2025年06月

さて、わが国で発生したUFO事件として業界筋ではそこそこ有名なものの一つに「旅館紫雲事件」というのがある(実際はそんな呼称が広く用いられているワケではないが、ここでは便宜上そういう呼び方をさせていただく)。

この事件についてはむかし当ブログのエントリーに書いたことがあるので関心のある方はそちらをご覧いただきたいのだが、簡単にいうと1970年代半ば、京都・大原の旅館「紫雲」を舞台に、そこの女主人である河上むつさんが「エイリアン」や「MIB」とおぼしきアヤシイ連中と再三遭遇し、あるいは怪光線を浴びせられるなどたびたび奇っ怪な体験をしたとされる事件である。

ちなみにこの河上むつさんは仮にご存命であったとしても今はたぶん100歳ぐらいになってるハズで、そういう意味ではもはや新情報もクソもないとは分かっているのだが、今回何となくGoogle検索に「河上むつ」と打ち込んでみたところ、ちょっと奇妙なPDF文書がヒットしてきたのだった。
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その文書はココに添付しておくのでご覧いただきたいのだが、要するにコレは、京都市長が旅館業法にもとづいて関係する法人・個人に「不利益処分」を下すことになったので、「何か文句があるなら聴聞に出てきて下さいネ」ということで公示した文書のようである。日付けは令和6年とあるから昨年2024年の1月4日で、比較的最近のモノなのだが、ここに「不利益処分」を受けることになる人物として「河上むつ」という名前が出てきているのである。むろん同名異人という可能性もあるが、不利益を受ける対象者として併記されている法人をみても「紫雲」近辺の地名「古知谷」を社名とした会社があったりするから、この河上さんはくだんの河上さんであると考えてよさそうだ。

ではこの文書は一体何を意味しているのか。オレも法律方面は素人なので憶測まじりで言うのだが、この聴聞を所管しているのは「京都市保健福祉局医療衛生推進室医療衛生センター宿泊施設適正化担当」という異常に長ったらしい名前の部署のようであるから、ここでいう「不利益処分」というのはおそらく旅館業の許可取り消しみたいなものなのだろう。

ここから想像されるのは、かつて存在していた旅館「紫雲」はどういう経緯かは知らんが河上さんを含む複数の法人・個人が営業権を分掌(?)するかたちとなっていたのだが、実際には旅館の営業どころか廃業して久しいことが判明したので、「じゃあ許可は取り消させていただきますネ」と行政サイドからこの時点で引導を渡された――というストーリーである。

「それがどうした」という話ではある。あるけれども、既に実体を失っていたとはいえ、この時点まで少なくとも書類上ではその存在が認められていた旅館「紫雲」は、おそらくこの処分によって名実ともに消滅してしまった。ちなみに旧「紫雲」があった場所のストリートビューをみると直近では2023年5月時点の画像があり、ここにはかろうじて形態を保っている家屋の姿を見ることができるものの、それも今では半ば廃屋化しつつあるようだ。かろうじて残っている物理的な痕跡すらも今後遠からず消滅してしまうのだろう(というか既に現時点で消えているかもしれない)。

歳月人を待たず。最近では米国発のUAP騒動がそれなりの注目を集めているとはいうものの、国内に目を転じれば1970年代に盛り上がったUFOブームも今は昔。こうやって「紫雲事件」も歴史の闇に呑み込まれていく。半世紀前のUFO熱を知る身としては寂寥の思いを禁じ得ないのである。

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米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月上旬、「米当局はこれまでUFOのニセ情報拡散工作を続けてきた!」と報じた先の記事は大きな反響を呼んだところであるが、その続編ともいうべき記事がこのほど公開された(このエントリー参照のこと)。

米東部時間6月21日付の記事のタイトルは「Was It Scrap Metal or an Alien Spacecraft?  The Army Asked an Elite Defense Lab to Investigate」。直訳すると「それは金属クズなのか、それともエイリアンの宇宙船だったのか?――軍は一流防衛研究所に調査を依頼した」といったところだろう。

