さて、またまた夏の甲子園の季節がやってくる。
各地の地方予選もほぼ終わりつつあるが、最近大きなニュースとして報じられたのが岩手県・大船渡高の超高校級エース、佐々木朗希投手をめぐる一件である。
皆さんよくご存じとは思うが、要するにこの高校の監督、岩手県大会決勝戦でこの佐々木投手をマウンドに上げなかった。決勝まで勝ち上がってくるのにかなり消耗しているし、ここで投げさせるといよいよ故障してしまうンではないか――そんな思いがあったとされる。で、大船渡高校は負けてしまった。
「なんだよ、甲子園まであと一勝っていう試合なんだから投げさせてやりゃあよかったのに!」。どうやらそんな声が澎湃と湧き上がっているらしいのである。
という前置きを経て、さて、今朝の朝日新聞「天声人語」である。ネットでは全文が見られなくなってしまったので、ここでは末尾の部分を貼りつけておくにとどめる。が、朝日新聞に高校野球を論じさせるといつだってトンチンカンになってしまうのはいつのものことで、今回もバカなことを書いている。
この部分を読んで頂ければ分かるように、「投げさせた方が良かった」とも「これで良かった」ともハッキリ言わない。
「投げさせろ」と言ったら、「ケガもクソも関係ねーからとにかく頑張れ」とゆー古くさいスポ根主義を擁護することになってしまうので「進歩派」を気取る朝日新聞としてはそうは言いにくいところである。
かといって、「投げなくて良かった」といえば、たかが子供の野球を天下の一大事のようにあおり立てて商売の道具にしてきた朝日新聞のこれまでを自己否定してしまうことになるので、そうも書けない。
つまり天声人語子は、この件について別に言いたいことなどないのだろう。世間で大騒ぎになってるので主催者側としても何かひと言書いておこうかなーと考えたはいいが、自分のアタマで突き詰めて考えたことがないので、なんとなく曖昧なことを語って行数をかせいでいたらいつのまにか終わってしまった、というアレである。
であるから、最後に「夢をおいかけることと、途中で燃え尽きないこと。バランスが大切で、かつ難しいのは、どのスポーツも変わらない」とか言っておるが、これも適当にひねり出した文句で、現実は全然違うだろう。高校野球が今や一大ビジネスになっちまったからこそ「投げる・投げない」が大問題になってしまったワケで、有り体にいえば今回の一件が「難しい」のは、「この佐々木投手はプロ野球に入って大活躍することが期待されており、となると、いま故障でもされたら水の泡である」というオトナ世界の事情が一枚噛んでいるからなのである。
そこらで部活をやってる平凡な高校生だったら別になにも「難しくない」。