2022年11月

毎年秋の文学フリマ東京開催にあわせて発行されてきた国内屈指の超常同人誌「UFO手帖」が今年もつつがなく完成し、11月20日に東京流通センターで開催された文フリにてめでたく頒布と相成った。小生はたまさかこの雑誌に原稿を書かせていただいている利害関係者の一人であるわけだが、それ故に近々始まるであろう通販に向けて若干の宣伝にもなればよからうということで、以下、今回は僭越ながらその内容を説明させていただくことにした。

昨年刊行の前号ではなんと都合200頁に達するという大増ページで斯界を驚嘆させた「UFO手帖」だが、今号「7.0」もそのボリュームは実に192頁! いったいどういうことなんだよ何をそんなに書くことがあるんだよという皆さんの疑問も尤もであろう。さて、それでは今回の特集はいったい何かという話になるわけだが、そのタイトルはなんと「フォーティアンでいこう!」。要するに「チャールズ・フォート」がテーマなのだった。

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もっとも、「なんと」とか言っても話が見えない人がいるかもしらんので簡単に説明しておくと、チャールズ・ホイ・フォート(1874-1932年)というのは古今東西の奇現象を図書館とかに行って集めてまわったアメリカの奇人である。

たとえばであるが、空からいきなり魚やカエルみたいなものが大量に降り注いでくる「ファフロツキーズ」(Fafrotskies)という現象に注目したり、あるいは皆さんよく知っている「テレポーテーション」という言葉を編み出したり、人体自然発火現象について調べたりした人物だといえばその傑物ぶりは何となくお分かりいただけるだろう(もちろん今でいうUFOのような現象についても情報を集めてまわっている)。

そんな伝説的な人物だけに、やがては彼の名にちなんでこの手の奇現象を調べる好事家を指す「フォーティアン」などという言葉まで出来てしまったぐらいで――ちなみに今回の特集タイトルはここから来ている――さらには英国では『フォーティアン・タイムズ』などという超常専門誌が出来たほどである。要するに彼は奇現象界のレジェンドともいうべき人物なのだった。

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*今号の表紙は、従ってこの「ファフロツキーズ」に引っかけて天空から落下してくるフォートを描いているワケである。本誌専属アーティスト・窪田まみ画伯渾身の力作である


ただし、実はこれまでこの人物についてのまとまった紹介というのは日本ではあんまりなかった。そんな超常現象界のVIPであるというのに彼の本というのは我が国では全然翻訳されてこなかったのである。たとえばこれはかなり有名な話だが、1980年代には国書刊行会という出版社から、超常現象研究家である南山宏氏の翻訳でこの人の主著『呪われた者の書 The Book of the Damned』が刊行される計画があった。ところがいつまでたっても出版されない。それから30年有余年たっても、なお日の目をみていない。数年前になって突然「どうやら刊行の見通しがたったようだ!」みたいな怪情報がネットに広まったこともあった。でも、やっぱり出ない。

なんでそんなことになっているのか。

以下はオレの勝手な推測だが、彼が書いた英語の文章というのは一般的な文法を無視したようなハチャメチャな文体である(ように思える)。じっさいのところ、全然翻訳が出ないのでオレもヤケクソになり、「じゃあ自分で訳したるわ!」といって原著をめくってみたことがある。しかし、もう何十年も前に受験英語を勉強しただけの英語力しかないオレには全く歯が立たず、その野望は最初の数頁でついえた(その挫折の記録はココw=なおフォートの本の著作権は既に切れているのでヤル気がある人は勝手に翻訳して公開することが可能である)。

つまり、要するにあまりに奇っ怪な文章なので、名翻訳家として知られた南山氏をもってしても「う~ん、こりゃちょっとうまくイカンわ」ということで翻訳作業が頓挫してしまっているのではなかろうか。そこで国書刊行会の中の人が「そんなこたぁないわい! ナニ失礼なこと言うてんねん!」というのであれば、ハイわかりましたごめんなさいと土下座して謝りますので代わりにすぐ作業を開始して下さい。

あるいは真相はそんなことではなくて、超常現象のナゾが明らかになると不都合があるディープ・ステートないしはメン・イン・ブラック方面から「出版したらタダじゃすまんからな!」とかいって横ヤリが入っているのかもしらんが、そういう話だったのならば国書刊行会は脅しに屈することなく出版人の誇りにかけて引き続き出版計画を進めて下さい(要するに何でもいいから早く刊行してください笑)。

