いわゆる「新そば」というのはフツー秋に収穫されたそばを供するものであるが、たまたま立ち寄ったこの信州のそば屋では今夏に収穫されたばかりのものを「新夏そば」と称して出しておった。淡白な味わいではあるが美味。
ここでオレは考えてしまったのであるが、たとえば東京あたりでそこそこ名の知れたそば屋というのは例外なくペダンティックで気取っており、かつバカ高いのが常である。しかし、この店は市井の人々の生活に徹底して寄り添った感じで、たとえば信州B級グルメの「山賊揚げ」なんてものも平気で出しているし、平日ランチタイムには珈琲サービスなどもしている。にもかかわらずこのそばのクオリティというのは一体どういうことか。
かくてオレは「食文化の本当の豊かさとはいったい何だろう?」といったことをシミジミと考えてしまうのであった。