。するとほどなく壁の向こう側に光が見え、チリチリいう音も聞こえてきたが、さらに何やら物体が上方に浮かび上がって滞空するのが見えた。その物体は本体が黒っぽかったが、その上には小さなドーム部があった。ドーム部は青ないしは緑色っぽい色の明るい光を放っており、その内側には生物が見えた。下側の暗い部分と、上部の明るい部分の境目からは赤い火花が散っていた。
数分たつと、シューッというような音が大きくなってきて、火花はさらに激しく飛び散るようになった。その物体は上に飛び上がり、おそろしい速度まで加速したかと思うと瞬時に姿を消したが、その後にはかすかに光る軌跡がしばらく残っていた。
UFO研究団体SOBEPSは徹底的な調査を行ったが、庭にも、そして壁の向こうの修道院の地所にも不審な痕跡は全くみつからなかった。目撃者もいなかった。ただし、建物や土地の位置関係からすれば、それ自体は驚くべきことではなかった。
1974年4月の夜遅く、目撃者は妻、いとこと一緒にブリュッセルに向けてクルマで走行していたが、彼らはコニングスロ付近で空に楕円形で光る物体を目撃した。乗っていたフォード社「エスコート」のエンジンは止まり、ライトも消えた。エンジンをかけようとしてもダメだったが、その物体が飛び去るや否やエンジンは自然にかかったという。世界中の事件で我々がおなじみであるところの不条理さというものは、この事例からも見てとることができる。
【注】ググってみたらネットでもボチボチ紹介記事がありました。この「PODCAST UFO」というところは比較的くわしかったが、読むと「Flying Saucer Review」Vol.20, No.6(1974年4月号)に載ってると書いてあるのでチェックしたら確かに「The Vilvorde Humanoid」と題する記事がある。今回はめんどくさかったンでコッチまで読んでないが興味のある方はあたってみるとよろしかろう。

*なお蛇足ながら、このFSRという雑誌はバックナンバーを地道に読んでいけばイロイロと面白い事件に出会えるのではないかといつも思う。言うだけで全然ヤル気はないのだがw
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