話がずいぶんと横道にそれてしまった。ともかく彼の本というのは現時点で日本語では読めない。断片的に「フォートはああ言ってる、こう言ってる」という情報はあってもなかなかよくわからん。隔靴掻痒の状態が続いていたのである。

しかし。
そんな奇現象界のレジェンドをこのまま放置しといていいのか――おそらくはこんな問題意識から今回「UFO手帖」の人々が立ち上がった。フォートはどういう人物でどんなことを考えてたのか、ちゃんと紹介してやろうじゃないか。そういう話である。

というわけで、この特集では同人の皆さんがそれぞれのアプローチでフォートにかかわる論考を執筆している。とりわけオレが驚愕したのは「UFO手帖」の名物編集長・秋月朗芳氏の恐るべき執念である。本号にもその辺のことは書いてあるけれども、編集長は今回、フォートの主著を片っ端からゴリゴリと機械翻訳にかけたらしい。すごい力業である。先に述べたようにフォートの文章は悪文であり機械翻訳でもなかなか手に負えないと思うのだが、ともかく編集長はそうやって強引にフォートの読解を推し進めた。ブルドーザーで密林に突っ込んでいくような蛮勇を振るったのである。なんと素晴らしいことだろう!

かくて本号では、フォートの著作やその人生、後世の小説や映画に与えた影響などが多角的に論じられている。そうやって見えてくるフォートの神髄とは何なのかというのはこの同人誌を買って読んでいただくしかないのであるが、ひとつだけ言っとくと、オレが読みながら考えたのは「フォートというのは我々のような陰キャ系オカルトファンにとっては一つのロールモデルなんじゃねえか」ということだった。

日常生活は適当にほっといて調査作業に精を出す。ひたすら奇現象を愛でる。異界へのとば口に立ってセンス・オブ・ワンダーを噛みしめる。「こんな不思議なことがあったようだゼ」とかいってネタを広めてまわる(しかもこんな勝手な活動ができたのは親戚から思わぬ遺産が転がり込んだから、というのもイイ)。他方、「フォーティアン協会」なんてものができて神輿に乗せられそうになるとビビってしまって「オレには関係ない」といって逃げる。まさに理想……ま、健全な皆さんにとってはどうでもいい話ではあった(笑)。

とまれ我々はいま、超常界にそびえ立つチャールズ・フォートという孤峰の下へと辿り着いた。これから山頂を目指していく者たちにとって、おそらく今回の「UFO手帖」は格好のガイドとなってくれるに違いない。



さて、特集以外にも今号にはいろいろ満載である。ずいぶんと話が長くなってしまったので(老人性の挙動)以下は簡単に。

UFOにまつわる音楽・漫画・アニメ・映画などを紹介するのは既に「UFO手帖」の定番企画となっているが、今号では「UFOとUFO本」なる企画も始まった。ここでは今年刊行された『イラストで見るUFOの歴史』『UFOs 政府の軍・政府関係者たちの証言録』がレビューされている(いずれも良書)。ひとつ気がかりなのは、次号で「めぼしい本が出なかったので今年は休載です」という事態が起きないかということである。出版社の中の人たちの頑張りに期待したい。

それから、期せずして過去のUFO事件を振り返る論考が目立ったのも今号の特徴であったかもしれない。

たとえばイタリアの寒村でオバハンが宇宙人(?)に花束とストッキングを奪われた「チェンニーナ事件」の真相に迫ろうというレポートがある。他方、例の「ケネス・アーノルド事件」について「巷間伝えられてる話はウソが多いから」ということで電子顕微鏡でアラを指摘して回るような論考もある。

かつて日本のコンタクティ松村雄亮が宇宙人(?)と一緒に入った伝説の喫茶店を探して現地付近を探査したレポート、なんてのもある。実際にはその建物はもうなくなっていたのだが、辺りをウロウロしていた報告者が「あ、やべっ、オレって傍目からすりゃ完全な不審者だわ」といってうろたえる場面(意訳)がスコブル秀逸だった。おめでとう比嘉光太郎君、後ろ指さされることを自覚しつつUFO研究に一身を投じるべく一線を越えてしまった今、君は一人前のUFO者だッ!(われながら何を言ってるのかw)

