高名なUFO研究家、ジャック・ヴァレが、ジャーナリストのパオラ・ハリスと組んで2021年に刊行し、世界的に注目を集めた話題作『Trinity』については、当ブログでも既に紹介したところであるが、 今回はこの本が実際あったUFO墜落事案として認定している「サンアントニオ事件」はHOAXである、つまりは「デッチ上げ」であるという主張を紹介してみたい。
ただその前に、そもそもこの『Trinity』というのはどういう本であったのかを改めておさらいしておこう。
そもそも何でこの本が世界のUFOシーンで話題になったのかというと、端的にいえばヴァレはこの本で「宗旨替え」をしたんでないかというギワクが持ち上がったからである。もともとヴァレというのは「UFOが外宇宙から来ているというのはウソである」と主張し、かつ「ロズウェル事件」みたいなUFOの墜落・回収事件といったものには総じて批判的な人物であった。つまりは何かっつーと「UFOイコール宇宙人」みたいなことを言い出すミーハー系とは一線を画し、「コントロールシステム仮説」とか称して小難しい理屈を駆使するような冷静沈着インテリ系研究家として売ってきた人物であった。
ところが彼は、本作で「1945年8月16日、米ニューメキシコ州サンアントニオではモノホンのUFOの墜落事件が起きていた!」ということを言い出した。「なんだそりゃ、ヴァレがそこいらのミーハーUFOファンみたいなこと言い出したよ」という話になる。「どうしちゃったのヴァレ?」である。実際のところ、この本を読んでもちゃんとした「UFO墜落の物証」みたいなものはない。冷たくいえば証言があるだけ。ヴァレは何だか根拠薄弱な話にのっかっちゃったという感じは否めないのだった。
というわけで、ここからはこのジョンソン氏のデバンキング・サイトの内容をご紹介していきたい(→入り口はこの Crash Story: The Trinity UFO Crash Hoax というサイト)。ボリューム的にもずいぶんあるので、大部分はブラウザ上のグーグル翻訳機能を使って日本語で読む手抜きをしたが、そこはお許し頂きたい(笑。以下、次回につづく)
*余談ではあるがこの『Trinity』、先に『核とUFOと異星人』(ヒカルランド)というタイトルで邦訳が出たばかりである。実のところ、この翻訳には何故か原著にないことが長々書いてあったり誤訳があったりしてオレに言わせれば若干残念な本なのだが、それはともかくこういう翻訳本が出たことでサンアントニオ事件に興味を抱く人もこれからいかほどか増えていくかもしらん。であればこそ、『Trinity』にはいろいろと批判があって、じっさいに結構辛辣なデバンキングを浴びている――という情報にもそれなりに意味があるのではないかとオレは思っている。