「光よりも速いニュートリノ観測」というニュースが流れて、けっこう話題になっているようである。

どうも専門家スジでは「データ間違ってね?」的発言も目立つようなのであるが、しかし文系中年男としては新聞など読んでもなかなか意味がわからん。

なんか「こ、これは大変だ!」とかいって登場人物が騒いでいるにもかかわらず、何が大変なのか全然わからないというシチュエーションが続くタルコフスキーの傑作「ストーカー」、あるいはなぜか英語でみんなが話しているところに紛れ込んでしまったが何を言ってるのか三分の一もわからず困っている状態、に近いぞこれは。

で、たまたまツイッターなどに誘導されて、「山本弘のSF秘密基地BLOG」の関連エントリー「光より速いニュートリノ」をめぐる誤解をのぞいてみるのだったが、流石ツッコミ力にたけた山本弘である。「なにこれ?」的疑問にこたえる内容でこそなかったが、トンチンカンな新聞記事書いてんじゃねーよと吠えている。アインシュタインの特殊相対性理論と矛盾するデータだ、みたいなことを書いた読売をなで切りし、返す刀で「タイムマシンが可能になるかも」などと書く産経を一蹴しているのだった。

何がいいたいかというとだな、どうも新聞の科学記者ってのはここんとこ株下げちまったなー、と思うわけである。ここんとこ、一連の放射能の問題でもどーだろうと思うことが多々あったわけだが、山本氏を信用するかぎり、今回もけっこう怪しい記事を書きとばしちまった疑いがある。

じつのところ、この手の最先端の物理学の話を数式ナシでわかりやすく書くためには、実はとてつもないタレント(卓抜なる理系のセンスとすぐれた表現力を併せ持っていないといけない!)が必要なのだと思う。であれば、新聞社の科学部あたり、それこそ「理系の博士号もってるのはアタリマエ」みたいなところからセレクションをしてほしいのだが、必ずしもそうはなってないらしい。

アカデミズムのほうでも、科学の成果を一般社会にわかりやすく伝えるコミュニケーターの必要性などが唱えられているようではあるんだが、マスコミも含めて、いまの日本ではそのあたりの科学リテラシーを育む仕組みがどうも弱いような気がする。まぁ俺自身はもうニュートリノを理解するのは諦めるとして、次代の人間のためには是非!