朝日新聞といえば夏の高校野球。というわけで、あの手この手の宣伝をするのは仕方がないともいえるんだが、毎年毎年、いかにもわざとらしい宣伝を読まされる者の身にもなってほしいものである。

本日の「天声人語」も、またまた高校野球讃歌である。

例によって震災を乗り越えて出場する東北のチームに「心ゆくまで聖地を楽しんでほしい。その姿に、被災者も、我々にわか応援団も元気をもらう」とか、甘ったるいエールを送っている。でもさぁ、こういう「純粋な高校野球の世界」というストーリーを聞くたびにムカムカしてくるのである。「野球留学」の問題があるから。

たとえばこのコラムにも出てくる福島代表の聖光学院だって、俺の聞いてる範囲じゃ野球留学でけっこう生徒受け入れてんだよね。ベンチ入りの半分は外人部隊らしい。で、ちなみにこのコラムによると聖光学園、県内61連勝中だって。そりゃ強いよね。でもこれのどこが「福島代表」なんだろね?

いや、野球留学悪いとはいわんよ。でも野球留学って結局、野球の弱い県に留学すれば「甲子園への近道」だよなーっていう打算的なガキ(ないしその親)と、「甲子園に出りゃ宣伝効果で少子化時代の生徒集めもバンバンザイ」っていう地方私立高の思惑があいまっての、いってみりゃ「ビジネス」だろ?

そりゃ、たまたま福島にやってきた外人部隊のガキどもにしたって、実際に震災に遭ってんだから、大変だったろうなぁご苦労さん、とは思うぜ。でもなー、何か高校野球がいかにも欲得ヌキのピュアな世界である、みたいなのは明らかなフィクションなんだからさ、もうそういうカマトトやめてくれよ。世の中の苦い真実みたいなのものを直視しないから、アンタの「天声人語」は嘘くさいんだよ。偽善的なんだよ。

もちろん、外人部隊のガキの皆さんが「じゃあこれも何かの縁だ。高校出ても俺は一生福島に住んで復興に頑張るぞ!」と言い出したら、そりゃまぁ俺も「走れメロス」に出てくる暴君ディオニス王よろしく改心して、「あぁ人間って本当はすばらしい」とかいって真人間に戻りますんで、そんときはよろしく(笑)。