それから今回オレは「ジャック・ヴァレ、あるいは老ユーフォロジストの見果てぬ夢について」というタイトルで原稿を書いてます。これは孤高のユーフォロジスト、ジャック・ヴァレが先に共著として出した『Trinity』という本の簡単なレビューなんだが、何でこんなヘンな題名なのかというと「あぁ天下のジャック・ヴァレも今回の本はちょっと勇み足だったよなぁ、でも彼も年とったし仕方ねえのかもなあ」という話である。イヤすいません、ヴァレ知らん人には何言ってるかわからんですよね(笑)。ちなみにUFO手帖には書ききれなかった細部にも触れたロングバージョン的な『Trinity』レビューはこのブログにも載せているので関心がある方はお読みください。

もう疲れたので、あとは買って読んで下さい。UFO手帖7.0のTwitterアカウントあたりをチェックしていれば、そのうち通販のお知らせがアナウンスされるでしょう。最後にもひとつだけ言っとくと、ここ数号で新しい書き手が続々登場してきたので、この同人誌はまだまだ大丈夫だと思います。ひきつづきご贔屓に。(おわり)


【追記】

チャールズ・フォートは、「チェッカー checkers」というボードゲームにヒントを得て「スーパーチェッカーズ supercheckers」なるゲームを作った人物でもあるという。これは関連の書物などにもしばしば出てくる話なのだが、この「スーパーチェッカーズ」についての情報というのはググってみてもなかなかヒットしない。

かろうじてこの件に触れた昔の新聞記事(Pittsburgh Press, February 20, 1931)を載せてるサイトは見つけたのだが、そもそもオレはチェッカーとは何なのか全然知らんので、読んでもどういうものか皆目わからんかった。ただ、この記事を読むと、フォートは自作のこの対戦ゲームでベンジャミン・デ・カセレスやティファニー・セイヤーといった連中と「おれナポレオン」「おれはシーザーだかんな」とかいって「ごっこ遊び」をしながら楽しく遊んでいたようである。心温まるエエ話である😅

というわけで、ボードゲームにお詳しい人で「スーパーチェッカーズ」の詳細をご存じの方がいたらゼヒ情報お知らせください。m(_ _)m

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 これはしばしば見かけるフォートの写真であるが、この手前に見える何だかよくわからんものが「スーパーチェッカーズ」のボードなのだそうだ

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自作PCをいじった際は備忘録として何やったか書いておく「お約束」なので、今回はそのメモ。

PCケースはAntecがかつて静音ケースとして販売していた「SOLO」をいまだに使っていて、記憶は定かでないがもう10年以上手許にあるのではないか。で、そのデスクトップPCが何だかよく分からんけれども最近うるさくなってきたような気がした。ケースファンがそろそろヘタってきたのかもしれないなァということで、今回ファンをかえてみようと思い立った。

このケースは前面に吸気ファン92or90mmが2ッ、後面に排気ファンが120mmひとつという設計になっている。あと、現在のオレの運用でいうとCPUクーラー用のファンに120mmをつけて前面から後面に向けて空気を流している。ということでこの合計4つのファンを全部換えることにした。

とりあえずSOLOのファン換装をした先人の試みをネットでググってみる。そうすると前面の空気流入口にあるパンチングメタルみたいな部分は切り取ったほうが空気の流れがよくなってヨロシイと複数の人が書いていた。なので普通のニッパーでパチパチ切り取ってしまった。そのあと、切り口でケガをするのも馬鹿らしいので100均で買った金工用ヤスリでバリを取った。

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新しくとりつけるファンは以下の通り。期せずして全部サイズのファンだが、比較的安くて静音寄りということで選んだ。

吸気用ファン(2ツ)
■サイズ  KAZE FLEX 92 SLIM PWM 2500rpm KF9215FD25-P

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排気用&PCクーラー用ファン
■サイズ SU1225FD12M-RHP

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それから吸気用ファンにつけるホコリ侵入防止用フィルターも2つ買った。もともとのSOLOには先ほどのパンチングメタルみたいな部材に穴あきのプラ板みたいなのがハマるようになっていて「これがホコリ取りです!」と主張しているのだが、あまり効果はない。ファン換装の先人たちも「そんなもの外しちまって防塵フィルターつけろや!」というので従ってみたのだった。

