記憶の片隅に残っていた人の名前をふと思い出し、「そういえば○○って人、いたなぁ」と懐かしくなる。そんなことってないだろうか。

昔だったら、そんなおぼろげな記憶はおぼろげな記憶のまま放っておくしかなかった。だけど今はちょっと違うんだな、これが。そう、インターネットがあるから。

多少なりとも話題になったことがある人なら、ちょいとググってみればいろいろなお話が出てくる。たとえばアタシの故郷の田舎町の出身でプロ野球に入った人がいる。その名を森山正義という。大学野球のリーグ戦で、かの田淵幸一の通算ホームラン記録を破ったということで、当時はけっこう話題になった人物である。むろん国民の99・5%ぐらいは全く記憶にないだろうが、

あいにくプロでは短命に終わった彼。名前もかろうじて記憶していただけの彼。でも今度、たまたま何気なしにググってみて「なるほどな~」と思った。森山選手、今は伊勢屋という有名な団子屋のご主人におさまっているのだそうだ。「あぁ、あの人もあのあと苦労したんだね」とか「当時はこんなこと考えてたんだな」とかね。何となく「人生」を感じちゃったりする。


それだけじゃない。こういうことしてると、「当時の自分」の記憶までよみがえってきたりする。記憶補助装置でもあるんだ、インターネットって。

そーいえば、彼がプロに入るときに「週刊ベースボール」か何かで記事を読んだんだっけ。「こんなド田舎からプロ選手が!」と、子どもだったアタシはちょっと誇らしいような気恥ずかしいような、複雑な気持ちだった。そして、「オレだって、頑張ればヒトカドの人物になれる!」と北アルプスの山々に向かって叫んだのだった(ここはチト作ってマス。結局、ヒトカドの人物にもなれなかったしw)。


だからどうだ、って話じゃない。けれどよく「すべての人の記憶から消えたときに人は本当に死ぬ」っていうじゃないですか(言わないかw)。ネットを通じて「ああだったなー、こうだったなー」って、いろんな人たちにかかわる記憶が日々更新されていく。ネットって、けっこう素晴らしいツールじゃないかなと思うんだ。