ここで改めて今にいたる経緯を復習しておくと、近年の米国では「米政府はひそかに墜落したUAPを捕獲してリバース・エンジニアリングをしている」といった主張が一部「ホイッスルブロワー」と称する人々によって盛んになされているワケであるが、米政府のUAP調査機関AARO(全領域異常解決局)は「ホンマにそんなことあるんかい?」ということで、これまで事実解明に向けた調査を続けてきた。

その結果、AAROとしては昨年の時点で「とりあえずそんな事実はなかったわ」という結論を出しているのであるが、「詳しい話はまた後日別の報告書で出しますんで」という話になっている。このたびの一連のWSJの記事というのは、言ってみればその調査の内実をいちはやく報じたものであって、要するに「UAP/UFO シーンの背後にはこんなアヤシイ動きがあるんやで」ということを暴露しているのである。

そこで先の第一弾に続いて今回の第二弾が光を当てているのは、この手の「エイリアンの宇宙船捕獲セリ!」みたいな言説を吹聴している人々の存在である。だがよくよく読めば、この記事の射程は「なんなんだコイツらは?」みたいなところにはとどまらず、むしろその向こう側に見え隠れする、彼らを巧妙にコントロールしようとしている「何者か」のところににまで及んでいる気がしないでもない・・・・・・あ、いや、しかし今ここであまり先走ったことを言ってもよく分からんだろうな。よろしい、ではまずは順を追ってこの記事の内容を追っていくことにしよう。

この記事の導入部では、まず「墜落した円盤の破片」をめぐる一つのエピソードが紹介されている。それによると1966年、ラジオ番組「コースト・トゥ・コーストAM」で名高いパーソナリティ、アート・ベルのもとに「ロズウェル事件で墜落した円盤の破片だ」という金属片が送られてきた。いろいろと紆余曲折を経たようではあるが、その金属片は2019年になって、アーチスト上がりのトム・デロングが設立したUFO ビリーバーの団体「トゥー・ザ・スターズ・アカデミー」に買い取られる。

案の定、ここで検査された金属片は「なんとコレ地球上のものではなかったよ!!」という話になってしまうワケだが(笑)、そう語ったのはこの団体の顧問である地球物理学者エリック・デイビスである。 彼はテレポーテーションやら反重力装置の研究などに長年取り組み、アメリカのUFOシーンでも一目置かれている人物だ*。そしてこの「トゥー・ザ・スターズ」には、AAROに先立つ政府のUAP調査プログラムに参画していた元国防総省のルイス・エリゾンド、高名な超心理学者ハロルド・パソフもメンバーとして連なっていた。要するに「トゥー・ザ・スターズ」にはUAP政府秘匿説を牽引する大物3氏が揃っていた。では彼らに対してAAROはどのような調査を行ったのか。導入部につなげるようにして、記事はここから本題へと入っていく。

    *注:この記事では論及されていないけれども、エリック・デイビスというのはUFO業界を騒がせた「ウィルソン―デイビスメモ」の当事者としてもとっても有名である。「なにそのウィルソン―デイビスメモって?」という人もいるかもしらんので簡単に説明しておくが、これはUFO大好きで知られた宇宙飛行士エドガー・ミッシェルが2016年に死んだ後、その遺品から発見された文書で、エリック・デイビスが米国防情報局長官も務めたトーマス・ウィルソン元海軍中将と2002年に面談した時の記録とされている。オレは伝聞でしか中味を知らないが、ここでウィルソンは「墜落したUFOを民間企業がイロイロ調査してるプロジェクトがあるってんでオレも調べてみたんだけど、結局『アンタには教えられません』ゆうて拒否されちまってさあ」と語っているのだそうだ。なお、当然ながらトーマス・ウィルソンはメモは作りものだと言って完全否定しており、デイビスのほうは基本ノーコメントだが何となく肯定してるニュアンスのことも言ってるらしい。関心のある方は各自調べられたし。


さて、まずはエリック・デイビスである。AAROが調査を進めていく中で、「米政府が宇宙船をひそかに調べている」という話の源泉の一つはどうやらこのエリック・デイビスだということになったらしい。そこで当時のAARO局長ショーン・カークパトリックは「ホントのとこはどうなの?」と話を聞いてみたのだという。するとデイビス、イロイロと面白い事を言ったそうだ。