■親和産業 防塵フィルター92mm角ファンモータ用 RoHS指令対応 プラスチック製 SS-DFF-P90

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これをどうするのかというと、まずは金属部の向こう側にある吸気用ファンと一緒にベース部をネジこんで固定し、そこにフィルターと上ぶたみたいのをパッチンとはめる仕組みである。取り付けプロセスは以下の写真のような流れとなる。

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背面の排気用とPCクーラー用の120mmも同様に取り付ける。これで作業終了である。
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ちなみにこれまで使ってたファンはどんなのかというと以下の写真の通り。CPUクーラー用のは最初からついてたヤツだが、あとのはいったいどこから出てきたのかよくわからないような怪しいファンばっかである(笑。
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左上:排気用120mm サイズ SA1225FDB12L
右上:CPUクーラー用120mm サイズ ED122512H-PD
左下:吸気用100mm サイズ SY1025SL12L(注:若干デカいが何故か装着できていた)
右下:吸気用90mm X-FAN RDL9025S

ちなみに今回換装した新しいファンは全部4ピンのPWMファン、つまりマザーボードが温度状況をみて適宜回転数を変えてくれる「可変回転数型」なのだが、これまで使ってたのは
CPUクーラー用の120mmを除いてそんな機能を有していない3ピンのショボいヤツであった。

いま使ってるマザボはTUF H370-PRO GAMINGというヤツだが、当然ながらファン用電源コネクタは全部4ピンになっている。というわけで今後はBIOSのこの
PWM機能を使えるワケで、じっさい起動してみるとだいぶ静かになったような気がする。ボロボロのSOLOであるが、これでもう少しは延命できそうである。

【追記】

そういえばテレビ用に組んだPC(Silver Stone  microATX SST-GD06B)もだいぶほったらかしだなぁ、ファンがホコリで窒息しとりゃせんかと少し気になり、この機会に筐体を開けてみた。このケースは吸気用に120mmファン三つがついててそれぞれアクセスが面倒なのであるが、いちおうチェックしたところ、意外にファン周りのホコリはほとんどついてなかった。いちおうキレイにしてまた封入。


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ちょっと体重が増えてきたこともあり9月からジョギングを始め、ほぼ二か月で都合100キロほど走ってきたのであるが、こないだ左膝の内側に痛みを覚えた。そのあと膝用サポーターつけて二度ほどこわごわ走って様子を見ていたのであるが、10日ほどたっても違和感が消えない。しょうがないので整形外科に行ってみたところ、レントゲンを撮られて「変形性膝関節症ステージ1」と診断された。

要するに膝の軟骨組織がスレてしまって痛みが出るということらしく、体重の負荷だとかO脚による骨の歪みといったものが遠因になるという。そのあたり心当たりナシとしない(苦笑)。そういえば、これまでにも階段下りてるときなんかに一瞬痛みが走るようなこともあったような気がするンだが、そういう時はいつのまにか元に戻ってしまったのでさほど気に掛けることもなかったのだ。南無三。

され、それではオレはこれからどうすれば良いのかというと、軟骨組織は基本再生されないので周囲の筋肉を増強して可動部を保護するぐらいしかとりあえず手はないという。ジョギングも気分転換できて大変爽快であったが「走るのはあまり良くないヨ」と医者も言うし、これも当面休止せざるを得ないだろう・・・。とりあえず痛み止めの飲み薬と貼り薬をもらってきたのであるが、なんだか改めて
老化
という事実を突きつけられたようで肩ガックリである。

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ということで違和感が消え、かつ腿周りの筋力増強が進んできたら(最低1か月ぐらいと勝手に踏んでいるンだが)またジョギング再開したいのだがどうなるか。そういやオレはかつてお遍路にいったことがあって十七番井戸寺まで打ったのであるが、引退したら最後まで歩き通そうという小さな夢があったのだった。これもちょっと暗雲漂ってしまって「ダメかもしらん」と思うと些か悲しい。

ちなみに、この病気についてしばしググって情報収集したところでは、軟骨組織を再生する療法は現在鋭意研究中だとかいう話で、自由診療では一部実用化されてたりするようなんだが、そんなものに100マンとか払える金持ちではない。その手の再生医療が保険適用される日が来ればイイとはおもうがそれはいつになるか。意外と何十年先になるかもしらんのでその頃にはオレも死んでいる可能性があるのだった。しょうがない当面は大腿四頭筋の強化一択。


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