のれんに腕押し、蟷螂の斧、結局届かぬ言葉であるとは思いつつ、江戸川区長の多田正見という人に何としても言っておきたくなった。

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さてこの多田氏、これまで子育て世代にやさしい江戸川区、みたいなことを言ってきたのだが、いったいあれは何だったのだろう? 単に住民税ほしさにぶち上げたセールストークだったのか? 聞けば区議会の主要会派はそろって「区も調査を」と申し入れているそうではないか(江戸川区議・滝沢泰子氏Twitter6/17より)。なぜ区民の声を無視するのか? このままであれば、「多田正見」の名は「傲慢さゆえに区民に塗炭の苦しみを与えた愚蒙の人」として後世に語り継がれるやもしれぬ。その辺も覚悟の上での決断をされておるのか?


それから、このクリティカルな局面だから、区民のいのちを預かっている公人ということで、区の担当職員の方にもモノ申したい。

健康部長の渡辺浩という方は、区議会での委員会答弁記録などみると

 経営企画部参事→経営企画部財政課長→福祉部長(H17)→健康部長(H22)

というキャリアを積んできた方らしく、まぁ福祉・健康問題についてもまんざら素人ではないと思われる。

また、保健予防課長の大地まさ代という方は公衆衛生の専門職らしく、板橋区立板橋健康福祉センター、中央区保健所健康推進課長などを経て2009年から江戸川区保健予防課長に転じたようだ。学術論文などもお書きになっている。

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【大地氏は左端の人物。中央区保健所勤務時代の会見より。出所はこのページ

ということであれば、お二人ともそこそこ今回の原発事故についてご自分のお考えはお持ちなのであろう。そして、区がいまだ独自の放射線量調査に踏み切らないということでいえば、おそらくは江戸川区内の状況についても「さほど心配する必要はない」とお考えなのであろう。

なるほど、確かに「年間100mSv以下の被曝で人体に影響があるという確実な証拠はない」といわれれば、それを否定することはできない。であるから、仮に「現下の江戸川区内の状況はまったく問題がない」という信念を個人的におもちであったとしても、それはそれでこちらが咎め立てできることではない。

だが少なくともオカミはこれまで、普通の市民は年間1mSvを超す人工放射線の被曝は避けなければならない、とりあえずその辺がかなり確実な安全ラインと考えられるので、という意味のことを言ってきたのだった。ならば、この江戸川区で「1mSv超え」が予想されるのであれば対策を取らねばならない。それは自明ではないのか? これまでなぜか区が等閑視してきた内部被曝をも勘案するならば、「1mSv超え」が懸念される地域がかなり広範囲に広がっているであろうことは明白である。

ましてやオトナより(おそらく)何倍も放射線に対する感受性が強いといわれる子供のことを考えれば、ここで「1mSvプラスアルファ=問題なし」みたいな「個人的信念」を持ち出されても大変なメイワクなのである。そんなものは捨てなさい。結果的に「大したことない」で終わる可能性はもちろんあるのだが、だからといってそれは「手抜き」をしていい理由にはならない。

行政の人間としては「1mSv超え」が事実かどうか確認し、事実であれば何とか減らす対策を取る。そういう行動が取れないのなら、役人として失格である。即刻退職してくれ。

 【注記】なお、渡辺浩氏、大地まさ代氏についての記述はネットでの検索に拠った。万一同姓同名の方がいて、その方と混同している記述があったとしたらご容赦を願いたい