曰く――「エイリアン関連のプログラムはアメリカだけじゃなくてロシアもやってるよ。オレ、ロシアに墜落したUFOについてCIAから調査頼まれたことあるし。ロシアはUFOからぶっこ抜いたレーザーシステムのリバースエンジニアリングやってるんだってサ(かなり意訳)」

CIAは「イヤ彼にはそんなこと頼んでない」といって否定したそうだが、まぁそれはイイ。連中がいつも本当のことを言うとは限らないのは当然である。それはそれとして、こうしたAAROの調査では興味深いことが一つ分かったという。このプロセスでデイビスが入手していたデータに当たってみると、それはロシアが実際に開発しているレーザープログラムに関するホンモノの資料だったという。要するに、アメリカでもロシアでも墜落UFOが研究対象になっているという話に証拠はないんだけれども、「UFOから引っこ抜いた」とされる新たなレーザーシステム自体は確かに実在していた。ということは、「ロシアにUFOが墜ちた」という部分は本当の話に接ぎ木されたウソになる。これは実際に進めているプログラムの目くらましとしてアメリカ向けにロシア自身がばらまいたニセ情報だったのでは――AAROはそんな判断をしているのだという。記事にも書いてあるが、「リアルな兵器をUFOだといって隠蔽する」手口をアメリカばかりかロシアもやってたのだとしたら何とも面白い。

記事では次いでハロルド・パソフをめぐるエピソードを記す。2004年、パソフはバージニア州で開かれたホワイトハウス企画のパネルに招かれたことがあるという。テーマは「政府の墜落宇宙船回収プログラムの存在は最終的に公表すべきか?」。要するに、これまで政府が秘匿していた情報を明かした時、どんな事態が生じるかを考えて対応策を練ってほしいというものだった。コレが本当の話だったら、ホイッスルブロワーたちの証言にも若干の信憑性が出てくる。そこで調査に入ったカークパトリックだが、当時のブッシュ大統領首席補佐官に問い合わせたところ「宇宙人の秘密を暴露する計画など一切知らない」という返答があったのだという(あとでまた触れたいが、評者のみるところこの話には巧妙にパソフをコントロールしようという何者かの意思が見て取れる)。

最後にルー・エリゾンドである。彼は政府内でのUAP調査のプロセスで、人間ならざる知性体は来訪していると主張する人物だ。カークパトリックとしても当然その話を聴取することになる。だが、自ら確たる証拠を示すことは守秘義務の問題もあってできないと彼はいう。次善の策としてエリゾンドはこう語る。「国防総省のオフィスの金庫にハードディスクが保管されている。そこに全てのファイルはある。数日前に元同僚に確認済みだ」。だが、ブツを押さえるべく数時間後にFBIがオフィスを急襲したところ、肝心の金庫は空だった。付言すれば、AAROはエリゾンドのかつての上司に「エイリアンに関するプロジェクト」について聞いたりもしたが、「聞いたことがない」と一蹴されたという。要するに全くウラは取れなかったというのである。

さて、ここでいったん冒頭に出てきたナゾの金属片についていえば、AAROがその後、この金属を入手してオークリッジ国立研究所で検査にかけたところ、最終的にコレは何の変哲もない合金であることが判明したという。「コレは地球のものではない」みたいな主張もあったけれども公的機関がちゃんと調べたらそんなことはなかった。大逆転を可能にする「物証」は存在していなかった。

そして、デイビス、パソフ、エリゾンドに当たっても、やはり彼らから確たる証拠を得ることはできなかった。だがこの記事を読む限りでは、彼らが「自分でわかっていて虚偽を申し立てている」という印象は乏しい。記者の含意はおそらく「彼らの主張は限りなくあやしいが、実は彼らもまた何者かに騙され巧妙にコントロールされている」というものではないのだろうか。個人的にはずっと、この手の人士は「仕掛ける側」――ヴァレ言うところの「欺瞞の使者」だろうという気がしていたので、そのへんのニュアンスにはなかなかに考えさせられた。

とまれ、「実在するUFOを隠す」というのではなく「UFOがあるように見せかける」陰謀というのは一体どこまで広がりを見せていたのだろう。今後のAAROの報告、あるいは現地のジャーナリストの仕事でもいいのだが、さらにその辺の実態が分かってくればなかなか面白いことになりそうだ。続報を待ちたい。(おわり)



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有名店の出店らしく、なかなかの美味。しかし「特選」かつ「大盛」を頼んだ結果、お値段はナントナント1683円! ナントの勅令!

