フィリピン・ミンダナオ島の旧日本兵騒動、どうも大山鳴動してネズミ一匹、的な結末がみえてきました。
よく考えてみると変な話ではあるんですよね。
「80歳過ぎの爺さんがフィリピンの山ン中に暮らしてる」というハナシなのですから、ふつうに考えればこの爺さんたち、ある種の「社会」に庇護されて生きてることは明白なンです(かつてグアム島から出てきた横井庄一さんだって、まだ50代だったからひとりぼっちでも何とか生き延びていたわけですからね)。
となると、彼らはそれなりに落ち着いた社会基盤のうえに毎日を送っていたことになるわけで、いまさら「元日本兵」って出てきたとしても、実のところ自分のアイデンティティは「日本人」なのかどうか、けっこう微妙なところにいるんじゃないか。それに、たぶん家族もいるんでしょう、それまでの60年を振り捨てるわけにはいかんのではないか(もちろん「一時里帰り」みたいな発想はあっても当然でしょうが)。
「元日本兵が戦地に居残ってそこに住み着いてしまう」っていうハナシじたいは、そう珍しいわけじゃない。今回もおそらくその手の人がいて、「ちょっと日本に帰ってみてーな」と漏らしたのかどーか、ともかく彼らと日本政府との間にたってちょっとリベートでも稼ごうか、みたいな人が間に出てきて仕組んだ一幕モノだったのではないか。
それからマスコミの対応も「ちょっとなあ…」って思うとこがありますね。「戦後60年」的な切り口のハナシに飢えてるところにもってきて、「元日本兵出現」ときたわけだから、たぶん横井庄一さん、小野田寛夫さんのイメージにひきずられて、意味もなくバカ騒ぎしてしまった、と。で、いま収まりがつかなくて困ってる(笑)。
遅れてやってきた日本兵。なんか悲しいなぁ。
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