小学生の子供がいるので、都内屈指の放射能汚染地帯(笑)である江戸川区に住む身としては、ややナーバスになっているのだが、これまで江戸川区は独自の放射線量調査をやろうとしてこなかった。で、都が今度、都内全域で改めて調査態勢をととのえようという話になったようで、ようやく区内での調査が実現するのかなーと思って見ているところである。

さて、この間、調査を渋っていた江戸川区に電トツした人がいるようで、その記録を見たりするわけだが、これはひどい。担当職員の対応が不誠実である。

数キロ、いや数百メートル離れれば線量が大きく変わりうるというのは今回の事故から明らかなのに、江戸川区民も東京都健康安全研究センター(新宿)のデータに準拠して考えてほしい、というようなことを言っている。遠すぎるだろ。加えていえば、そもそもこの新宿での観測、本来は他国の核実験の影響を知るため空中を飛来する放射性物質を検知するためのもの、だから地上18メートルの高さにある。たしかに福島からの新たな飛来があったらそれを検知するような役目は果たせるだろうが、地上付近における人体への影響を測るためにはあまり意味がない。

「年間1ミリ以下で癌の発生率も心配ない」とかいってるが、これも不正確。仮に年間1ミリであれば「まぁほぼ問題ないはず。でも本当はわからないけど」ぐらいの話だろう。だいたい子供は大人より放射線にたいする感受性が何倍か強い、みたいな説があるので、子供も「年間1ミリシーベルトなら大丈夫」といえるのかどうかも、素人たる俺がここまで見てきた範囲ではよくわからん。そして本当に被曝量が年間1ミリで収まるかどうかについても、共産党の出した約0.2マイクロシーベルト/hみたいな数字がホントだとすれば、まぁ「一日のうち室内で16時間」みたいな計算を施した上でもすでに年間で1ミリシーベルト近い人工放射線の被曝をすることになるのだし、ましてや、これにくわえて内部被曝もある、ということであれば、最終的に江戸川区あたりの子供は年間数ミリシーベルトを浴びることにもなりかねない、果たして大丈夫か、やっぱりここは「キチンとした数字じゃないと混乱する」などと逃げ口上を打つんでなく、大体の目安でいいから測ってくれよ、という話なのである。

そもそも今回は、ラドンなどと違って体内濃縮の恐れがある人工核種がその辺にまき散らされているから、単に外部被曝線量が高くなる、というにとどまらず、キケンな内部被曝をする危険が増えているということでわれわれも警戒してるのではないか。いつもより被曝量が多めになるにしても温泉地でラドンを浴びるぐらいのもんだから、とでもいいたげな対応はちょっと、いや根本的に違うのではないか。最終的には「どこまでが安全か/安全でないかわからない」中で、一人一人がどこかに「ここまで」というラインを引いてその事態を引き受けるしかないというのが俺の持論ではある。あるが、そのベースになるデータはちゃんと示してもらわんと話にならんのである。

ということで、文系のニワカ勉強でもツッコミどころが見つかるような対応ではいけません。こうした懸念が杞憂に終わるのであれば幸いではあるけれども、住民の気持ちには最大限寄り添ってほしいもの。江戸川区ももっと真っ当な対応をしていただきたい。