ひところ「ラーメン千円の壁」ということが言われて「ラーメン一杯が大台越えるのは如何なものか?」という世論が盛り上がっていたのだが、近年の物価高騰によって有名店のラーメンは1500円の壁をもラクラクと乗り越えてしまった。

オレの昭和感覚でいうと1500円というのは長らく「とんかつ定食ライン」と認識されていたのだが、長年の盟友であったラーメンもオレを裏切っていつのまにか向こう側の住人である。ちなみにオレの中で2000円超はウナギゾーンであったのだが、この分ではラーメンが越境していくのも時間の問題であろう。恨めしや狂乱物価!


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 「米国防総省が秘密裏にUFO/UAPの調査を行っていた」という2017年のニューヨークタイムズのスクープをきっかけに、UAP問題が近年改めて注目されているのはUFOファンならご承知のところであろう。

 紆余曲折あった末、米政府は2022年に改めて調査機関AARO(全領域異常対策室)を立ち上げているが、一方では「政府は墜落したUAPを回収してリバースエンジニアリングを行っている」といった主張も世間の耳目を集めている。この種の主張は、政府内でUAP問題に携わってきたという人々が「ホイッスルブロワー」として米議会公聴会などで証言しており、これを受けて一部議員が「政府は情報公開せよ!」と騒ぎ出すなど、事態は風雲急を告げているようでもある。

 だが、本当に「米政府は墜落したUAPを捕獲している」などという事実はあるのだろうか。

 この点については、UFO業界でも長く語られてきた一つの仮説がある。墜落エンバンが存在するという話はしばしば内部事情を知ると称する者たちによってリークされてきたのだが、それを支持する物的証拠はこれまで一切表に出ていない。これは即ち「UFOは墜落していないけれども、ニセの情報を意図的に流してきた者たちがいる」という事を強く示唆しているのだが、その黒幕というのは実は米政府なのだ――という仮説である。

 まぁ要するに一種の陰謀論である。ただ、「米政府は墜落エンバンを密かに保有している」といったショッキングな陰謀論と比較すると、こっちは「墜落エンバンなんてありません」というのが前提の議論なので、いささか「格落ち」というか、かなりマイルドな陰謀論で、そういう意味ではより蓋然性は高い(と思う)。実際、1980年代には米空軍の諜報員リック・ドーティーなる人物が「UFOは地球に飛来している宇宙船である」といったおはなしを複数のUFO研究者に吹き込み、業界を攪乱させたという故事もある。

 このドーティーは今も健在で、「いやマヂで宇宙人は来てたよ。詳しいことは機密事項なので言えんけど」みたいなことを吹いており、まさに怪人というにふさわしい人物なのだが、彼が関わった事例を具体的に挙げると「ポール・ベネウィッツ事件」というのがある。どういう話かというと、ニューメキシコ州のカートランド空軍基地の近くに住んでいたポール・ベネウィッツという科学者&事業家がUFOを目撃し、空軍に連絡をする。これを受けたドーティーは彼に接触したのだが、そこで何をしたかというと「そう、あんたの目撃したのは間違いなくUFOですぜ」と煽るような情報を次々に与えた(ちなみにドーティーは、この件についてはニセ情報を伝えたことを認めている)。これを真に受けたベネウィッツは「宇宙人は地下基地まで作っている! 嗚呼宇宙人の脅威だ大変だ!」ということで精神が錯乱していき、最後は死んでしまったのである。

