こないだの大地震に関しては、よく考えるとわかんないことがある。

たとえばである。これまで教わってきたプレートテクトニクス理論によると、あのあたりじゃ海側のプレートと陸側のプレートがゴリゴリぶつかっておって、もぐり込んでいる海側のプレートのつっかえが外れて陸側のプレートがガクンと飛び上がると、大地震が起きるというのだった。

ん? だが、地震のあと陸地側は沈降しているというではないか。先の理屈によるならば、陸地側は隆起しないと変ではないか。なんか新聞にその辺が説明してあったような気もするが、納得できた記憶はない。

で、なんか釈然としないのだが、こんな本を見つけた。角田史雄「首都圏大震災 その予測と減災」(講談社プラスアルファ新書)。読んでみると、なんとプレートテクトニクス理論とは全然違うことが書いてある。

この学者は「熱移送説」というのを唱えている。正確さを欠くかもしらんが俺の受け取ったイメージでいうと、地球の内部のマントルには局所的にすこぶる熱くなってるところがあって、そこでドロンドロンに溶けたマグマは、ある一定の通り道をたどって地殻の下を移動していくのである。それが地殻のほうにやってくると火山を爆発させたり、岩盤を破壊して地震を起こしたりする。なんか熱の塊が時折噴出して、ところどころ地震を起こしながら移動していく、というイメージであるな。

で、著者の説明によると(残念ながら文章はあまりうまくないんだが)確かに噴火やら地震やらが一定の順序で移動していってるようにもみえる。

ちなみに今度の大震災も、名古屋大学の研究者によると地震が起きたのは実はふたつのプレートの「境界面」じゃなくて、北米プレートの「内側」だった、という話もあるらしい。じゃ、プレートテクトニクスって何だったの? あれ、ほぼ定説じゃなかったんかい?

うーむ、地震研究ってのは実はまだまだ揺籃期にあるみたいだ。この角田先生の本もまだ読みかけだし、熱移送説にもたぶん弱点とかあるんだろうが、ともかくこういう議論が何かブレークスルーをもたらしてくれればいいなぁと切に願う。この理論が正しければ、時間的・空間的に一定の順序を踏みながら地震・噴火のポイントは移行していくわけで、つまりはピンポイントとはいわずともある程度の「予測」が可能になるのだし。

【追記】
なお、最後まで読んでみたんだが、けっこう文章読みづらいなー。編集者さんちゃんとしないと。で、あんまりテクニカルな方向に深入りしないで、地震対策とか関東の地盤のありようの解説とかがけっこう書いてある。一般向けの理論解説みたいなものは、以前出した本のほうに書いてあるのかな。


首都圏大震災 その予測と減災 (講談社プラスアルファ新書)

首都圏大震災 その予測と減災 (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 角田 史雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/07/21
  • メディア: 新書