 では何でそんなことになってしまったのかであるが、当時空軍基地では秘密のプロジェクトが行われており、ベネウィッツが電波の傍受とかイロイロ始めたンで、当局が「あんたの見てるのはUFOですぜ」とミスリードすることで真相がバレるのを防いだのではないか・・・というのが定説であるらしい(ちなみにこの事案には空軍のほかNSAとかモロモロ絡んでたとも言われる)。

 そうすると、自分のトコの兵器開発を隠すために「何かよく分からないものが飛んでいるのはアレはUFOなのです」とニセ情報を流すのは米当局の常套手段ではなかったのか、という疑念が生じる。陰謀論といやぁ陰謀論なのだが、実例もあるだけに一定の説得力はある。
 

さて、前振りがずいぶん長くなってしまったが、そういうトコロに今回注目すべき情報が流れてきた。米国の一流メディアとして知られる「ウォール・ストリート・ジャーナル」が6月6日、この問題に関するスクープを放った。タイトルは「アメリカのUFO神話を煽ったペンタゴンのニセ情報」。

 どういう内容かというと、先述のAAROは、UAPの目撃事例の調査に加えて、これまでの米政府のUFO問題に対する取り組みをリサーチして「エイリアンのエンバン捕獲」といった主張の真偽も調べてきたのであるが、そのプロセスで、ペンタゴンがこれまで意図的にUFOにまつわるニセ情報を流布してきた事実が判明したというのである。

 記事中、具体的な事例としては、とある空軍大佐が1980年代、「エリア51」で開発されていたステルス戦闘機の存在を隠すため、地域住民に「米軍はここで回収したエンバンの研究をしている」といった話をバラまいた話が出てくる。

 あるいは、空軍のとある極秘プロジェクトに参画する将兵たちはエイリアンの乗り物の実在を示唆する資料を渡され、「口外するな」と命じられるようなことが恒常的に行われていた――といった話も出てくる(ちなみに彼らが参加したプログラムは「ヤンキー・ブルー」というコードネームで、そうした乗り物のリバースエンジニアリングに関わるものだと説明されたという)。これなどは大衆のみならず軍内部の多くの人間もまんまと騙されていたということだろう。

 加えて記事の後段では、核ミサイルサイロにまつわる話も出てくる。1967年、モンタナ州のとある軍施設の上空に楕円形に見える物体が現れたが、その直後に10発のミサイル発射システムがダウンした(記事中に明記されてはいないが所謂「マルムストロム事件」のことであろう)。つまり「UFOによって核施設が無力化された」事例ということになるワケだが、記事によれば、AAROの調査でこれは人為的に引き起こされた事件だったことが判明したのだという。つまり米軍は電磁波パルスで核兵器を無化するシステムを開発しており、現場の兵士には何も知らせることもなく、その実験が行われたというのがその「種明かし」である。

 むろんコレは報告書というようなものではないので、この記事だけでは個々の事例の詳細がよくわからず、隔靴掻痒の感は否めない。それでも天下のWSJだけに、そんなに飛ばして書いているということはないだろう。その上で「証拠を捏造した」とまで断言しているのは相当に重い。巷間ささやかれていた「米政府は秘密兵器の隠れミノにUFOの噂を利用すべく、根も葉もないニセ情報を自らバラまいてきた」説も相当に信憑性があるように思えてくるのである。今回の報道は、或る意味でエポック・メイキング的な意味を持っているのではないかと思う。

 そこで気になるのは、この「陰謀」がどれほどのレベル・深度で展開されてきたかということだ。

 ちなみにAAROは2024年2月に「Report on the Historical Record of U.S. Government Involvement with Unidentified Anomalous Phenomena (UAP) Volume I」という報告書を出しており、先述したように米当局のこれまでのUAP問題への関わり方を総括しているのだが、その際には様々なハレーションを恐れてか、こういう欺瞞工作のくだりは省かれてしまったようだ。ただし記事中には、今後公開を予定している報告書の続編では、いかほどかその内容が公開されるかもしれないというようなことも書いてある。

 もう一つ言うと、この記事自体にも続きがあるようで、そこでは「墜落した宇宙船の金属片」をめぐるストーリー(?)が紹介されるようなことが末尾で予告されている。面白そうじゃないか。期待して続編を待ちたい。(その2へつづく


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